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第10章 FS-Cache
FS-Cache とはファイルシステムによって使用される永続的なローカルキャッシュのことです。ネットワーク経由で取得されたデータをローカルのディスクにキャッシングします。 ユーザーがネットワーク経由でマウントしているファイルシステムのデータにアクセスする場合にネットワークのトラフィックを最小限に抑えます (NFS など)。
以下に FS-Cache がどのように動作するのかを高次元で図解します。

図10.1 FS-Cache の概要
FS-Cache はシステムのユーザーおよび管理者に対してできるだけ透過的になるよう設計されています。Solaris の
cachefs とは異なり、マウントしたファイルシステムに重ねてマウントすることなくサーバー上のファイルシステムがクライアントのローカルキャッシュと直接相互作用できるようになります。NFS の場合、マウントオプションを使って FS-Cache が有効になっている NFS 共有をマウントするようクライアントに指示します。
FS-Cache はネットワーク経由で動作するファイルシステムの基本的な動作を変更するものではありません。単にファイルシステムにデータをキャッシュできる永続的な場所を提供しているだけです。たとえば、クライアントは FS-Cache が有効になっているかいなかに関わらず NFS 共有をマウントすることができます。また、キャッシュされた NFS はキャッシュに収まらないファイル群を処理することができます (集約的であるか個別であるかを問わない)。これはファイル群を部分的にキャッシュすることができ、前もって完全に読み込む必要性がないためです。また、FS-Cache はクライアントのファイルシステムドライバーのキャッシュで発生したすべての I/O エラーを非表示にします。
キャッシングのサービスを提供するには、キャッシュバックエンド が必要になります。キャッシュバックエンドとは、キャッシングサービスを提供するよう設定されたストレージのドライバーを指します (
cachefiles)。この場合、FS-Cache には、キャッシュバックエンドとして拡張属性 (ext3 など) や bmap に対応するブロックベースのファイルシステムをマウントしておく必要があります。
FS-Cache はネットワーク経由であるかその他の手段であるかを問わず、ファイルシステムを任意でキャッシュすることはできません。FS-Cache、データの格納および検索、メタデータのセットアップおよび検証などでの相互作用を可能にするよう共有ファイルシステムのドライバーを変更する必要があります。FS-Cache には永続性に対応するためキャッシュしたファイルシステムの インデックスキー および コヒーレンスデータ が必要になります。インデックスキーはファイルシステムのオブジェクトとキャッシュのオブジェクトを一致させ、コヒーレンスデータはキャッシュのオブジェクトがまだ有効であるかどうかを確定します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 6.2 および旧バージョンでは、
cachefilesd がデフォルトではインストールされていないため手作業でインストールを行う必要があります。
10.1. 性能に関する保証
FS-Cache では パフォーマンの向上は保証していません。ただし、ネットワーク渋滞を避けることで一貫したパフォーマンスを実現します。キャッシュバックエンドを使用することによりパフォーマンスの低下が起こります。たとえば、キャッシュされた NFS 共有ではネットワーク全体を検索するためディスクへのアクセスが増加します。FS-Cache はできるだけ非同期にするよう試行しますが、これができない同期パス (読み込みなど) があります。
たとえば、2 台のコンピューター間で NFS 共有をキャッシュするために負荷のない GigE ネットワークを介して FS-Cache を使用しても、ファイルのアクセスにおけるパフォーマンスの向上はまったく見られません。むしろ、NFS 要求の場合はローカルディスクではなくサーバーメモリーから対応した方が速くなります。
したがって FS-Cache の使用には、各種の要素間での 妥協 が伴うと言えます。NFS トラフィックのキャッシュに FS-Cache を使用すると、クライアント側の速度は多少遅くなりますが、ネットワークの帯域幅を使用せずローカルに読み取り要求に対応することでネットワークおよびサーバー側の負荷を大幅に低減させることができます。

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