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Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux
インストールガイド
すべてのアーキテクチャーへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストール
概要
第1章 はじめに
1.1. グラフィカルインストール
1.2. リモートインストール
Connect Mode
を使用して完全にリモートでグラフィカルインストールを実行できます。ディスプレイとキーボードがあるものの、グラフィカルインタフェースを使用できないシステムでは、Direct Mode
を使用すると容易にセットアップができます。詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。
1.3. 自動インストール
第2章 Red Hat Enterprise Linux のダウンロード
- バイナリー DVD
- 完全なインストールイメージ。これはインストールプログラムを起動して全インストール工程を実施します。パッケージ用の追加リポジトリーを用意する必要はありません。注記バイナリー DVD は IBM Z でもご利用頂くことができます。SCSI DVD ドライブを使ってインストールプログラムを起動する場合に使用できます。また、インストールソースとして使用することもできます。
- boot.iso
- 最小限の起動イメージ。これは、インストールプログラムを起動しますがパッケージ用の追加リポジトリーにアクセスする必要があります。Red Hat ではこのようなリポジトリーは提供しておらず、完全インストール ISO イメージを使用して作成する必要があります。
手順2.1 Red Hat Enterprise Linux ISO イメージのダウンロード
- カスタマーポータルの https://access.redhat.com/home にアクセスします。ログインしていない場合はページ右側の ログイン をクリックします。プロンプトに従いアカウント認証情報を入力します。
- ページ上部の ダウンロード をクリックします。
- Red Hat Enterprise Linux をクリックします。
- Product Variant、Architecture がインストールターゲットに適した選択になっているか確認します。デフォルトでは
Red Hat Enterprise Linux Server
とx86_64
を選択します。どれを選択してよいのか分からない場合は、http://www.redhat.com/en/technologies/linux-platforms/enterprise-linux を参照してください。また、各バリアントで利用可能なパッケージ一覧は、『Red Hat Enterprise Linux 7 パッケージマニフェスト』で確認できます。 - 利用可能なダウンロード一覧が表示されます。特に、最小限のブート ISOイメージと完全インストール用 バイナリー DVD ISO イメージが表示されます。これが上記で説明したメディアです。事前設定済みの仮想マシンイメージなど、これ以外のイメージが表示される場合もあります。これについては本ガイドの対象外になります。
- 使用するイメージファイルを選択します。カスタマーポータルからダウンロードする方法は、2 通りあります。
- Web ブラウザーを使ってイメージ名をクリックし、コンピューターにそのイメージをダウンロードします。
- イメージ名を右クリックして リンクの URL をコピー などのメニューアイテムをクリックします (メニューアイテムの表示はブラウザーによって異なる)。この操作で、ファイルの URL がクリップボードにコピーされ、別のアプリケーションを使ってファイルをコンピューターにダウンロードできるようになります。インターネット接続が不安定な場合にはこの方法が役に立ちます (接続不安定のため中断されブラウザでファイル全体をダウンロードできず、またダウンロードリンクに含まれている認証キーの有効期間が短いため中断されたダウンロードプロセスの再開試行が失敗してしまうような場合)。curl などの特殊アプリケーションを使用するとカスタマーポータルからのダウンロードなど中断されたプロセスを再開することができます。つまり、ファイル全体を再度ダウンロードする必要がなく時間や回線容量を節約することができます。
手順2.2 curl を使用したインストールメディアのダウンロード
- root で以下のコマンドを実行して、curl パッケージがインストールされていることを確認します。
# yum install curl
ご使用の Linux ディストリビューションでは yum を使用していない、または Linux 自体をまったく使用していないなどの場合は curl web site で最適となるソフトウェアパッケージをダウンロードしてください。 - ターミナルウィンドウを開きダウンロード先となるディレクトリーに移動します。次のコマンドを入力します。
$ curl -o filename.iso 'copied_link_location'
filename.iso にはrhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
などカスタマーポータルで表示される ISO イメージの名前を入力します。カスタマーポータル内のダウンロードリンクには curl でダウンロードしたファイル名にも使用する追加文字が含まれているため入力には注意してください。次のパラメーターの一重引用符は付けたまま copied_link_location にはカスタマーポータルからコピーしたリンクを入力します。上記のコマンドをコピーした場合にはもう一度コピーします。Linux ではウィンドウ内で中央ボタンをクリックするか、Shift+Insert を押すとクリップボードの内容をターミナルウィンドウに貼り付けることができます。最後のパラメーターの後ろに別の一重引用符を付けて、Enter を押してコマンドを実行し、ISO イメージの転送を開始します。一重引用符を使用するのはダウンロードリンクに特殊な文字が含まれていた場合など、特殊文字が誤って解釈されないようにするためです。例2.1 curl での ISO イメージのダウンロード
curl コマンドラインの例を示します。$ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...7bf'
実際のダウンロードリンクには複雑な識別子が含まれるため非常に長い記述になる点に注意してください。 - 転送の完了前にインターネット接続が中断された場合はカスタマーポータル内のダウンロードページを更新し、必要であればログインし直します。新しいダウンロードリンクをコピーし、以前と同じ基本的な curl コマンドラインパラメーターを使用しますが、必ず新しいダウンロードリンクを使用するように
-C -
を追加し、既にダウンロードしたファイルのサイズに基づいて続行すべき場所を自動的に決定するように curl に指示します。例2.2 中断されたダウンロードの再開
選択した ISO イメージが一部しかダウンロードされていない場合に使用する curl コマンドラインの例を示します。$ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...963' -C -
- オプションで sha256sum などのチェックサムを使用し、ダウンロード完了後にイメージファイルの整合性を検証することもできます。Download Red Hat Enterprise Linux ページにあるダウンロードにはすべて、以下の参照用チェックサムが含まれます。
$ sha256sum rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
85a...46c rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
Microsoft Windows や Mac OS X 向けにも同様のツールがあります。また、インストールの開始時にインストールプログラムを使用してメディアの検証もできます。詳細は「起動メディアの検証」を参照してください。
- 「インストール CD または DVD の作成」 の説明に従って、CD または DVD に書き込む。
- イメージファイルを使って起動可能な USB ドライブを作成する (「USB インストールメディアの作成」を参照)。
- ネットワークインストールできるようにこれをサーバーに配置する。具体的な方法は 「インストールソース - ネットワーク」 を参照してください。
- イメージファイルをハードドライブに配置して、そのドライブをインストールソースとして使用する。詳細は、「インストールソース - ハードドライブ」 を参照してください。
- ネットワーク経由でインストールシステムを起動できるよう、イメージファイル使って Preboot Execution Environment (PXE) サーバーを準備します。手順については 24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
第3章 メディアの作成
inst.stage2=
起動オプションが使用され、特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL7\x20Server.x86_64
) に設定されます。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを修正するか、インストールシステムの起動にカスタマイズした手順を使用する場合は、このオプションを正しい値に設定する必要があります。詳細は インストールソースの指定 を参照してください。
3.1. インストール CD または DVD の作成
3.2. USB インストールメディアの作成
3.2.1. Linux での USB インストールメディアの作成
手順3.1 Linux での USB メディアの作成
- USB フラッシュドライブをシステムに挿入してから dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
[ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
接続デバイスの名前をメモしておきます。この例の場合、sdb
がデバイス名です。 root
でログインします。$
su -プロンプトに従い root パスワードを入力します。- デバイスがマウントされていないことを確認します。まず、findmnt device コマンドと前の手順でメモしておいたデバイス名を使います。デバイス名が
sdb
なら、コマンドは次のようになります。#
findmnt /dev/sdbコマンドから何も出力されなければ次の手順に進むことができます。何らかの出力がある場合は、デバイスが自動的にマウントされたことを示しているため、次に進む前にそのデバイスをアンマウントしておく必要があります。出力の例は、以下のようになります。#
findmnt /dev/sdb TARGET SOURCE FSTYPE OPTIONS /mnt/iso /dev/sdb iso9660 ro,relatimeTARGET
のコラムをメモしておきます。次に umount target コマンドを使ってデバイスをアンマウントします。#
umount /mnt/iso - dd コマンドを使ってインストール用の ISO イメージを 直接 USB デバイスに書き込みます。
#
dd if=/image_directory/image.iso of=/dev/device bs=blocksize/image_directory/image.iso は、ダウンロードした ISO イメージファイルへの完全パスに、device は先程 dmesg コマンドでレポートされたレポート名に、blocksize は、書き込みプロセスの時間を短縮するのに妥当なブロックサイズ (例:512k
) に置き換えます。bs
パラメーターはオプションですが、プロセスを大幅に高速化できます。重要デバイス名には、デバイスのパーティション名 (/dev/sda1
) ではなく、コマンドからの出力を指定してください (/dev/sda
など)。たとえば、ISO イメージが/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso
にあり、検出されたデバイス名がsdb
の場合、コマンドは次のようになります。#
dd if=/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/sdb bs=512k - dd によるデバイスへのイメージ書き込みが終了するまで少し時間がかかります。進捗バーが表示されない点に注意してください。
#
プロンプトが再度表示されるとデータ転送が終了しています。プロンプトが表示されたら、root
アカウントからログアウトして、USB ドライブを取り外します。
inst.stage2=
起動オプションを指定する必要があります。inst.stage2=
起動オプションの詳細は、 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
3.2.2. Windows での USB インストールメディアの作成
手順3.2 Windows での USB メディアの作成
- Fedora Media Writer をダウンロードしてインストールします。
- メディアの作成に使用する Red Hat Enterprise Linux ISO イメージをダウンロードします。(ISO イメージの取得方法については 2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。)
- 起動可能なメディアの作成に使用する USB ドライブを挿入します。
- Fedora Media Writer を開きます。
- メイン画面で Custom Image をクリックし、ダウンロードした Red Hat Enterprise Linux ISO イメージを選択します。
- ドロップダウンメニューから使用するドライブを選択します。一覧にドライブが表示されない場合は、USB ドライブが接続されていることを確認して、Fedora Media Writer を再起動します。
- Write to disk をクリックします。起動メディアの作成プロセスが開始されます。プロセスが完了するまでドライブを抜かないでください。ISO イメージのサイズと USB ドライブの書き込み速度によって、イメージの書き込みは数分かかる場合があります。
図3.1 Fedora Media Writer
[D] - 作成プロセスが終了して
Complete!
のメッセージが表示されたら、システムの通知領域にある ハードウェアの安全な取り出し アイコンを使用して USB ドライブをアンマウントします。
3.2.3. Mac OS X での USB インストールメディアの作成
手順3.3 Mac OS X での USB メディアの作成
- USB フラッシュドライブをシステムに接続し、diskutil list コマンドでデバイスパスを特定します。デバイスパスは
/dev/disknumber
という形式で、number はディスク番号になります。ディスク番号は、0 から始まります。デバイス 0 は通常、OS X リカバリーディスクになり、ディスク 1 はご自分のメインの OS X インストールになります。以下の例では、USB フラッシュドライブはdisk2
になります。$ diskutil list /dev/disk0 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: GUID_partition_scheme *500.3 GB disk0 1: EFI EFI 209.7 MB disk0s1 2: Apple_CoreStorage 400.0 GB disk0s2 3: Apple_Boot Recovery HD 650.0 MB disk0s3 4: Apple_CoreStorage 98.8 GB disk0s4 5: Apple_Boot Recovery HD 650.0 MB disk0s5 /dev/disk1 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: Apple_HFS YosemiteHD *399.6 GB disk1 Logical Volume on disk0s1 8A142795-8036-48DF-9FC5-84506DFBB7B2 Unlocked Encrypted /dev/disk2 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: FDisk_partition_scheme *8.0 GB disk2 1: Windows_NTFS SanDisk USB 8.0 GB disk2s1
ご自分の USB フラッシュドライブを特定する場合、NAME
、TYPE
およびSIZE
のコラムをご自分の USB フラッシュドライブのものと比較します。たとえば、NAME
は Finder にあるフラッシュドライブのタイトルと同じものであるはずです。またこれらの値をフラッシュドライブの情報パネルと比べることもできます。ドライブのアイコンを右クリックして、情報を見る を選択します。 - diskutil unmountDisk コマンドを使用してフラッシュドライブのファイルシステムボリュームをアンマウントします。
$ diskutil unmountDisk /dev/disknumber Unmount of all volumes on disknumber was successful
これを実行すると、デスクトップからフラッシュドライブのアイコンが消えます。消えない場合は、間違ったディスクを指定した可能性があります。間違ってシステムディスクをアンマウントしようとすると、failed to unmount
エラーが返されます。 - dd コマンドを sudo コマンドのパラメーターとして使用し、ISO イメージをフラッシュドライブに書き込みます。
$ sudo dd if=/path/to/image.iso of=/dev/rdisknumber bs=1m>
注記Mac OS X では、ブロック (/dev/disk*
) とキャラクターデバイス (/dev/rdisk*
) の両方のファイルが各ストレージデバイスに提供されます。/dev/rdisknumber
キャラクターデバイスへのイメージの書き込みは、/dev/disknumber
ブロックデバイスへの書き込みよりも速くなります。例3.1 ISO イメージのディスクへの書き込み
/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso
ファイルを/dev/rdisk2
デバイスに書き込むには、以下のコマンドを実行します。$ sudo dd if=/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/rdisk2
- コマンドが完了するまで待機します。進捗バーは表示されませんが、端末で Ctrl+t を押すと実行中の操作の状況を確認できます。
load: 1.02 cmd: dd 3668 uninterruptible 0.00u 1.91s 112+0 records in 111+0 records out 116391936 bytes transferred in 114.834860 secs (1013559 bytes/sec)
- データ送信の速度は、USB ポートとフラッシュドライブの速度に依存します。プロンプトが再度表示されたら、データ転送が完了しています。これでフラッシュドライブを取り外すことができます。
3.3. インストールソースの準備
DVD
: バイナリー DVD ISO イメージを DVD に書き込み、インストールプログラムにそのディスクからパッケージをインストールするよう指示することができます。ハードドライブ
: バイナリー DVD ISO イメージをハードドライブに配置して、そこからパッケージをインストールすることができます。ネットワーク
: バイナリー DVD ISO イメージまたは インストールツリー (バイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツ) を、インストール先のシステムからアクセスできるネットワーク上の場所にコピーし、次のプロトコルを使ってネットワーク経由でインストールすることができます。NFS
: バイナリー DVD ISO イメージを ネットワークファイルシステム (NFS) 共有に配置します。HTTPS
、HTTP
、FTP
: ネットワーク上でアクセスできる場所にインストールツリーを配置します (HTTP
、HTTPS
、FTP
経由)。
- インストールプログラムのグラフィカルインターフェース内で指定する: グラフィカルインストールを開始して言語を選択すると、インストールの概要 が表示されます。インストールソース 画面に移動し、設定するソースを選択します。詳細は、次を参照してください。
- 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムの場合は「インストールソース」を参照してください。
- IBM Power Systems サーバーの場合は「インストールソース」を参照してください。
- IBM Z の場合は「インストールソース」を参照してください。
- 起動オプションを使って指定する: インストールプログラムが開始する前に、カスタムの起動オプションを使って指定することができます。以下のいずれかのオプションで使用するインストールソースを指定します。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 の
inst.repo=
オプションを参照してください。 - キックスタートファイルを使って指定する: キックスタートファイル内で install コマンドを使ってインストールソースを指定します。install キックスタートコマンドについては 「キックスタートのコマンドとオプション」 をご覧ください。キックスタートを使ったインストール全般については「27章キックスタートを使ったインストール」を参照してください。
3.3.1. インストールソース - DVD
3.3.2. インストールソース - ハードドライブ
xfs
、ext2
、ext3
、ext4
および vfat
(FAT32
) になります。Microsoft Windows システムでは、ハードドライブのフォーマットに使用されるデフォルトのファイルシステムが NTFS
であり、exFAT
ファイルシステムでのフォーマットも可能ですが、いずれのファイルシステムもインストール時にマウントできません。Microsoft Windows 上でインストールソースとして使用するハードドライブや USBドライブを作成している場合は、必ず FAT32
でドライブをフォーマットするようにしてください。
FAT32
ファイルシステムは、サイズが 4 GiB を超えるファイルをサポートしません。一部の Red Hat Enterprise Linux 7 インストールメディアでは、このサイズよりも大きい場合もあり、このファイルシステムでは、ドライブにメディアをコピーできません。
3.3.3. インストールソース - ネットワーク
3.3.3.1. NFS サーバーへのインストールソースの配置
NFS
のインストール方法では、Red Hat Enterprise Linux のバイナリー DVD の ISO イメージを ネットワークファイルシステム
サーバーの エクスポートしたディレクトリー に配置して使用します。このディレクトリーはインストールするシステムで読み取りが可能でなければなりません。NFS ベースのインストールを実行する場合は、NFS ホストとして動作する別のシステムを用意する必要があります。
手順3.4 NFS を使用したインストールの準備
root
で以下のコマンドを実行して、nfs-utils パッケージをインストールします。#
yum install nfs-utils- 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを、NFS サーバーの適切なディレクトリーにコピーします。たとえば、
/rhel7-install/
というディレクトリーを作成し、ここに ISO イメージを保存します。 - テキストエディターで
/etc/exports
ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。/exported_directory/ clients
/exported_directory/ を ISO イメージが格納されているディレクトリーの完全パスで置き換えます。clients は、この NFS サーバーからインストールされるコンピューターのホスト名または IP アドレス、ISO イメージに全コンピューターがアクセスする際にそのアクセス元となるサブネットワーク、またはネットワークアクセスのあるコンピューターが NFS サーバーにアクセスして ISO イメージを使用できるようにする場合はアスタリスク記号 (*
) で置き換えます。このフィールドの形式についての詳細情報は、exports(5)
の man ページを参照してください。以下に、全クライアントに対して/rhel7-install/
ディレクトリーを読み取り専用でアクセスできるようにしている基本的な設定を示します。/rhel7-install *
- 設定が終わったら
/etc/exports
ファイルを保存してテキストエディターを終了します。 nfs
サービスを開始します。#
systemctl start nfs.service/etc/exports
ファイルに変更を加える前にサービスを稼働していた場合は、代わりに以下のコマンドを実行して、実行中の NFS サーバーが設定をリロードするようにします。#
systemctl reload nfs.service
NFS
経由による ISO イメージへのアクセスが可能になり、インストールソースとして使用できるようになります。
nfs:
プロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号 (:
)、および ISO イメージを格納しているディレクトリーを使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com
で ISO イメージを /rhel7-install/
に保存している場合、インストールソースを nfs:myserver.example.com:/rhel7-install/
と指定します。
3.3.3.2. HTTP、HTTPS、または FTP サーバーへのインストールソースの配置
.treeinfo
ファイルとバイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツを含むディレクトリー) を使用する、ネットワークベースのインストールに使用できます。インストールソースには HTTPS
、HTTP
、FTP
などを使ってアクセスします。
手順3.5 HTTP または HTTPS を使用したインストールの準備
root
で次のコマンドを実行して、httpd パッケージをインストールします。#
yum install httpdHTTPS
サーバーには追加設定が必要となります。詳細情報は、『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』の「SSL サーバーのセットアップ」セクションを参照してください。ただし、ほとんどのケースではHTTPS
は不要になります。これは、インストールソースとインストールプログラム間では機密データは送信されず、HTTP
で十分なためです。警告Apache web サーバーの設定により SSL セキュリティーが有効になる場合はTLSv1
プロトコルのみを有効にし、SSLv2
とSSLv3
は必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1232413 を参照してください。重要HTTPS
を使用することにして、サーバーで自己署名証明書を使用している場合は、noverifyssl
オプションを指定してインストーラーを起動する必要があります。- 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを HTTP(S) サーバーにコピーします。
- mount コマンドを使ってバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーにマウントします。
#
mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_point/ここでは /image_directory/image.iso をバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point/ を ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、この目的で/mnt/rhel7-install/
というディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用します。 - マウントされたイメージから HTTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
#
cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/www/html/このコマンドでは、イメージのコンテンツが格納された/var/www/html/rhel7-install/
ディレクトリーが作成されます。 httpd
サービスを起動します。#
systemctl start httpd.service
http://
もしくは https://
のプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー、HTTP サーバーのルートへの相対パスを使用します。たとえば、HTTP
を使用していて、サーバーのホスト名が myserver.example.com
で イメージからのファイルを /var/www/html/rhel7-install/
にコピーしている場合、インストールソースを http://myserver.example.com:/rhel7-install/
と指定します。
手順3.6 FTP を使用したインストールの準備
root
で以下のコマンドを実行して、vsftpd パッケージをインストールします。#
yum install vsftpd- オプションとして、テキストエディターで
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルを開き、変更するオプションを編集します。利用可能なオプションについては、vsftpd.conf(5)
の man ページを参照してください。この手順の残りの部分では、デフォルトのオプションを使用していると仮定しています。この手順を行う場合は、FTP サーバーの匿名ユーザーにファイルのダウンロードを許可しておく必要があります。警告vsftpd.conf
ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合はTLSv1
プロトコルのみを有効にし、SSLv2
とSSLv3
は必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1234773 を参照してください。 - 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを FTP サーバーにコピーします。
- mount コマンドを使ってバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーにマウントします。
#
mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_pointここでは /image_directory/image.iso はバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point は ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、この目的で/mnt/rhel7-install/
というディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用します。 - マウントされたイメージから、FTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
#
cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/ftp/これでイメージのコンテンツが格納された/var/ftp/rhel7-install/
ディレクトリーが作成されます。 vsftpd
サービスを開始します。#
systemctl start vsftpd.service/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルを変更する前から、このサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して必ず編集後のファイルを読み込ませてください。再起動する場合は、次のコマンドを使用します。#
systemctl restart vsftpd.service
ftp://
のプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー、FTP サーバーのルートへの相対パスを使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com
でイメージからのファイルを /var/ftp/rhel7-install/
にコピーしている場合、インストールソースを ftp://myserver.example.com:/rhel7-install/
と指定します。
3.3.3.3. ネットワークベースのインストールを行う場合のファイアウォール設定の事項
表3.1 ネットワークプロトコルが使用するポート
使用プロトコル | 開放するポート |
---|---|
FTP | 21 |
HTTP | 80 |
HTTPS | 443 |
NFS | 2049 、111 、20048 |
TFTP | 69 |
パート I. AMD64、Intel 64、および ARM 64 - インストールと起動
第4章 クイックインストールガイド
4.1. 対話型インストール
- 起動メニューで Install Red Hat Enterprise Linux を選択して、Enter を選択します。
- Anaconda が起動してから Red Hat Enterprise Linux インストーラーを起動し、言語およびリージョンを選択して Continue をクリックします。
- インストールの概要 画面で設定オプションを設定していきます。個別のオプションは、好きな順序で表示して修正できます。ある設定オプションが自動で適切に設定されている場合は、なにもする必要はありません。アイテムに感嘆符が付いている場合は、インストール開始前にこれらの設定を完了する必要があります。注記インストールの開始 ボタンをクリックするまでは、ディスクにはなにも書き込まれません。
- 日付と時刻 を選択します。
- ご自分の地域とタイムゾーン内で一番近い都市を選択します。
- 完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
- キーボードレイアウト を選択します。
- + と - ボタンを使ってキーボードレイアウトの追加または削除を行います。
- 複数のキーボードレイアウトを有効にした場合は、↑ ボタンを使用してデフォルトにするレイアウトをリストの最上部に移動します。
- 完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
- インストール先 を選択します。
- ターゲットディスクを選択します。選択したターゲットの横にチェックマークが表示されます。選択したディスクは自動でパーティション設定されます。
- 完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
- ネットワークとホスト名 を選択します。
- 右上にある Ethernet のスライドスイッチをクリックして、ネットワーク設定を有効にします。
- オプションで、デバイスを選択してから 設定 をクリックして、ネットワークインターフェース設定を更新します。
- 完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記Anaconda は、ネットワーク設定を即座に適用します。これは、セットアップ中とインストール後に使用されます。 - インストールの概要 画面で インストールの開始 をクリックします。
- インストールが開始され、設定 画面が表示されます。インストール中に以下の手順を実行します。
- Root パスワード を選択します。
root
ユーザーのパスワードを入力して、確認します。- 完了 をクリックして 設定 画面に戻ります。
- ユーザーの作成 を選択します。
- ユーザーのフルネームを入力します。
- オプションで、自動生成されたユーザー名を更新します。
- パスワードを設定して、確認します。
- オプションで このユーザーを管理者にする にチェックを入れます。こうすることで、このユーザーは
wheel
グループに追加され、このアカウントでは追加設定なしで sudo が使えるようになります。 - 完了 をクリックして 設定 画面に戻ります。
- インストールが完了するまで待ってから、再起動 をクリックします。
- インストール済みシステムが起動したら、以下の手順を実行します。
- Server with GUI のベース環境を使用してサーバーをインストールした場合は、初期設定 が自動的に開始されます。
- ライセンス同意書に同意します。
- システムを登録します。
詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。 - インストール中にその他のベース環境を選択した場合は、以下を実行します。
root
ユーザーとしてシステムにログインします。- システムを登録し、サブスクリプションを自動的にアタッチします。
# subscription-manager register --auto-attach \ --username=user_name --password=password
4.2. 自動インストール
USB 起動メディアの生成
- キックスタートファイルにインストールを記録します。
- Red Hat Enterprise Linux を手動で一度インストールします。詳細は 「対話型インストール」 を参照してください。
- インストールされたシステムを起動します。インストール中に、Anaconda は
/root/anaconda-ks.cfg
ファイルに設定を伴うキックスタートファイルを作成しています。
- Red Hat Enterprise Linux インストール DVD ISO ファイルを
/tmp/
ディレクトリーにダウンロードします。 - インストール ISO ファイルを
/mnt/
ディレクトリーにマウントします。以下に例を示します。# mount -o loop /tmp/rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso /mnt/
- 作業ディレクトリーを作成し、そのディレクトリーに DVD コンテンツをコピーします。以下に例を示します。
# mkdir /root/rhel-install/ # shopt -s dotglob # cp -avRf /mnt/* /root/rhel-install/
- ISO ファイルをアンマウントします。
# umount /mnt/
- インストール中に生成されたキックスタートファイルを作業ディレクトリーにコピーします。
# cp /root/anaconda-ks.cfg /root/rhel-install/
- インストール後に Red Hat Enterprise Linux を自動登録して、サブスクリプションをアタッチするには、以下を
/root/rhel-install/anaconda-ks.cfg
ファイルに追加します。%post subscription-manager register --auto-attach --username=user_name --password=password %end
- インストール DVD ボリューム名を表示させます。
# isoinfo -d -i rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso | grep "Volume id" | \ sed -e 's/Volume id: //' -e 's/ /\\x20/g'
RHEL-7.3\x20Server.x86_64
- 新しいメニューエントリーを、キックスタートファイルを使用する
/root/rhel-install/isolinux/isolinux.cfg
起動ファイルに追加します。以下に例を示します。####################################### label kickstart menu label ^Kickstart Installation of RHEL7.3 kernel vmlinuz append initrd=initrd.img inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg #######################################
注記inst.stage2=hd:LABEL=
オプションおよびinst.ks=hd:LABEL=
オプションは、直前の手順で取得した DVD ボリューム名に設定します。 - 作業ディレクトリーから
/root/rhel-ks.iso
ファイルを作成する前に、USB UEFI boot または CDROM UEFI boot に以下の手順を実行します。- USB UEFI boot については、以下の手順に従います。
- ボリュームをマウントします。
# mount /root/rhel-install/images/efiboot.img /mnt/
/mnt/EFI/BOOT/grub.cfg
ファイルを編集します。- 新しいメニューエントリーを追加します。
####################################### 'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg initrdefi /images/pxeboot/initrd.img } #######################################
- ボリュームをアンマウントします。
# umount /mnt
- CDROM UEFI boot については、以下の手順に従います。
/root/rhel-install/EFI/BOOT/grub.cfg
ファイルを編集します。- 新しいメニューエントリーをファイルに追加します。
####################################### 'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg initrdefi /images/pxeboot/initrd.img } #######################################
- 作業ディレクトリーから
/root/rhel-ks.iso
ファイルを作成します。# mkisofs -untranslated-filenames -volid "RHEL-7.3 Server.x86_64" -J -joliet-long -rational-rock -translation-table -input-charset utf-8 -b isolinux/isolinux.bin -c isolinux/boot.cat -no-emul-boot -boot-load-size 4 -boot-info-table -eltorito-alt-boot -e images/efiboot.img -no-emul-boot -o /root/rhel-ks.iso -graft-points /root/rhel-install/
注記前の手順で取得した DVD ボリューム名に-V
オプションを設定し、文字列の\x20
はスペースに置き換えます。 - mkisofs コマンドで作成した ISO イメージをブート可能にします。
# isohybrid --uefi /root/rhel-ks.iso
- インストール USB ドライブを作成します。詳細は 「Linux での USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
キックスタートファイルを使用した Red Hat Enterprise Linux のインストール
- インストール USB ドライブを起動します。7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。
- 「自動インストール」 で作成したキックスタート設定でエントリーを選択します。
第5章 64 ビットAMD、Intel、および ARM システムへのインストールプラン
5.1. アップグレードまたはインストールの選択
- クリーンインストール
- クリーンインストールとは、システムの全データのバックアップ、ディスクパーティションのフォーマット化、インストールメディアからの Red Hat Enterprise Linux のインストール、最後にユーザーのデータ復元の順で行う方法です。注記これは、Red Hat Enterprise Linux のメジャーバージョン間でアップグレードを行う場合は、この方法を推奨しています。
- インプレースアップグレード
- インプレースアップグレードとは、旧バージョンを残したままシステムをアップグレードする方法です。ご使用のシステムで使用できる移行ユーティリティーをインストールして、他のソフトウェアと同様に稼働させておく必要があります。Red Hat Enterprise Linux では、Preupgrade Assistant は現在のシステムを評価し、アップグレード中またはアップグレード後に発生する可能性がある問題を特定します。また、システムに対し若干の修正および変更も行われます。実際にパッケージをダウンロードしてアップグレードを実行するのは Red Hat Upgrade Tool ユーティリティーになります。インプレースアップグレードにはかなりのトラブルシューティングやプラニングが必要になるため、ほかに選択がない場合に限り使用するようにしてください。Preupgrade Assistant の詳細は、29章現在のシステムのアップグレード を参照してください。警告システムのクローンとなるバックアップコピーでのテストを行わないまま実稼働中のシステムにインプレースアップグレードを適用することは絶対に避けてください。
5.2. ハードウェアの互換性について
5.3. インストール先として対応しているターゲット
- SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェースで接続するストレージ
- BIOS/ファームウェアの RAID デバイス
nd_pmem
ドライバーがサポートする、セクターモードに設定された Intel 64 および AMD64 アーキテクチャー上の NVDIMM デバイス- ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
- Xen 仮想マシンの Intel のプロセッサーの Xen ブロックデバイス
- KVM 仮想マシンの Intel のプロセッサーの VirtIO ブロックデバイス
5.4. システム仕様一覧
- パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
- システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
- Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
- システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は通常、mount コマンドおよび blkid コマンドを実行すると見つけられ、また
/etc/fstab
ファイル内にあります。すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
- ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
- ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
- IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
- ネットマスク
- ゲートウェイの IP アドレス
- 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
- FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。 - iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
- 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
- ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。
5.5. ディスク領域およびメモリーに関する要件
/
および swap
) を Red Hat Enterprise Linux 専用とする必要があります。
インストールタイプ | 必要最小限の RAM サイズ |
---|---|
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) | 768 MiB |
NFS ネットワークインストール | 768 MiB |
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール | 1.5 GiB |
5.6. RAID と他のディスクデバイス
5.6.1. ハードウェア RAID
5.6.2. ソフトウェア RAID
5.6.3. USB ディスク
5.6.4. NVDIMM デバイス
- Red Hat Enterprise Linux のバージョンが 7.6 以降である。
- システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
- デバイスが、セクターモードに設定されている。Anaconda で、NVDIMM デバイスをこのモードに再構成できます。
nd_pmem
ドライバーがデバイスをサポートしている。
- システムが UEFI を使用している。
- システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーがデバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
- デバイスが名前空間で利用可能である。
/boot
および /boot/efi
ディレクトリーをこのデバイスに配置します。詳細は、「手動パーティション設定」 を参照してください。起動時には NVDIMM デバイスの Execute-in-place (XIP) 機能はサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれる点に注意してください。
5.6.5. Intel の BIOS RAID に関する注意点
/etc/fstab
、/etc/crypttab
、その他の設定ファイルに対してローカルで変更を加えても Red Hat Enterprise Linux 7 では機能しない可能性があります。したがって、デバイスノードパス (/dev/sda
など) の代わりにファイルシステムのラベルまたはデバイスの UUID を使用してください。ファイルシステムのラベルおよびデバイスの UUID は、blkid コマンドを使用すると確認できます。
5.6.6. Intel BIOS iSCSI Remote Boot に関する注意点
5.7. インストーラーの起動方法の選択
- 完全インストール DVD または USBドライブ
- 完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方の役割を果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については「3章メディアの作成」を参照してください。
- 最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
- 最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
- PXE サーバー
- PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。
5.8. キックスタートを使用したインストールの自動化
5.9. UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用
手順5.1 UEFI セキュアブート用のカスタム秘密鍵の追加
- まず、システムで UEFI セキュアブートを無効にし、通常どおりに Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールします。
- インストールが完了したら、システムを再起動します。セキュアブートはこの時点ではまだ無効にしていてください。システムを再起動してログインし、該当する場合は 30章初期設定 (Initial Setup) に記載どおりに、初期設定画面に移動します。
- 初回起動が完了して初期設定を行った後に、まだインストールされていない場合は kernel-doc パッケージをインストールします。
#
yum install kernel-docこのパッケージにより、Red Hat CA ベータ公開鍵を含む証明書ファイルが提供されます。ファイルは/usr/share/doc/kernel-keys/kernel-version/kernel-signing-ca.cer
に保存されます。ここで、kernel-version はプラットフォームアーキテクチャーの接尾辞を省いたカーネルバージョンの文字列です (例:3.10.0-686.el7
)。 - 以下のコマンドを実行し、公開鍵をシステムの Machine Owner Key (MOK) リストに登録します。
#
kr=$(uname -r)#
mokutil --import /usr/share/doc/kernel-keys/${kr%.$(uname -p)}/kernel-signing-ca.cerプロンプトが表示されたら、任意のパスワードを入力します。注記パスワードは忘れないようにしてください。この手順の完了に必要となる上、インポートされた鍵が不要になった場合に、その削除に必要となります。 - もう一度システムを再起動します。起動中に、保留となっていた鍵の登録要求を完了させるかどうか聞かれます。yes を選択し、前のステップで mokutil コマンドを使って設定したパスワードを入力します。パスワードを入力するとシステムがもう一度再起動し、鍵がシステムのファームウェアにインポートされます。今回の再起動またはこれ以降の再起動時に、セキュアブートを有効にできます。
#
mokutil --reset
第6章 AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新
- インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
- イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
6.1. インストール中にドライバーを更新する場合の制約
6.2. インストール中にドライバーを更新するための準備
- ドライバーの自動更新
- インストールを開始すると、接続されている全ストレージデバイスの検出が Anaconda インストールプログラムによって試行されます。インストール開始時に
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスが検出されると、Anaconda は常にこのデバイスをドライバー更新用ディスクと認識して、このデバイス上のドライバーの読み込みを試行します。 - アシスト付きのドライバー更新
- インストールを開始するときに、
inst.dd
起動オプションを指定できます。パラメーターなしでこのオプションを使用すると、Anaconda によりシステムに接続されている全ストレージデバイスの一覧が表示され、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。 - 手動によるドライバー更新
inst.dd=location
起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。Anaconda にはドライバー更新用ディスクもしくは ISO イメージへのパスを入力してください。手動のドライバー更新では、ローカルで使用できるストレージデバイス、またはネットワーク上にある場所 (HTTP
、HTTPS
またはFTP
のいずれかのサーバー) を指定することができます。
inst.dd=location
と inst.dd
の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合には Anaconda の動作は、使用する location の種類により異なります。デバイスの場合、Anaconda で、指定したデバイスから更新するデバイスを選択するように求めるプロンプトが表示され、追加のデバイスが提供されます。location がネットワークの場所の場合には、Anaconda では、ドライバーの更新を含むデバイスを選択するようにプロンプトが表示され、指定のネットワークの場所からドライバーを更新できるようにします。
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスを作成し、インストールするシステムに物理的に接続しておく必要があります。アシスト付きのドライバー更新の方法を使用する場合は、OEMDRV
以外のラベルならローカルのいずれのストレージデバイスを使用しても構いません。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
ip=
オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
6.2.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備
- インストールプログラムに自動的にドライバーディスクを認識させるため、ストレージデバイスのボリュームラベル名を
OEMDRV
にします。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動によるインストールの場合、OEMDRV
というラベルが付いたデバイスからのドライバーのインストールの方が手動によるインストールより常に優先され、また推奨されています。 - 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名の変更は可能ですが、ファイル名の拡張子は変更せず
.iso
のままにしておいてください (dd.iso
など)。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「手動によるドライバー更新」 を参照してください。
6.2.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備
rhdd3
というファイルが 1 つと rpms
というディレクトリーが 1 つ見えるはずです。rhdd3 はドライバーディスクの詳細が記載されているシンプルな署名ファイルで、rpms は各種アーキテクチャー用の実際のドライバーの RPM パッケージを収納してしています。
.iso
のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないので作成し直してください。GNOME 以外の Linux デスクトップや Linux 以外のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージの書き込み などのオプションを選択しているか確認してください。
6.3. インストール中のドライバー更新
- ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
- ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
- ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
6.3.1. ドライバーの自動更新
OEMDRV
というボリュームラベルが付いたブロックデバイスをコンピューターに接続しておきます。
OEMDRV
ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg
と命名し、デバイスのルートに格納する必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスを見つけると、ドライバー更新ディスクとみなし、このデバイスからのドライバー更新の読み込みを試行します。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。
図6.1 ドライバーの選択

[D]
6.3.2. アシスト付きのドライバー更新
OEMDRV
というボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用できるようにしておくことが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd
オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。まず最初に、Anaconda で ISO ファイルのスキャンをするため、一覧からローカルのディスクパーティションを選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェースでこのプロセスを強調表示しています。
図6.2 対話式のドライバー選択

[D]
OEMDRV
というボリュームラベルが付いていない場合は、引数なしで inst.dd
オプションを使用してメニューからそのデバイスを選択します。また、次のようにインストールプログラムの起動オプションを使ってメディアのスキャンを行いドライバーを検索することもできます。
inst.dd=/dev/sr0
6.3.3. 手動によるドライバー更新
inst.dd=location
を追加します。ここでは、location はドライバー更新ディスクへのパスに置き換えます。
図6.3 ドライバー更新へのパスの指定

[D]
6.3.4. ブラックリストへのドライバーの登録
modprobe.blacklist=driver_name
を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
modprobe.blacklist=
を使用してインストール時にブラックリストに追加したドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf
ファイルに表示されます。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、「23章起動オプション」を参照してください。
第7章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動
NFS
、FTP
、HTTP
、HTTPS
を使用したネットワークからインストールできます。完全インストール用 DVD から起動してインストールする方法が最も簡単な方法になります。これ以外のインストール方法の場合、いくつか別途にセットアップが必要にはなりますが、それぞれ異なる利点があります。たとえば、Red Hat Enterprise Linux を大量のマシンに同時にインストールする場合は、PXE サーバーから起動し、ネットワーク上の共有の場所に配置したソースからのインストールが最適な方法になります。
表7.1 起動方法とインストールソース
起動方法 | インストールソース |
---|---|
完全インストール用メディア (DVD または USB) | インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します |
最小限の起動メディア (CD または USB) | インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します |
ネットワーク起動 (PXE) | インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します |
- 「物理メディアからの起動」 では、物理メディア (Red Hat Enterprise Linux DVD、起動用 CD-ROM、USB フラッシュドライブ) を使ってインストールプログラムを起動する方法について説明しています。
- 「PXE を使ったネットワークからの起動」 では、PXE を使用してインストールプログラムを起動する方法を説明します。
- 「ブートメニュー」 には、起動メニューの情報が含まれています。
7.1. インストールプログラムの起動
7.1.1. 物理メディアからの起動
手順7.1 物理メディアからのインストールプログラムの起動
- インストールに必要のないドライブはすべて取り外します。詳細は、「USB ディスク」 を参照してください。
- コンピューターシステムの電源を入れます。
- コンピューターにメディアを挿入します。
- 起動メディアが挿入された状態でコンピューターの電源をオフにします。
- コンピューターシステムの電源を入れます。メディアから起動するため特定のキーやキーの組み合わせを押さなければならなかったり、メディアから起動するようシステムの BIOS (Basic Input/Output System) を設定しなければならない場合があります。詳細は、システムに同梱されているドキュメントをご覧ください。
7.1.2. PXE を使ったネットワークからの起動
Network Boot
または Boot Services
のラベルが付けられる場合があります。また、正しいネットワークインターフェースから最初に起動するよう BIOS が設定されていることを確認します。BIOS システムの中には、起動デバイスとしてネットワークインタフェースが指定されているにもかかわらず、PXE 規格に対応していないものがあります。詳細はハードウェアのドキュメントをご覧ください。PXE の起動を正しく有効にすると、他のメディアがなくても Red Hat Enterprise Linux インストールシステムを起動できます。
手順7.2 PXE を使ってネットワークからインストールプログラムを起動する
- ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
- コンピューターのスイッチをオンにします。
- ハードウェアによって PXE サーバーに接続する前にネットワーク設定と診断情報が表示される場合があります。接続すると、PXE サーバーの設定に応じたメニューが表示されます。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合はサーバーの管理者に問い合わせてください。
7.2. ブートメニュー
図7.1 起動画面

[D]
- BIOS ベースのシステムの場合、Tab キーを押してコマンドラインにカスタムの起動オプションを追加する方法を推奨しています。Esc キーを押して
boot:
プロンプトにアクセスすることもできますが、必要のない起動オプションは事前設定されていません。この場合、いずれの起動オプションを使用する場合もその前に linux オプションを必ず指定する必要があります。 - UEFI ベースのシステムの場合、e キーを押してコマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備が整ったら Ctrl+X を押して修正したオプションを起動します。
- Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
- グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
- Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
- このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティが起動します。
- Troubleshooting
>
- この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示した状態で Enter を押すとメニュー内容が表示されます。
図7.2 トラブルシューティングメニュー

[D]
- Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
- このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が歪んでいるか、何も表示されなくなってしまう場合は、コンピューターを再起動して、このオプションでやり直してみてください。
- Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
- 正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティプログラムが用意されています。
- Run a memory test
- システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
- Boot from local drive
- インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。
第8章 Anaconda を使用したインストール
- 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
- VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。「25章VNC の使用」を参照してください。
8.1. Anaconda の概要
8.2. インストール中のコンソールとロギング
8.2.1. コンソールへのアクセス
root
権限のある対話式シェルプロンプトを提供するもので、これはブートオプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効となっていなければ使用可能となります。
表8.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット | 内容 |
---|---|
Ctrl+b 1 | メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。 |
Ctrl+b 2 | root 権限のある対話式シェルプロンプト。 |
Ctrl+b 3 | インストールログ: /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。 |
Ctrl+b 4 | ストレージログ: /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイス関連のメッセージを表示します。 |
Ctrl+b 5 | プログラムログ ; /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。 |
8.2.2. スクリーンショットの保存
/tmp/anaconda-screenshots/
に保存されます。
8.3. テキストモードでのインストール
図8.1 テキストモードでのインストール

[D]
[x]
マークが表示され、インストールの開始前にユーザーの作業が必要な画面には [!]
マークが表示されます。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
Processing...
のラベルが表示されることがあります。テキストメニューアイテムの状態を更新するには、テキストモードのプロンプトで r オプションを使用します。
- インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
- 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
- カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
- インストールするパッケージアドオンを選択することはできません。それらはインストール完了後に Yum パッケージマネージャーを使用して追加する必要があります。
inst.text
起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。
8.4. グラフィカルユーザーインターフェースでのインストール
図8.2 インストールの概要 画面

[D]
表8.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー | 用途 |
---|---|
Tab または Shift+Tab | 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。 |
Up または Down | リストをスクロールします。 |
Left または Right | ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。 |
Space または Enter | 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。 |
8.5. 「ようこそ」の画面と言語設定
GeoIP
モジュールの使用による場所の自動検出に基づいて決定されます。
図8.3 言語設定

[D]
8.6. インストールの概要画面
図8.4 インストールの概要 画面

[D]
図8.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

[D]
8.7. 日付と時刻
- マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
- また、画面上部の 地域 と 都市 のドロップダウンメニューをスクロールしてタイムゾーンを選ぶこともできます。
- 地域 ドロップダウンメニューの一番下にある Etc を選ぶと、都市のメニューが GMT/UTC になり、たとえば
GMT+1
を選択できるようになります。
8.8. 言語サポート
Español
などのように言語を選択します。次に右側のパネルで Español (Costa Rica)
などのように地域固有のロケールを選択します。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。
図8.6 言語サポートの設定

[D]
8.9. キーボードの設定
図8.7 キーボードの設定

[D]
8.10. セキュリティーポリシー
/root/openscap_data
ディレクトリーに保存されます。
図8.8 セキュリティーポリシー選択画面

[D]
HTTP
、HTTPS
または FTP
サーバーから読み込むことができます。(http://
といった) プロトコルを含む、コンテンツの完全なアドレスを使用してください。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
8.11. インストールソース
図8.9 インストールソースの画面

[D]
- 自動検出したインストールメディア
- 完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。検証 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性のテストは、起動メニューで
Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux
を選択した場合、またはrd.live.check
起動オプションを使用して実行された場合と同じです。 - ISO ファイル
- このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択してから、ISO の選択 ボタンをクリックし、システム上にあるインストール ISO ファイルの場所を選択します。検証 ボタンをクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
- ネットワーク上
- ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
- http://
- https://
- ftp://
- nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。重要NFS ベースのインストールソースを選択する際には、ホスト名をコロン (":
") でパスから区切ったアドレスを指定する必要があります。以下は例になります。server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソース用のプロキシを設定するために プロキシの設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシを有効にする にチェックを入れ、URL を プロキシ URL ボックスに入力します。プロキシで認証が必要な場合は、認証を使用する にチェックを入れ、ユーザー名とパスワードを入力します。追加 をクリックします。使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
8.12. ネットワークとホスト名
em1
や wl3sp0
といった一貫性のある名前をネットワークデバイスの特定に使用するネットワークデバイス命名標準にはいくつかのタイプがあります。これらの標準については、『Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイド』を参照してください。
図8.10 ネットワークとホスト名の設定画面

[D]
localhost.localdomain
の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、インストールされるシステムの実際のホスト名はネットワーク設定時 (たとえば、DHCP または DNS を使用した NetworkManager) に設定されることを示しています。
8.12.1. ネットワーク接続の編集
8.12.2. 高度なネットワークインターフェース
図8.13 ネットワークとホスト名の設定画面

[D]
ボンド
: NIC (ネットワークインターフェースコントローラー) のボンドです。複数のネットワークインターフェースを一つのチャネルに結合する方式です。ブリッジ
: NIC ブリッジングです。複数の別個のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続します。チーム
: NIC のチームです。複数のリンクを集約する新しい実装になります。小型のカーネルドライバーを提供することでパケットフローを高速で処理し、各種アプリケーションがすべてのタスクをユーザー領域で行うよう設計されています。VLAN
: それぞれ孤立している異なる複数のブロードキャストドメインを作成する方法です。
図8.14 高度なネットワークインターフェースのダイアログ

[D]
8.13. ソフトウェアの選択
- 横線の 上 に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
- 横線の 下 に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。
図8.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

[D]
server
の場合はサーバー向けの環境が提供され、workstation
の場合は開発者向けワークステーションとしての導入を対象とした選択肢が提供されます。
repodata/*-comps-variant.architecture.xml
ファイルをご覧ください。このファイルには、利用可能な環境 (<environment>
タグ) およびアドオン (<group>
タグ) を記述した構造が含まれています。
8.13.1. コアとなるネットワークサービス
rsyslog
サービスを利用した集中ログ記録機能- SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
- NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
- SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
- mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
8.14. インストール先
特殊なケース
- RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。これに該当する場合は、
/boot
パーティションは別のハードドライブなどの RAID アレイ以外のパーティションに作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。また、/boot
パーティションはソフトウェア RAID の設定にも必要になります。システムのパーティション設定を自動で選択した場合は、/boot
パーティションを手動で編集する必要があります。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。 - Red Hat Enterprise Linux ブートローダーが、別のブートローダーから チェーンロード するように設定するには、インストール先 画面で 完全なディスク要約とブートローダー をクリックして、手動でブートドライブを指定する必要があります。起動ドライブを指定する方法は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
- マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 の画面ではマルチパスのみ、またはマルチパス以外のみのいずれかを選択することが推奨されます。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。
図8.16 ストレージ領域の概要

[D]
- パーティション構成 のセクションでは、ストレージデバイスのパーティション設定方法とボリュームの作成方法を選択することができます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。自動パーティション設定を行う場合は、デフォルトで選択されている Automatically configure partitioning のラジオボタンにチェックを入れたままにすると、インストールプログラムが必要なパーティションとボリュームをストレージに自動作成します。自動でのパーティション設定の場合、I would like to make additional space available のチェックボックスを選択すると、他のファイルシステムの領域をこのインストールに再配分する方法を選択できます。Done をクリックすると、ダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。
図8.17 インストールオプションのダイアログ内の「領域を確保する」オプション
[D]Red Hat Enterprise Linux software selection リンクをクリックします。このリンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動し、インストールするソフトウェアを変更してストレージ領域を追加で開放できます。別の方法では、Cancel & add more disks をクリックして、Installation Destination 画面に戻り、ストレージデバイスを追加するか、手動でパーティションを設定することができます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムからストレージ領域を開放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。手動による設定を行うため、I will configure partitioning のラジオボタンを選択した場合は、Done をクリックすると Manual Partitioning の画面に移動します。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。 - Encryption セクションで Encrypt my data のチェックボックスを選択すると、
/boot
パーティション以外、すべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細は『Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド』を参照してください。
8.14.1. ブートローダーのインストール
図8.18 選択したディスクの要約

[D]
8.14.1.1. MBR と GPT に関する注意点
- BIOS システム、および BIOS 互換性モードの UEFI システム
- ディスクが既にフォーマットされている場合、パーティションスキームは維持されます。ディスクがフォーマットされていない場合、もしくはユーザーがディスクからすべてのパーティションを削除した場合は、Anaconda は以下を使用します。
- ディスクに 232 未満のセクターしかない場合、MBR を使用。一般的にディスクセクターは 512 バイトで、これは 2 TiB に当たります。
- ディスクに 232 以上のセクターがある場合、GPT を使用。注記デフォルトの動作を無効にしてサイズが 232 セクター未満のディスクで GPT を使用する場合は、
inst.gpt
オプションを起動コマンドラインに追加します。232 セクター以上のディスク上で MBR を使用するよう Anaconda を手動で無効にすることはできない点に注意してください。
ブートローダーが GPT を使用するディスクの BIOS システム上にインストールするには、BIOS Boot (biosboot) パーティションを作成する必要があります。biosboot
パーティションのサイズは 1 MiB にしてください。ただし、ブートローダーが MBR を使用するディスクの場合には、biosboot
パーティションは必要 ありません。 - UEFI システム
- UEFI のシステム上で使用できるのは GPT のみです。MBR があるフォーマット済みディスクにインストールするには、まずディスクの再フォーマットが必要になります。パーティションスキームに関係なく、EFI System Partition ((
/boot/efi
) を作成する必要があります。(/boot/efi
のサイズは少なくとも 50 MiB にしてください。推奨サイズは 200 MiB になります。注記biosboot
、efi
パーティション、どちらも LVM ボリュームには格納できません。このパーティションは標準の物理パーティションに格納してください。
8.14.2. パーティションの暗号化
図8.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

[D]
8.14.3. ディスク領域の獲得
図8.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

[D]
- Preserve: ファイルシステムの現状を維持します。データは消去されません。これがデフォルト動作です。
- Delete: ファイルシステムを完全に消去します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
- Shrink: ファイルシステムから空の領域を回収し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
- Delete all/Preserve all: 右側にあるこのボタンをクリックすると、デフォルトで全ファイルシステムに削除のマークが付けられます。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
8.14.4. 手動パーティション設定
図8.21 手動パーティション設定の画面

[D]
8.14.4.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
/
、/home
、/boot
、swap
のパーティションまたはボリュームを使用することを推奨します。必要に応じて、その他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
/boot
パーティション、/
(ルート) ボリューム、swap ボリュームがストレージのサイズに合わせて生成されます。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
/
、boot パーティションに /boot
など)。次にファイルシステムのサイズを 割り当てる容量 のテキストフィールドに入力します (たとえば、2GiB
と入力する)。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
/boot
のような既知の固定サイズの小型パーティションを作成し、それから残りのパーティションを作成することで、インストールプログラムが残りの領域をそれらのパーティションに割り当てられるようにします。
標準パーティション
、BTRFS
、LVM
、LVM シンプロビジョニング
のオプションが選択できます。/boot
パーティションは、このメニューで選択した値に関わらず、常に標準パーティションに配置されるので注意してください。
図8.22 マウントポイントの設定

[D]
図8.23 ディスクの再スキャン

[D]
図8.24 パーティションのカスタマイズ

[D]
- マウントポイント: ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は
/
を入力します。/boot
ファイルシステムの場合は/boot
などと入力します。swap ファイルシステムの場合は、マウントポイントを設定しないでください。ファイルシステムタイプをswap
に設定するだけで十分です。 - 割り当てる容量: ファイルシステムに割り当てる容量を入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
- デバイスタイプ: Standard Partition、LVM、RAID、LVM Thin Provisioning または BTRFSのいずれかを選択します。パーティションやボリュームを暗号化するには、横にある 暗号化 ボックスにチェックを入れます。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。パーティション設定に複数のディスクが選択されている場合にのみ、RAID が使用可能になります。このタイプを選択すると、RAID Level も設定できます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループを指定できます。
- ファイルシステム: ドロップダウンメニューでこのパーティションまたはボリュームに適切なファイルシステムタイプを選択します。既存のパーティションをフォーマットする場合は、横の 再フォーマット ボックスにチェックを入れます。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
- ラベル: パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
- 名前: LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションの場合は作成時に自動的に名前が付けられるため名前の変更はできません。たとえば、
/home
にはsda1
という名前が付けられます。
/usr
または /var
のパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、これらのディレクトリーには起動に欠かせないコンポーネントが含まれているため起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy
のエラーでハングしたりする可能性があります。
/usr
と /var
のみに適用されるもので、これらの下のディレクトリーには該当しません。たとえば、/var/www
向けの個別パーティションは問題なく機能します。
8.14.4.1.1. ファイルシステムのタイプ
デバイスタイプ
- 標準のパーティション: 標準のパーティションにはファイルシステムや swap 領域を含めることができます。また、ソフトウェア RAID や LVM の物理ボリューム用コンテナーになる場合もあります。
- 論理ボリューム (LVM): LVM パーティションを作成すると、自動的に LVM 論理ボリュームが生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理』を参照してください。
- LVM thin provisioning: シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる、空き領域のストレージプールを管理でき、アプリケーションで必要になった時に任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理』を参照してください。警告Anaconda は、オーバープロビジョニングの LVM シンプールをサポートしていません。注記インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
- ソフトウェア RAID: 複数のソフトウェア RAID パーティションを作成して 1 台の RAID デバイスとして構成します。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイド』を参照してください。
ファイルシステム
- XFS: 最大 16 EiB (約 160 億 GiB) のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80 億 GiB) のファイル、および数千万のエントリーを含むディレクトリー構造に対応する、スケーラビリティーと性能が高いファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
- ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、いくつか改善が加えられています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
- ext3: ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリング機能を使用すると、クラッシュが発生するたびに
fsck
ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元に要する時間を短縮することができます。 - ext2: ext2 ファイルシステムは標準の Unix ファイルタイプに対応しています (通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど)。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
- vfat: VFAT ファイルシステムは Linux ファイルシステムです。FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名との互換性があります。
- swap: Swap パーティションは仮想メモリーに対応するため使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
- BIOS Boot: BIOS システムの GUID パーティションテーブル (GPT) でデバイスを起動する場合に必要となる小さなパーティションです。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
- EFI System Partition: UEFI システムの GUID パーティションテーブル (GPT) でデバイスを起動する場合に必要となる小さいパーティションです。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
8.14.4.2. ソフトウェア RAID の作成
図8.25 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプ メニューを展開した例

[D]
- 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
- 左側のペインでパーティションを選択した状態で、ペイン下部にある設定ボタンを選択し マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。RAID デバイスに含めるディスクを選択してから 選択 をクリックします。
- デバイスタイプ のドロップダウンメニューをクリックして RAID を選択します。
- ファイルシステム のドロップダウンメニューをクリックして目的のファイルシステムタイプを選択します (「ファイルシステムのタイプ」を参照)。
- RAID レベル のドロップダウンメニューをクリックして目的の RAID レベルを選択します。利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
- RAID0: パフォーマンス (ストライプ)
- データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID1: 冗長化 (ミラーリング)
- 1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID4: エラーチェック (パリティー)
- データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID5: 分散エラーチェック
- データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID6: 冗長エラーチェック
- RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID10: 冗長化 (ミラーリング) および パフォーマンス (ストライプ)
- RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで構成されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
- 設定の更新 をクリックして変更を保存し、別のパーティションの設定に移動するか、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
8.14.4.3. LVM 論理ボリュームの作成
図8.26 論理ボリュームの設定

[D]
- 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
- デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウンメニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
- また、必要に応じて、メニューをクリックし 新規 volume group を作成中... を選択するか、変更 をクリックして新規に作成したボリュームグループを設定します。新規 volume group を作成中... オプション、変更 ボタンのいずれを使用しても Configure Volume Group ダイアログが表示されることになります。このダイアログで論理ボリュームグループの名前を変更したり、含めるディスクを選択することができます。注記設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、対話シェルに切り替え、vgcreate コマンドで手動で作成するか、キックスタートファイルで volgroup --pesize=size コマンドを使用して作成します。
図8.27 LVM ボリュームグループのカスタマイズ
[D]利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。- 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるので、設定した論理ボリュームを格納する適切なサイズになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
- できるだけ大きく: 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
- 固定: このオプションではボリュームグループのサイズを正確に設定することができます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
グループ設定が終わったら、Save をクリックします。 - 設定の更新 をクリックして変更を保存し、別のパーティションの設定に移動するか、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
/boot
パーティションの配置には対応していません。
8.14.4.4. 推奨されるパーティション設定スキーム
/boot
/
(ルート)/home
swap
-
/boot
パーティション: 最小限 1 GiB のサイズを推奨しています /boot
にマウントするパーティションには、オペレーティングシステムのカーネルが含まれます。これにより、起動プロセス中に使用されるファイルと共に Red Hat Enterprise Linux が起動します。大概のファームウェアには制限があるため、そのファームウェアを格納する小さいパーティションを作成することが推奨されます。ほとんどの場合は、1 GiB の boot パーティションで十分です。他のマウントポイントとは異なり、LVM ボリュームを/boot
に使用することはできません。/boot
は別個のディスクパーティションにある必要があります。警告通常、/boot
パーティションはインストールプログラムで自動的に作成されます。ただし、/
(ルート) パーティションのサイズが 2 TiB を超え、また起動に (U)EFI を使用する場合は、マシンを正常に起動させるため 2 TiB 未満の/boot
パーティションを別途に作成する必要があります。注記RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。これに該当する場合は、/boot
パーティションを別のハードドライブなどの RAID アレイ以外のパーティションに作成する必要があります。/
: 10 GiB のサイズを推奨しています- これは、「
/
(ルート)」ディレクトリーを置く場所です。ルートディレクトリーは、ディレクトリー構造のトップレベルです。デフォルトでは、書き込み先のパスに別のファイルシステムがマウントされていない限り (/boot
や/home
など)、すべてのファイルがこのファイルシステムに書き込まれます。root ファイルシステムが 5 GiB の場合は最小インストールが可能ですが、パッケージグループをいくつでもインストールできるように、少なくとも 10 GiB を割り当てておくことが推奨されます。重要/
ディレクトリーと/root
ディレクトリーを混同しないよう注意してください。/root
ディレクトリーは root ユーザーのホームディレクトリーになります。/root
ディレクトリーは、root ディレクトリーと区別するため、スラッシュルート ディレクトリーと呼ばれることがあります。 /home
: 最小限 1 GiB のサイズを推奨しています- システムデータとユーザーデータを別々に格納する場合には、ボリュームグループ内に
/home
ディレクトリー専用のファイルシステムを作成します。ファイルシステムのサイズはローカルで保存するデータ量やユーザー数などを基に決定してください。こうすることで、ユーザーデータのファイルを消去せずに Red Hat Enterprise Linux をアップグレードしたり、再インストールしたりできるようになります。自動パーティション設定を選択する場合は、インストールに少なくとも 55GiB のディスク領域を確保して/home
ファイルシステムが作成されるようにすることが推奨されます。 swap
パーティション: 最小限 1 GB のサイズを推奨しています- 仮想メモリーは、swap ファイルシステムによりサポートされています。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータは swap ファイルシステムに書き込まれます。swap サイズはシステムメモリーのワークロードに依存するため、システムメモリーの合計ではありません。したがって、システムメモリーサイズの合計とは等しくなりません。したがって、システムメモリーの作業負荷を判断するためには、システムで実行するアプリケーションの種類、およびそのアプリケーションにより生じる負荷を分析することが重要になります。アプリケーションにより生じる負荷に関するガイダンスはアプリケーション提供元または開発側より提供されているはずです。システムで swap 領域が不足すると、システムの RAM メモリーがすべて使用されるため、カーネルがプロセスを終了します。swap 領域が大き過ぎても、割り当てられているストレージデバイスがアイドル状態となり、リソース運用面では効率が悪くなります。また、swap 領域が大き過ぎるとメモリーリークに気付きにくくなる可能性があります。swap パーティションの最大サイズおよび詳細については
mkswap(8)
の man ページをご覧ください。以下の表では、システムの RAM の容量別に推奨されるスワップパーティションのサイズと、システムをハイバネートするのに十分なメモリーが必要かどうかを示しています。インストールプログラムでシステムのパーティション設定を自動的に実行する場合、swap パーティションのサイズはこのガイドラインに沿って決められます。自動パーティション設定では、ハイバネートは使用しないことを前提としています。このため、swap パーティションの上限が、ハードドライブの合計サイズの最大 10% に制限され、インストーラーでは、128 GB 以上のサイズの swap パーティションが作成されません。ハイバネートを行うために十分な swap 領域を設定する場合、もしくはシステムのストレージ領域の 10% 以上を swap パーティションに設定する場合、または 128 GB を超えるサイズにする場合は、パーティション設定のレイアウトを手動で編集する必要があります。表8.3 システムの推奨 swap 領域
システム内の RAM の容量 推奨されるスワップ領域 ハイバネートを許可する場合に推奨される swap 領域 2 GB 未満 RAM 容量の 2 倍 RAM 容量の 3 倍 2 GB - 8 GB RAM 容量と同じ RAM 容量の 2 倍 8 GB - 64 GB 4GB から RAM 容量の半分まで RAM 容量の 1.5 倍 64 GB を超える場合 ワークロードによる (最小 4GB) ハイバネートは推奨されません それぞれの範囲の境界線上になる場合は (システムの RAM が 2 GB、8 GB、64 GB などの場合)、swap 領域の決定やハイバネートへの対応についての決定は適宜判断してください。システムリソースに余裕がある場合は、swap 領域を増やすとパフォーマンスが向上することがあります。swap 領域を複数のストレージデバイスに分散させても、swap 領域のパフォーマンスが向上します (高速ドライブやコントローラー、インターフェースなどを備えたシステムで特に効果的)。
8.14.4.4.1. パーティション設定に関するアドバイス
- 機密データを格納する可能性があるパーティションには暗号化を検討してください。暗号化を行うと、権限を持たない人が物理ストレージデバイスにアクセスできても、暗号化したパーティションにあるデータにアクセスできなくなります。ほとんどの場合、少なくとも
/home
パーティションは暗号化してください。 - システムにインストールされるカーネルは、それぞれ
/boot
パーティション上に約 56 MB の領域を必要とします。- 32 MB initramfs
- 14 MB kdump initramfs
- 3.5 MB のシステムマップ
- 6.6 MB vmlinuz
注記レスキューモードの場合、initramfs
およびvmlinuz
には 80 MB が必要です。ほとんどの一般的な用途では、/boot
のデフォルトパーティションサイズである 1 GiB で十分です。ただし、複数のカーネルリリースまたはエラータカーネルを保持する予定がある場合は、このパーティションのサイズを増大させることが推奨されます。 /var
ディレクトリーには、Apache web サーバーなど複数のアプリケーションのコンテンツが収納されます。また、ダウンロードした更新パッケージの一時的な保存にも使用されます。/var
ディレクトリーを持たせるパーティションには、ダウンロードした更新パッケージの一時的な保存や他のコンテンツの収納ができるよう十分な領域を確保してください。- PackageKit 更新ソフトウェアにより、デフォルトで更新パッケージが
/var/cache/yum/
にダウンロードされます。/var
用に別途パーティションやボリュームを作成する場合は、ダウンロードしたパッケージ更新を収納できるよう少なくとも 3GB のサイズにしてください。 /usr
ディレクトリーには、Red Hat Enterprise Linux システムの大抵のソフトウェアコンテンツが格納されています。デフォルトのソフトウエア一式をインストールするには、少なくとも 5 GB の領域を割り当ててください。システムをソフトウェア開発用ワークステーションとして使用する場合には、最低でも 10GB の領域を割り当てます。/usr
または/var
のパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、これらのディレクトリーには起動に欠かせないコンポーネントが含まれているため起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際にDevice is busy
のエラーでハングしたりする可能性があります。これらの制限は/usr
と/var
のみに適用されるもので、これらの下のディレクトリーには該当しません。たとえば、/var/www
向けの個別パーティションは問題なく機能します。- LVM ボリュームグループ内の一部領域を未割り当てのまま残しておくことを検討してください。このように未割り当ての領域を残すことで、領域の要件が変化しても、他のボリュームからデータを削除してストエージを再割り当てることを避ける場合など、柔軟性が得られます。また、パーティションに シンプロビジョニング デバイスタイプを選択し、ボリュームに未使用の領域を自動的に処理させることもできます。
- サブディレクトリーを別々のパーティションに分離しておくと、現在のシステムに新規バージョンの Red Hat Enterprise Linux をインストールする時に、そのサブディレクトリー内のコンテンツを保持できます。たとえば、
/var/lib/mysql
内で MySQL データベースを実行する予定の場合には、このディレクトリー用のパーティションを別途に作成し、再インストールが必要な事態に備えることができます。 - ブートローダーが GPT (GUID パーティションテーブル) を使用する BIOS システムには、1 MiB の
biosboot
パーティションを作成する必要があります。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。 - UEFI システムには、EFI System Partition ファイルシステムを格納する
/boot/efi/
のマウントポイントがある小さなパーティションが必要です。推奨サイズは 200 MiB です。これは自動パーティションを設定する場合のデフォルト値です。
8.15. ストレージデバイス
図8.28 ストレージ領域の概要

[D]
dmeventd
デーモンによる LVM およびソフトウェア RAID デバイスのモニタリングは実行されません。
8.15.1. ストレージデバイス選択の画面
- マルチパスデバイス
- 同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
- その他の SAN デバイス
- SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
- NVDIMM デバイス
- マシン上にある非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) ストレージデバイスです。
図8.29 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

[D]
- iSCSI ターゲットを追加: iSCSI デバイスをアタッチする場合は、このボタンを押します。「iSCSI パラメーターの設定」 に進んでください。
- FCoE SAN を追加: Fibre Channel Over Internet ストレージデバイスを設定する場合は、このボタンを押します。「FCoE パラメーターの設定」 に進んでください。
- Reconfigure NVDIMM: NVDIMM デバイスをセクターモードに再構成する場合は、このボタンを押します。「NVDIMM デバイスの設定」 に進んでください。
- 一覧の更新: インストーラーの開始後にデバイスが追加された場合は、このボタンを押して一覧を再読み込みします。
図8.30 ストレージデバイスの検索タブ

[D]
/etc/fstab
ファイルを変更すればシステムに追加することができます。
8.15.1.1. 高度なストレージオプション
図8.31 高度なストレージオプション

[D]
8.15.1.1.1. iSCSI パラメーターの設定
図8.32 iSCSI 検出詳細のダイアログ

[D]
手順8.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始
- ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力します。
- iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN) の形式で iSCSI イニシエーターの名前を入力します。IQN エントリーには次を含めてください。
- 「
iqn.
」の文字列 (ピリオドが必要) - 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で構成。たとえば、2010 年 9 月の場合は
2010-09.
のようになります。 - 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。例、
storage.example.com
のサブドメインは、com.example.storage
と表す。) - コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。たとえば、
:diskarrays-sn-a8675309
のようになります。
以上から、完全な IQN はiqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309
のようになります。anaconda では、IQN を構成しやすいようこの形式による任意の名前がすでに iSCSI イニシエータ名フィールドに自動入力されています。IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。 - 認証のタイプの検出 ドロップダウンメニューを使って iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
- 証明書なし
- CHAP 秘密鍵
- CHAP 秘密鍵とリバースペア
- 認証タイプに CHAP 秘密鍵 を選択した場合は CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード の各フィールドにユーザー名とパスワードを入力します。
- 認証タイプに CHAP 秘密鍵とリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード の各フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。また、逆順 CHAP ユーザー名 と 逆順 CHAP パスワード の各フィールドに iSCSI イニシエーターのユーザー名とパスワードを入力します。
- オプションで ターゲットをネットワークインターフェースへバインドする というラベルが付いたボックスにチェックを付けることができます。
- Start Discovery ボタンをクリックします。入力情報を使って Anaconda による iSCSI ターゲットの検索が試行されます。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
- 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。
図8.33 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
[D] - ノードのログイン認証のタイプ には、ステップ 3 で説明した 認証のタイプの検出 メニューと同じオプションが表示されます。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うため、メニューから 検出時の証明書を使用 オプションを使用します。適切な認証情報が提供されると、ログイン ボタンがクリックできるようになります。
- ログイン をクリックして、iSCSI セッションを開始します。
8.15.1.1.2. FCoE パラメーターの設定
図8.34 FCoE パラメーターの設定

[D]
- DCB を使用する
- Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェースでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを実装するインターフェース上での設定の場合には、このチェックボックスは空のままにしておいてください。
- 自動 vlan の使用
- 自動 VLAN では、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このボックスにチェックを入れると、リンク設定が検証された後、FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルがイーサネットインタフェースで実行されます。まだ設定が行われていない場合には、検出された FCoE VLAN 全てに対してネットワークインターフェースが自動的に作成され、FCoE のインスタンスが VLAN インターフェース上に作成されます。このオプションはデフォルトで有効になっています。
8.15.1.1.3. NVDIMM デバイスの設定
図8.35 NVDIMM の再構成

[D]
図8.36 正常に再構成された NVDIMM

[D]
8.16. Kdump
図8.37 Kdump の有効化と設定

[D]
8.17. インストールの開始
図8.38 インストールの準備完了

[D]
8.18. 設定のメニューと進捗状況の画面
図8.39 パッケージのインストール

[D]
図8.40 暗号用のエントロピーの収集

[D]
root
アカウントを設定します。このアカウントでは、重要なシステム管理と管理タスクを実行できます。wheel
グループメンバーシップを持つユーザーアカウントでも、同様のタスクを実行できます。このユーザーアカウントをインストール中に作成した場合は、root
パスワードの設定は必須ではなくなります。
8.18.1. Root パスワードの設定
図8.41 Root パスワード画面

[D]
root
アカウントを使用する、または管理者権限のあるユーザーアカウントを作成する(wheel
グループのメンバー)、もしくはこれら両方です。
- 最低でも 8 文字の長さが 必要 である
- 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
- 大文字と小文字を区別するため、これらの組み合わせを使用する
- 覚えやすいが他人からは簡単に推測できないものにする
- ユーザーまたはユーザーが属する組織と関連のある単語や略語、数字、また辞書にある単語 (外国語も含む) などは避ける
- パスワードは書き留めない (書き留めておく必要がある場合は、安全な所に保管してください)
root
で passwd コマンドを実行します。root パスワードを忘れた場合は、 「root パスワードのリセット」 にあるレスキューモードを使用して新しい設定方法を参照してください。
8.18.2. ユーザーアカウントの作成
root
アカウントを使用する、または管理者権限のあるユーザーアカウントを作成する(wheel
グループのメンバー)、もしくはこれら両方です。
図8.42 ユーザーアカウント設定画面

[D]
図8.43 高度なユーザー設定

[D]
1000
から始まります。ダイアログの下部では、この新規ユーザーが所属することになる追加グループをコンマで区切った一覧形式で入力することができます。この新規グループがシステム内に作成されます。グループ ID をカスタマイズする場合は、ID 番号を括弧で囲んで指定します。
1000
ではなく 5000
から始まる範囲の ID を設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループに予約してある 0
-999
の範囲が今後広がり、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
8.19. インストールの完了
login:
プロンプト)。
第9章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング
/tmp
ディレクトリー内のファイルにログ記録しています。以下の表に各種のログファイルを示します。
表9.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル | 内容 |
---|---|
/tmp/anaconda.log | Anaconda の全般メッセージ |
/tmp/program.log | インストール中に実行されたすべての外部プログラム |
/tmp/storage.log | ストレージモジュールの詳細情報 |
/tmp/packaging.log | yum および rpm パッケージのインストールメッセージ |
/tmp/syslog | ハードウェア関連のシステムメッセージ |
/tmp/anaconda-tb-identifier
に集約されます。identifier はランダムな文字列です。
/var/log/anaconda/
ディレクトリーにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all
オプションまたは inst.nosave=logs
オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。ファイルを永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使ってネットワーク上の別のシステムにファイルをコピーするか、マウントしたストレージデバイスにコピーします (USB フラッシュドライブなど)。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。USB フラッシュドライブやその他のリムーバブルメディアを使用している場合は、以下の手順を開始する前のそれらのデータのバックアップを作成するようにしてください。
手順9.1 ログファイルを USB ドライブに転送する
- インストールしているシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
- USB フラッシュドライブをシステムに挿入してから dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
[ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
接続デバイスの名前をメモしておきます。この例の場合、sdb
がデバイス名です。 /mnt
ディレクトリーに移動してから、USB ドライブをマウントするための新規ディレクトリーを作成します。ディレクトリー名は何でも構いません。以下の例ではusb
という名前を使用しています。#
mkdir usb- USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ドライブ全体をマウントするのではなく、ドライブ上の一つのパーティションにマウントするのが一般的です。したがって、
sdb
の名前は使用せず、ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。以下の例ではsdb1
という名前を使用しています。#
mount /dev/sdb1 /mnt/usbマウントしたデバイスにアクセスして内容を一覧表示し、その内容が期待どおりのものであるかを確認することで、正しいデバイスをマウントしているかがわかります。#
cd /mnt/usb#
ls - ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。
#
cp /tmp/*log /mnt/usb - USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ドライブがビジー状態であるというようなメッセージを受け取る場合は、アンマウントしようとしているディレクトリーで作業している可能性があるので、それ以外のディレクトリーに移動します (
/
など)。#
umount /mnt/usb
手順9.2 ネットワークを介してログファイルを転送する
- インストールしているシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
- ログファイルが格納されている
/tmp
ディレクトリーに移動します。#
cd /tmp - scp コマンドを使ってネットワーク経由でログファイルを別のシステムにコピーします。
#
scp *log user@address:pathuser には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john
というユーザー名で、192.168.0.122
という IP アドレスのシステムにある、/home/john/logs/
というディレクトリーにログファイルを転送する場合のコマンドは次のようになります。#
scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
yes
と入力して Enter を押し、作業を続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
9.1. インストール開始時の問題
9.1.1. UEFI セキュアブートが有効になっているとシステムが起動しない
9.1.2. グラフィカルインストールの起動に関連する問題
- 基本的なグラフィックモードを使用する
- 基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、起動メニューから Troubleshooting > Install Red Hat Enterprise Linux in basic graphics mode を選択するか、インストールプログラムの起動オプションを編集して、コマンドラインの末尾に
inst.xdriver=vesa
を追加します。 - ディスプレイの解像度を手動で指定する
- インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これには、起動メニューに
inst.resolution=x
オプションを追加します。x はディスプレイの解像度 (1024x768
など) に置き換えます。 - 代替のビデオドライバーを使用する
- カスタムのビデオドライバーを設定し、インストールプログラムの自動検出を無効にすることもできます。ドライバーを指定するには、
inst.xdriver=x
オプションを使用します。x は使用するデバイスドライバー (nouveau
など)* です。注記カスタムのビデオドライバーを指定すると問題が解決する場合は、anaconda
コンポーネントのバグとしてこの問題 https://bugzilla.redhat.com を報告してください。Anaconda はハードウェアを自動的に検出し、適切なドライバーをユーザーの介入なしに使用できます。 - VNC を使用したインストールを行う
- 上記で説明したオプションがいずれも失敗する場合は、別のシステムと Virtual Network Computing (VNC) プロトコルを使用して、ネットワーク経由でグラフィカルインストールにアクセスできます。VNC を使用したインストールの詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。
9.1.3. シリアルコンソールが検出されない
9.2. インストール中の問題
9.2.1. ディスクが検出されない
9.2.2. トレースバックメッセージの報告
図9.1 クラッシュレポートのダイアログボックス

[D]
tty1
に移動するので、そこでバグ報告を補強するより正確な情報を入手することができます。tty1
からグラフィカルインターフェースに戻るときは continue コマンドを使用します。
図9.2 クラッシュレポートのダイアログを展開した例

[D]
手順9.3 Red Hat カスタマーポータルにエラーを報告する
- 表示されるメニューで Report a bug to Red Hat Customer Portal (Red Hat カスタマーポータルに報告する) を選択します。
- Red Hat にバグを報告するには、まずカスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。Red Hat カスタマーサポートを設定する(Configure Red Hat Customer Support) をクリックします。
図9.3 カスタマーポータル認証情報
[D] - 新しいウィンドウが開き、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力が求められます。Red Hat カスタマーポータル認証情報を入力してください。
図9.4 Red Hat カスタマーサポートの設定
[D]HTTP
またはHTTPS
プロキシを必要とするネットワーク設定の場合は、高度 (Advanced) メニューを展開すると、プロキシサーバーのアドレスを入力することができます。必要な認証情報をすべて入力したら OK をクリックして先に進みます。 - テキストフィールドがある新しいウィンドウが表示されます。ここに関連情報やコメントを入力します。クラッシュレポートのダイアログが表示されるまでに行った動作を一つずつ入力し、どのようにしたらエラーが再現できるかを説明してください。できるだけ具体的に、デバッグを行った場合はそのときに得られた情報も入力してください。ここに入力された情報はカスタマーポータルで公開される可能性があるので注意してください。エラーの原因がわからない場合は、ダイアログの下部にある この問題の原因がわかりません。(I don't know what caused this problem) というラベルが付いたボックスに印を付けます。Forward (進む) をクリックします。
図9.5 問題の詳細を入力する
[D] - 次に、カスタマーポータルに送信する情報を再確認します。入力した状況詳細は comment (コメント) タブにあります。他のタブには、システムのホスト名やインストール環境に関する詳細などが含まれています。Red Hat に送信したくない情報は削除することができます。ただし、報告していただく内容が限られると、問題の調査に影響するため注意してください。送信情報の再確認が終わったら Forward (進む) をクリックします。
図9.6 送信データの再確認
[D] - 添付ファイルとしてバグ報告に含ませて送信するファイルの一覧を確認します。このファイルには調査に役立つシステム関連情報が含まれています。特定のファイルを送信したくない場合は、そのファイルの横にあるボックスのチェックマークを外します。問題の発見に役立つ可能性のあるファイルを追加で送信する場合は ファイルの添付 (Attach a file) をクリックします。送信ファイルを再確認したら、データを見直しました、送信に同意します(I have reviewed the data and agree with submitting it) というラベルが付いたボックスに印を付けます。Forward (進む) をクリックして、レポートと添付ファイルをカスタマーポータルに送信します。
図9.7 送信ファイルの再確認
[D] - ダイアログに処理完了の通知が表示されたら、ログの表示 (Show log) をクリックして報告プロセスの詳細を表示するか、Close をクリックして、最初のクラッシュ報告ダイアログボックスに戻ります。Quit をクリックしてインストールを終了します。
9.2.3. プレインストールログファイルの作成
inst.debug
オプションを設定して環境からログファイルを作成することができます。これらのログファイルには、現行のストレージ設定などが含まれます。
- Install Red Hat Enterprise Linux 7.3 エントリーを選択します。
- Tab キーを押して、ブートオプションを編集します。
- オプションに
inst.debug
を追加します。以下は例になります。> vmlinuz ...
inst.debug
詳細は23章起動オプションを参照してください。 - Enter を押してセットアップを開始します。
/tmp/pre-anaconda-logs/
ディレクトリーに保存します。このログファイルにアクセスするには、以下を実行します。
- コンソールに切り替えます。「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
/tmp/pre-anaconda-logs/
ディレクトリーに移動します。# cd /tmp/pre-anaconda-logs/
9.3. インストール後の問題
9.3.1. RAID カードから起動できない
grub>
など) と点滅するカーソルしか表示されない場合があります。このような場合、システムのパーティションを再設定し、/boot
パーティションとブートローダーを RAID アレイの外側に移動する必要があります。/boot
パーティションとブートローダーは同じドライブ上に配置してください。
9.3.2. グラフィカルな起動シーケンスに関する問題
手順9.4 グラフィカルな起動を一時的に無効にする
- コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期限を 0 に設定している場合は、Esc キーを押すとアクセスできます。
- ブートローダーメニューが表示されたら、カーソル移動キー (矢印キー) を使って起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してそのエントリーのオプションを編集します。
- オプション一覧内でカーネル行を探します。カーネル行は
linux
(またはlinux16
やlinuxefi
の場合もあり) で始まります。この行でrhgb
オプションを探して削除します。オプションが隠れて見えないこともあります。カーソル移動キーを使って画面をスクロールしてみてください。 - F10 キーまたは Ctrl+X の組み合わせを押して、編集を行ったオプションでシステムを起動します。
手順9.5 グラフィカルな起動を永続的に無効にする
- su - コマンドで
root
アカウントにログインします。$
su - - grubby ツールを使って、デフォルトの GRUB2 カーネルを見つけます。
#
grubby --default-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64 - grubby ツールを使って、上記のステップで特定されたデフォルトのカーネルから GRUB2 設定で
rhgb
ブートオプションを削除します。以下に例を示します。#
grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64
--remove-args="rhgb"
パラメーターを --args="rhgb"
で置き換えます。これで rhgb
ブートオプションが GRUB2 設定のデフォルトカーネルに戻されます。
9.3.3. グラフィカル環境での起動
graphical.target
に変更する必要があります。設定を終えたらコンピューターを再起動します。システムが再起動すると、グラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。
手順9.6 グラフィカルなログインをデフォルトとして設定する
- シェルプロンプトを開きます。ユーザーアカウントでログインしている場合は su - コマンドで root になります。
- デフォルトのターゲットを
graphical.target
に変更します。次のコマンドを実行します。#
systemctl set-default graphical.target
root
で実行します。
#
systemctl set-default multi-user.target
9.3.4. グラフィカルユーザーインターフェースが表示されない
9.3.5. ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする
$
df -h
/home
にあります。以下は、df コマンドの出力例です。
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/mapper/vg_rhel-root 20G 6.0G 13G 32% / devtmpfs 1.8G 0 1.8G 0% /dev tmpfs 1.8G 2.7M 1.8G 1% /dev/shm tmpfs 1.8G 1012K 1.8G 1% /run tmpfs 1.8G 0 1.8G 0% /sys/fs/cgroup tmpfs 1.8G 2.6M 1.8G 1% /tmp /dev/sda1 976M 150M 760M 17% /boot /dev/dm-4 90G 90G 0 100% /home
/home
パーティションが満杯状態であるためクラッシュの原因になっていることがわかります。不必要なファイルを削除して領域を解放します。空き領域を確保したら、startx コマンドで Xを開始します。
-h
オプションなど) の詳細は、df(1)
man ページを参照してください。
9.3.6. RAM が認識されませんか?
mem=
カーネルオプションを使用して手動でメモリーの容量を設定できます。
手順9.7 メモリーを手作業で設定する
- コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期限を 0 に設定している場合は、Esc キーを押すとアクセスできます。
- ブートローダーメニューが表示されたら、カーソル移動キー (矢印キー) を使って起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してそのエントリーのオプションを編集します。
- オプション一覧内でカーネル行を探します。カーネル行は
linux
(またはlinux16
の場合もあり) で始まります。以下のオプションをこの行の最後に追加します。mem=xxM
xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。 - F10 キーまたは Ctrl+X の組み合わせを押して、編集を行ったオプションでシステムを起動します。
- システムの起動を待ってログインします。コマンドラインを開き、再度 free -m コマンドを実行します。コマンドで表示される RAM の合計数が期待どおりなら、この変更を永続的にするため
/etc/default/grub
ファイル内のGRUB_CMDLINE_LINUX
で始まる行に次を追加します。mem=xxM
xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。 - ファイルの更新、保存が終了したら、ブートローダー設定を更新して変更を反映させます。次のコマンドを root 権限で実行します。
#
grub2-mkconfig --output=/boot/grub2/grub.cfg
/etc/default/grub
ファイルを開いた一例を以下に示します。
GRUB_TIMEOUT=5 GRUB_DISTRIBUTOR="$(sed 's, release.*$,,g' /etc/system-release)" GRUB_DEFAULT=saved GRUB_DISABLE_SUBMENU=true GRUB_TERMINAL_OUTPUT="console" GRUB_CMDLINE_LINUX="rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap $([ -x /usr/sbin/rhcrashkernel.param ] && /usr/sbin/rhcrashkernel-param || :) vconsole.keymap=us rhgb quiet mem=1024M" GRUB_DISABLE_RECOVERY="true"
9.3.7. signal 11 エラーが表示される
rd.live.check
起動オプションを追加します。詳細は 「起動メディアの検証」 を参照してください。
パート II. IBM Power Systems - インストールと起動
ppc
および ppc64
) に対応していました。Red Hat Enterprise Linux 7 は、64 ビットの Power Systems サーバー (ppc64
) のみをサポートします。
第10章 IBM Power Systems へのインストールプラン
10.1. アップグレードまたはインストールの選択
10.2. ハードウェアの互換性について
10.3. IBM インストールツール
- 仮想化していない IBM Power Systems サーバーで Linux のインストールと設定を行います。
- 論理パーティション (LPAR、仮想化サーバーとも呼ばれる) を設定済みのサーバーに Linux のインストールと設定を行います。
- 新しい Linux システムまたは既にインストール済みの Linux システムに IBM サービスと生産性ツールをインストールします。IBM サービスと生産性ツールには動的な論理パーティション (DLPAR) ユーティリティが含まれています。
- IBM Power Systems サーバーでシステムのファームウェアレベルをアップグレードします。
- 既にインストール済みのシステムで診断またはメンテナンスを行います。
- LAMP サーバー (ソフトウェアスタック) とアプリケーションのデータを System x から System p のシステムに移行します。LAMP サーバーはオープンソースソフトウェアのバンドルになります。LAMP は、Linux、Apache HTTP Server、MySQL リレーショナルデータベース、PHP (または Perl、Python の場合もあり) 言語の頭文字をとった略語になります。
10.4. IBM Power Systems サーバーの準備
c00000
にセットされているか必ず確認してください。このパラメーターがセットされていないと以下のようなエラーが表示される可能性があります。
DEFAULT CATCH!, exception-handler=fff00300
10.5. インストール先として対応しているターゲット
- SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェースで接続するストレージ
- ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
- 仮想化クライアントの LPAR 内の仮想 SCSI (vSCSI) を使用する場合は、Power Systems サーバーへの仮想化インストールにも対応します
10.6. システム仕様一覧
- パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
- システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
- Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
- システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は通常、mount コマンドおよび blkid コマンドを実行すると見つけられ、また
/etc/fstab
ファイル内にあります。すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
- ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
- ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
- IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
- ネットマスク
- ゲートウェイの IP アドレス
- 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
- FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。 - iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
- iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
- 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
- ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。
10.7. ディスク領域およびメモリーに関する要件
/
、swap
、PReP
起動パーティション) を Red Hat Enterprise Linux 専用にする必要があります。
インストールタイプ | 必要最小限の RAM サイズ |
---|---|
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) | 1,280 MiB |
NFS ネットワークインストール | 1,280 MiB |
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール | 1,664 MiB |
10.8. RAID と他のディスクデバイス
10.8.1. ハードウェア RAID
10.8.2. ソフトウェア RAID
10.8.3. USB ディスク
10.9. インストーラーの起動方法の選択
- 完全インストール DVD または USBドライブ
- 完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方の役割を果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については「3章メディアの作成」を参照してください。
- 最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
- 最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、3章メディアの作成 を参照してください。
- PXE サーバー
- PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。
10.10. キックスタートを使用したインストールの自動化
第11章 IBM Power Systems へのインストール中におけるドライバー更新
- インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
- イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
11.1. インストール中にドライバーを更新するための準備
- ドライバーの自動更新
- インストールを開始すると、接続されている全ストレージデバイスの検出が Anaconda インストールプログラムによって試行されます。インストール開始時に
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスが検出されると、Anaconda は常にこのデバイスをドライバー更新用ディスクと認識して、このデバイス上のドライバーの読み込みを試行します。 - アシスト付きのドライバー更新
- インストールを開始するときに、
inst.dd
起動オプションを指定できます。パラメーターなしでこのオプションを使用すると、Anaconda によりシステムに接続されている全ストレージデバイスの一覧が表示され、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。 - 手動によるドライバー更新
inst.dd=location
起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。Anaconda にはドライバー更新用ディスクもしくは ISO イメージへのパスを入力してください。手動のドライバー更新では、ローカルで使用できるストレージデバイス、またはネットワーク上にある場所 (HTTP
、HTTPS
またはFTP
のいずれかのサーバー) を指定することができます。
inst.dd=location
と inst.dd
の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合には Anaconda の動作は、使用する location の種類により異なります。デバイスの場合、Anaconda で、指定したデバイスから更新するデバイスを選択するように求めるプロンプトが表示され、追加のデバイスが提供されます。location がネットワークの場所の場合には、Anaconda では、ドライバーの更新を含むデバイスを選択するようにプロンプトが表示され、指定のネットワークの場所からドライバーを更新できるようにします。
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスを作成し、インストールするシステムに物理的に接続しておく必要があります。アシスト付きのドライバー更新の方法を使用する場合は、OEMDRV
以外のラベルならローカルのいずれのストレージデバイスを使用しても構いません。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
ip=
オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
11.1.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備
- インストールプログラムに自動的にドライバーディスクを認識させるため、ストレージデバイスのボリュームラベル名を
OEMDRV
にします。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動によるインストールの場合、OEMDRV
というラベルが付いたデバイスからのドライバーのインストールの方が手動によるインストールより常に優先され、また推奨されています。 - 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名の変更は可能ですが、ファイル名の拡張子は変更せず
.iso
のままにしておいてください (dd.iso
など)。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「アシスト付きのドライバー更新」 を参照してください。
11.1.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備
rhdd3
というファイルが 1 つと rpms
というディレクトリーが 1 つ見えるはずです。rhdd3 はドライバーディスクの詳細が記載されているシンプルな署名ファイルで、rpms は各種アーキテクチャー用の実際のドライバーの RPM パッケージを収納してしています。
.iso
のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないので作成し直してください。GNOME 以外の Linux デスクトップや Linux 以外のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージの書き込み などのオプションを選択しているか確認してください。
11.2. インストール中のドライバー更新
- ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
- ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
- ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
11.2.1. ドライバーの自動更新
OEMDRV
というボリュームラベルが付いたブロックデバイスをコンピューターに接続しておきます。
OEMDRV
ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg
と命名し、デバイスのルートに格納する必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
OEMDRV
というラベルが付いたストレージデバイスを見つけると、ドライバー更新ディスクとみなし、このデバイスからのドライバー更新の読み込みを試行します。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。
図11.1 ドライバーの選択

[D]
11.2.2. アシスト付きのドライバー更新
OEMDRV
というボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用できるようにしておくことが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd
オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。まず最初に、Anaconda で ISO ファイルのスキャンをするため、一覧からローカルのディスクパーティションを選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェースでこのプロセスを強調表示しています。
図11.2 対話式のドライバー選択

[D]
OEMDRV
というボリュームラベルが付いていない場合は、引数なしで inst.dd
オプションを使用してメニューからそのデバイスを選択します。また、次のようにインストールプログラムの起動オプションを使ってメディアのスキャンを行いドライバーを検索することもできます。
inst.dd=/dev/sr0
11.2.3. 手動によるドライバー更新
inst.dd=location
を追加します。ここでは、location はドライバー更新ディスクへのパスに置き換えます。
図11.3 ドライバー更新へのパスの指定

[D]
11.2.4. ブラックリストへのドライバーの登録
modprobe.blacklist=driver_name
を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
modprobe.blacklist=
を使用してインストール時にブラックリストに追加したドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf
ファイルに表示されます。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、「23章起動オプション」を参照してください。
第12章 IBM Power Systems でのインストールの起動
図12.1 システム管理サービスのコンソール

[D]
inst.vnc
起動オプションを渡します (リモートアクセスの有効化 を参照)。
12.1. ブートメニュー
図12.2 起動画面

[D]
- Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
- グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
- Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
- このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティが起動します。
- Troubleshooting
>
- この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示した状態で Enter を押すとメニュー内容が表示されます。
図12.3 トラブルシューティングメニュー

[D]
- Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
- このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が歪んでいるか、何も表示されなくなってしまう場合は、コンピューターを再起動して、このオプションでやり直してみてください。
- Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
- 正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティプログラムが用意されています。
- Run a memory test
- システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
- Boot from local drive
- インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。
12.2. 異なるソースからのインストール
表12.1 起動方法とインストールソース
起動方法 | インストールソース |
---|---|
完全インストール用メディア (DVD) | インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します |
最小限の起動メディア (CD または DVD) | インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します |
ネットワーク起動 | インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します |
12.3. インストールサーバーを使ったネットワークからの起動
Select Boot Options
を選択して Boot/Install Device
を選択し、ネットワークインターフェースから起動するようにコンピューターを設定します。使用可能なデバイス一覧からネットワークデバイスを選択します。
手順12.1 ネットワークからインストールプログラムを起動する
- ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
- コンピューターのスイッチをオンにします。
- ネットワーク設定と診断に関する情報は通常、コンピューターがサーバーに接続する前に表示されます。ただし、これは使用しているハードウェアによって異なります。目的のオプションに該当する数字キーを押します。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合は、サーバー管理者に問い合わせてください。
vmlinuz
および initrd.img
イメージを使用してネットワーク経由でシステムを起動します。ネットワーク経由の起動には ppc64.img
イメージは使用できません。TFTP にはファイルが大きすぎるためです。
第13章 Anaconda を使用したインストール
- 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
- VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。「25章VNC の使用」を参照してください。
13.1. Anaconda の概要
13.2. インストール中のコンソールとロギング
13.2.1. コンソールへのアクセス
root
権限のある対話式シェルプロンプトを提供するもので、これはブートオプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効となっていなければ使用可能となります。
表13.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット | 内容 |
---|---|
Ctrl+b 1 | メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。 |
Ctrl+b 2 | root 権限のある対話式シェルプロンプト。 |
Ctrl+b 3 | インストールログ: /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。 |
Ctrl+b 4 | ストレージログ: /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイス関連のメッセージを表示します。 |
Ctrl+b 5 | プログラムログ ; /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。 |
13.2.2. スクリーンショットの保存
/tmp/anaconda-screenshots/
に保存されます。
13.3. テキストモードでのインストール
図13.1 テキストモードでのインストール

[D]
[x]
マークが表示され、インストールの開始前にユーザーの作業が必要な画面には [!]
マークが表示されます。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
Processing...
のラベルが表示されることがあります。テキストメニューアイテムの状態を更新するには、テキストモードのプロンプトで r オプションを使用します。
- インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
- 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
- カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
- インストールするパッケージアドオンを選択することはできません。それらはインストール完了後に Yum パッケージマネージャーを使用して追加する必要があります。
inst.text
起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、12章IBM Power Systems でのインストールの起動 を参照してください。
13.4. HMC vterm の使用
13.5. グラフィカルユーザーインターフェースでのインストール
図13.2 インストールの概要 画面

[D]
表13.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー | 用途 |
---|---|
Tab または Shift+Tab | 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。 |
Up または Down | リストをスクロールします。 |
Left または Right | ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。 |
Space または Enter | 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。 |
13.6. 「ようこそ」の画面と言語設定
GeoIP
モジュールの使用による場所の自動検出に基づいて決定されます。
図13.3 言語設定

[D]
13.7. インストールの概要画面
図13.4 インストールの概要 画面

[D]
図13.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

[D]
13.8. 日付と時刻
- マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
- また、画面上部の 地域 と 都市 のドロップダウンメニューをスクロールしてタイムゾーンを選ぶこともできます。
- 地域 ドロップダウンメニューの一番下にある Etc を選ぶと、都市のメニューが GMT/UTC になり、たとえば
GMT+1
を選択できるようになります。
13.9. 言語サポート
Español
などのように言語を選択します。次に右側のパネルで Español (Costa Rica)
などのように地域固有のロケールを選択します。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。
図13.6 言語サポートの設定

[D]
13.10. キーボードの設定
図13.7 キーボードの設定

[D]
13.11. セキュリティーポリシー
/root/openscap_data
ディレクトリーに保存されます。
図13.8 セキュリティーポリシー選択画面

[D]
HTTP
、HTTPS
または FTP
サーバーから読み込むことができます。(http://
といった) プロトコルを含む、コンテンツの完全なアドレスを使用してください。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
13.12. インストールソース
図13.9 インストールソースの画面

[D]
- 自動検出したインストールメディア
- 完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。検証 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性のテストは、起動メニューで
Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux
を選択した場合、またはrd.live.check
起動オプションを使用して実行された場合と同じです。 - ISO ファイル
- このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択してから、ISO の選択 ボタンをクリックし、システム上にあるインストール ISO ファイルの場所を選択します。検証 ボタンをクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
- ネットワーク上
- ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
- http://
- https://
- ftp://
- nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。重要NFS ベースのインストールソースを選択する際には、ホスト名をコロン (":
") でパスから区切ったアドレスを指定する必要があります。以下は例になります。server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソース用のプロキシを設定するために プロキシの設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシを有効にする にチェックを入れ、URL を プロキシ URL ボックスに入力します。プロキシで認証が必要な場合は、認証を使用する にチェックを入れ、ユーザー名とパスワードを入力します。追加 をクリックします。使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
13.13. ネットワークとホスト名
em1
や wl3sp0
といった一貫性のある名前をネットワークデバイスの特定に使用するネットワークデバイス命名標準にはいくつかのタイプがあります。これらの標準については、『Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイド』を参照してください。
図13.10 ネットワークとホスト名の設定画面

[D]
localhost.localdomain
の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、インストールされるシステムの実際のホスト名はネットワーク設定時 (たとえば、DHCP または DNS を使用した NetworkManager) に設定されることを示しています。
13.13.1. ネットワーク接続の編集
13.13.2. 高度なネットワークインターフェース
図13.13 ネットワークとホスト名の設定画面

[D]
ボンド
: NIC (ネットワークインターフェースコントローラー) のボンドです。複数のネットワークインターフェースを一つのチャネルに結合する方式です。ブリッジ
: NIC ブリッジングです。複数の別個のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続します。チーム
: NIC のチームです。複数のリンクを集約する新しい実装になります。小型のカーネルドライバーを提供することでパケットフローを高速で処理し、各種アプリケーションがすべてのタスクをユーザー領域で行うよう設計されています。VLAN
: それぞれ孤立している異なる複数のブロードキャストドメインを作成する方法です。
図13.14 高度なネットワークインターフェースのダイアログ

[D]
13.14. ソフトウェアの選択
- 横線の 上 に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
- 横線の 下 に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。
図13.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

[D]
server
の場合はサーバー向けの環境が提供され、workstation
の場合は開発者向けワークステーションとしての導入を対象とした選択肢が提供されます。
repodata/*-comps-variant.architecture.xml
ファイルをご覧ください。このファイルには、利用可能な環境 (<environment>
タグ) およびアドオン (<group>
タグ) を記述した構造が含まれています。
13.14.1. コアとなるネットワークサービス
rsyslog
サービスを利用した集中ログ記録機能- SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
- NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
- SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
- mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
13.15. インストール先
特殊なケース
- RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。これに該当する場合は、
/boot
パーティションは別のハードドライブなどの RAID アレイ以外のパーティションに作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。また、/boot
パーティションはソフトウェア RAID の設定にも必要になります。システムのパーティション設定を自動で選択した場合は、/boot
パーティションを手動で編集する必要があります。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。 - マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 の画面ではマルチパスのみ、またはマルチパス以外のみのいずれかを選択することが推奨されます。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。
図13.16 ストレージ領域の概要

[D]
- パーティション構成 のセクションでは、ストレージデバイスのパーティション設定方法とボリュームの作成方法を選択することができます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。自動パーティション設定を行う場合は、デフォルトで選択されている Automatically configure partitioning のラジオボタンにチェックを入れたままにすると、インストールプログラムが必要なパーティションとボリュームをストレージに自動作成します。自動でのパーティション設定の場合、I would like to make additional space available のチェックボックスを選択すると、他のファイルシステムの領域をこのインストールに再配分する方法を選択できます。Done をクリックすると、ダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。
図13.17 インストールオプションのダイアログ内の「領域を確保する」オプション
[D]Red Hat Enterprise Linux software selection リンクをクリックします。このリンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動し、インストールするソフトウェアを変更してストレージ領域を追加で開放できます。別の方法では、Cancel & add more disks をクリックして、Installation Destination 画面に戻り、ストレージデバイスを追加するか、手動でパーティションを設定することができます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムからストレージ領域を開放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。手動による設定を行うため、I will configure partitioning のラジオボタンを選択した場合は、Done をクリックすると Manual Partitioning の画面に移動します。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。 - Encryption セクションで Encrypt my data のチェックボックスを選択すると、
/boot
パーティション以外、すべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細は『Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド』を参照してください。
13.15.1. ブートローダーのインストール
図13.18 選択したディスクの要約

[D]
13.15.2. パーティションの暗号化
図13.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

[D]
13.15.3. ディスク領域の獲得
図13.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

[D]
- Preserve: ファイルシステムの現状を維持します。データは消去されません。これがデフォルト動作です。
- Delete: ファイルシステムを完全に消去します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
- Shrink: ファイルシステムから空の領域を回収し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
- Delete all/Preserve all: 右側にあるこのボタンをクリックすると、デフォルトで全ファイルシステムに削除のマークが付けられます。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
13.15.4. 手動パーティション設定
図13.21 手動パーティション設定の画面

[D]
13.15.4.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
PReP
、/
、/home
、/boot
および swap
)。必要に応じて、他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
/boot
パーティション、/
(ルート) ボリューム、swap ボリュームがストレージのサイズに合わせて生成されます。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
/
、boot パーティションに /boot
など)。次にファイルシステムのサイズを 割り当てる容量 のテキストフィールドに入力します (たとえば、2GiB
と入力する)。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
/boot
のような既知の固定サイズの小型パーティションを作成し、それから残りのパーティションを作成することで、インストールプログラムが残りの領域をそれらのパーティションに割り当てられるようにします。
標準パーティション
、BTRFS
、LVM
、LVM シンプロビジョニング
のオプションが選択できます。/boot
パーティションは、このメニューで選択した値に関わらず、常に標準パーティションに配置されるので注意してください。
図13.22 マウントポイントの設定

[D]
図13.23 ディスクの再スキャン

[D]
図13.24 パーティションのカスタマイズ

[D]
- マウントポイント: ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は
/
を入力します。/boot
ファイルシステムの場合は/boot
などと入力します。swap ファイルシステムの場合は、マウントポイントを設定しないでください。ファイルシステムタイプをswap
に設定するだけで十分です。 - 割り当てる容量: ファイルシステムに割り当てる容量を入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
- デバイスタイプ: Standard Partition、LVM、RAID、LVM Thin Provisioning または BTRFSのいずれかを選択します。パーティションやボリュームを暗号化するには、横にある 暗号化 ボックスにチェックを入れます。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。パーティション設定に複数のディスクが選択されている場合にのみ、RAID が使用可能になります。このタイプを選択すると、RAID Level も設定できます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループを指定できます。
- ファイルシステム: ドロップダウンメニューでこのパーティションまたはボリュームに適切なファイルシステムタイプを選択します。既存のパーティションをフォーマットする場合は、横の 再フォーマット ボックスにチェックを入れます。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
- ラベル: パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
- 名前: LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションの場合は作成時に自動的に名前が付けられるため名前の変更はできません。たとえば、
/home
にはsda1
という名前が付けられます。
/usr
または /var
のパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、これらのディレクトリーには起動に欠かせないコンポーネントが含まれているため起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy
のエラーでハングしたりする可能性があります。
/usr
と /var
のみに適用されるもので、これらの下のディレクトリーには該当しません。たとえば、/var/www
向けの個別パーティションは問題なく機能します。
13.15.4.1.1. ファイルシステムのタイプ
デバイスタイプ
- 標準のパーティション: 標準のパーティションにはファイルシステムや swap 領域を含めることができます。また、ソフトウェア RAID や LVM の物理ボリューム用コンテナーになる場合もあります。
- 論理ボリューム (LVM): LVM パーティションを作成すると、自動的に LVM 論理ボリュームが生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理』を参照してください。
- LVM thin provisioning: シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる、空き領域のストレージプールを管理でき、アプリケーションで必要になった時に任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理』を参照してください。注記インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
- ソフトウェア RAID: 複数のソフトウェア RAID パーティションを作成して 1 台の RAID デバイスとして構成します。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイド』を参照してください。
ファイルシステム
- XFS: 最大 16 EiB (約 160 億 GiB) のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80 億 GiB) のファイル、および数千万のエントリーを含むディレクトリー構造に対応する、スケーラビリティーと性能が高いファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
- ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、いくつか改善が加えられています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
- ext3: ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリング機能を使用すると、クラッシュが発生するたびに
fsck
ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元に要する時間を短縮することができます。 - ext2: ext2 ファイルシステムは標準の Unix ファイルタイプに対応しています (通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど)。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
- vfat: VFAT ファイルシステムは Linux ファイルシステムです。FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名との互換性があります。
- swap: Swap パーティションは仮想メモリーに対応するため使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
- PReP: ハードドライブの 1 番目のパーティションにある小さな起動パーティションです。PReP 起動パーティションには GRUB2 ブートローダーが含まれ、その他の IBM Power Systems サーバーが Red Hat Enterprise Linux を起動できるようにします。
13.15.4.2. ソフトウェア RAID の作成
図13.25 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプ メニューを展開した例

[D]
- 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
- 左側のペインでパーティションを選択した状態で、ペイン下部にある設定ボタンを選択し マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。RAID デバイスに含めるディスクを選択してから 選択 をクリックします。
- デバイスタイプ のドロップダウンメニューをクリックして RAID を選択します。
- ファイルシステム のドロップダウンメニューをクリックして目的のファイルシステムタイプを選択します (「ファイルシステムのタイプ」を参照)。
- RAID レベル のドロップダウンメニューをクリックして目的の RAID レベルを選択します。利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
- RAID0: パフォーマンス (ストライプ)
- データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID1: 冗長化 (ミラーリング)
- 1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID4: エラーチェック (パリティー)
- データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID5: 分散エラーチェック
- データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID6: 冗長エラーチェック
- RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
- RAID10: 冗長化 (ミラーリング) および パフォーマンス (ストライプ)
- RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで構成されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
- 設定の更新 をクリックして変更を保存し、別のパーティションの設定に移動するか、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
13.15.4.3. LVM 論理ボリュームの作成
図13.26 論理ボリュームの設定

[D]
- 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
- デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウンメニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
- また、必要に応じて、メニューをクリックし 新規 volume group を作成中... を選択するか、変更 をクリックして新規に作成したボリュームグループを設定します。新規 volume group を作成中... オプション、変更 ボタンのいずれを使用しても Configure Volume Group ダイアログが表示されることになります。このダイアログで論理ボリュームグループの名前を変更したり、含めるディスクを選択することができます。注記設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、対話シェルに切り替え、vgcreate コマンドで手動で作成するか、キックスタートファイルで volgroup --pesize=size コマンドを使用して作成します。
図13.27 LVM ボリュームグループのカスタマイズ
[D]利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。- 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるので、設定した論理ボリュームを格納する適切なサイズになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
- できるだけ大きく: 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
- 固定: このオプションではボリュームグループのサイズを正確に設定することができます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
グループ設定が終わったら、Save をクリックします。 - 設定の更新 をクリックして変更を保存し、別のパーティションの設定に移動するか、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
/boot
パーティションの配置には対応していません。
13.15.4.4. 推奨されるパーティション設定スキーム
- PReP 起動パーティション: 4 MiB から 8 MiB のサイズを推奨しています
- ハードドライブの最初のパーティションには、PReP 起動パーティションが含まれているはずです。これには、他の IBM Power Systems サーバーで Red Hat Enterprise Linux を起動できるようにする GRUB2 ブートローダーが含まれます。
-
/boot
パーティション: 最小限 1 GiB のサイズを推奨しています /boot
にマウントするパーティションには、オペレーティングシステムのカーネルが含まれます。これにより、起動プロセス中に使用されるファイルと共に Red Hat Enterprise Linux が起動します。大概のファームウェアには制限があるため、そのファームウェアを格納する小さいパーティションを作成することが推奨されます。ほとんどの場合は、1 GiB の boot パーティションで十分です。他のマウントポイントとは異なり、LVM ボリュームを/boot
に使用することはできません。/boot
は別個のディスクパーティションにある必要があります。注記RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。これに該当する場合は、/boot
パーティションを別のハードドライブなどの RAID アレイ以外のパーティションに作成する必要があります。警告RAID カードを実装している場合は、Red Hat Enterprise Linux では IPR カード上でのハードウェア RAID の設定に対応していないことに注意してください。インストールの前にスタンドアロン診断 CD を起動して RAID アレイを作成してから、その RAID アレイにインストールを実行します。/
: 10 GiB のサイズを推奨しています- これは、「
/
(ルート)」ディレクトリーを置く場所です。ルートディレクトリーは、ディレクトリー構造のトップレベルです。デフォルトでは、書き込み先のパスに別のファイルシステムがマウントされていない限り (/boot
や/home
など)、すべてのファイルがこのファイルシステムに書き込まれます。root ファイルシステムが 5 GiB の場合は最小インストールが可能ですが、パッケージグループをいくつでもインストールできるように、少なくとも 10 GiB を割り当てておくことが推奨されます。重要/
ディレクトリーと/root
ディレクトリーを混同しないよう注意してください。/root
ディレクトリーは root ユーザーのホームディレクトリーになります。/root
ディレクトリーは、root ディレクトリーと区別するため、スラッシュルート ディレクトリーと呼ばれることがあります。 /home
: 最小限 1 GiB のサイズを推奨しています- システムデータとユーザーデータを別々に格納する場合には、ボリュームグループ内に
/home
ディレクトリー専用のファイルシステムを作成します。ファイルシステムのサイズはローカルで保存するデータ量やユーザー数などを基に決定してください。こうすることで、ユーザーデータのファイルを消去せずに Red Hat Enterprise Linux をアップグレードしたり、再インストールしたりできるようになります。自動パーティション設定を選択する場合は、インストールに少なくとも 55GiB のディスク領域を確保して/home
ファイルシステムが作成されるようにすることが推奨されます。 swap
パーティション: 最小限 1 GB のサイズを推奨しています- 仮想メモリーは、swap ファイルシステムによりサポートされています。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータは swap ファイルシステムに書き込まれます。swap サイズはシステムメモリーのワークロードに依存するため、システムメモリーの合計ではありません。したがって、システムメモリーサイズの合計とは等しくなりません。したがって、システムメモリーの作業負荷を判断するためには、システムで実行するアプリケーションの種類、およびそのアプリケーションにより生じる負荷を分析することが重要になります。アプリケーションにより生じる負荷に関するガイダンスはアプリケーション提供元または開発側より提供されているはずです。システムで swap 領域が不足すると、システムの RAM メモリーがすべて使用されるため、カーネルがプロセスを終了します。swap 領域が大き過ぎても、割り当てられているストレージデバイスがアイドル状態となり、リソース運用面では効率が悪くなります。また、swap 領域が大き過ぎるとメモリーリークに気付きにくくなる可能性があります。swap パーティションの最大サイズおよび詳細については
mkswap(8)
の man ページをご覧ください。システムの RAM の容量別に推奨される swap サイズを以下の表に示します。インストールプログラムでシステムのパーティション設定を自動的に実行する場合、swap パーティションのサイズはこのガイドラインに沿って決められます。自動パーティション設定では、swap パーティションの上限がハードドライブの合計サイズの最大 10% に制限されることを想定しており、128GB 以上のサイズの swap パーティションは作成されません。システムのストレージ領域の 10% 以上を swap パーティションに設定する場合、または 128GB 以上のサイズにする場合は、パーティション設定のレイアウトを手動で編集する必要があります。表13.3 システムの推奨 swap 領域
システム内の RAM の容量 推奨されるスワップ領域 ハイバネートを許可する場合に推奨される swap 領域 2 GB 未満 RAM 容量の 2 倍 RAM 容量の 3 倍 2 GB - 8 GB RAM 容量と同じ RAM 容量の 2 倍 8 GB - 64 GB 4GB から RAM 容量の半分まで RAM 容量の 1.5 倍 64 GB を超える場合 ワークロードによる (最小 4GB) ハイバネートは推奨されません 上記の境界線上 (システムの RAM が 2 GB、8 GB、または 64 GB などの場合) になる場合は、swap 領域については任意に決定することができます。システムリソースに余裕がある場合は、swap 領域を増やすとパフォーマンスが向上することがあります。swap 領域を複数のストレージデバイスに分散させても、swap 領域のパフォーマンスが向上します (高速ドライブやコントローラー、インターフェースなどを備えたシステムで特に効果的)。
/var/cache/yum/
にダウンロードされます。/var
用に別途パーティションやボリュームを作成する場合は、ダウンロードしたパッケージ更新を収納できるよう少なくとも 3GB のサイズにしてください。
13.16. ストレージデバイス
図13.28 ストレージ領域の概要

[D]
13.16.1. ストレージデバイス選択の画面
- マルチパスデバイス
- 同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
- その他の SAN デバイス
- SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
- ファームウェア RAID
- ファームウェア RAID コントローラーに接続されているストレージデバイスです。
図13.29 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

[D]
- iSCSI ターゲットを追加: iSCSI デバイスをアタッチする場合は、このボタンを押します。「iSCSI パラメーターの設定」 に進んでください。
- FCoE SAN を追加: Fibre Channel Over Internet ストレージデバイスを設定する場合は、このボタンを押します。「FCoE パラメーターの設定」 に進んでください。
図13.30 ストレージデバイスの検索タブ

[D]
/etc/fstab
ファイルを変更すればシステムに追加することができます。
13.16.1.1. 高度なストレージオプション
図13.31 高度なストレージオプション

[D]
13.16.1.1.1. iSCSI パラメーターの設定
図13.32 iSCSI 検出詳細のダイアログ

[D]
手順13.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始
- ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力します。
- iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN) の形式で iSCSI イニシエーターの名前を入力します。IQN エントリーには次を含めてください。
- 「
iqn.
」の文字列 (ピリオドが必要) - 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で構成。たとえば、2010 年 9 月の場合は
2010-09.
のようになります。 - 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。例、
storage.example.com
のサブドメインは、com.example.storage
と表す。) - コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。たとえば、
:diskarrays-sn-a8675309
のようになります。
以上から、完全な IQN はiqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309
のようになります。anaconda では、IQN を構成しやすいようこの形式による任意の名前がすでに iSCSI イニシエータ名フィールドに自動入力されています。IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。 - 認証のタイプの検出 ドロップダウンメニューを使って iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
- 証明書なし
- CHAP 秘密鍵
- CHAP 秘密鍵とリバースペア
- 認証タイプに CHAP 秘密鍵 を選択した場合は CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード の各フィールドにユーザー名とパスワードを入力します。
- 認証タイプに CHAP 秘密鍵とリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード の各フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。また、逆順 CHAP ユーザー名 と 逆順 CHAP パスワード の各フィールドに iSCSI イニシエーターのユーザー名とパスワードを入力します。
- オプションで ターゲットをネットワークインターフェースへバインドする というラベルが付いたボックスにチェックを付けることができます。
- Start Discovery ボタンをクリックします。入力情報を使って Anaconda による iSCSI ターゲットの検索が試行されます。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
- 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。
図13.33 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
[D] - ノードのログイン認証のタイプ には、ステップ 3 で説明した 認証のタイプの検出 メニューと同じオプションが表示されます。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うため、メニューから 検出時の証明書を使用 オプションを使用します。適切な認証情報が提供されると、ログイン ボタンがクリックできるようになります。
- ログイン をクリックして、iSCSI セッションを開始します。
13.16.1.1.2. FCoE パラメーターの設定
図13.34 FCoE パラメーターの設定

[D]
- DCB を使用する
- Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェースでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハ