9.18. x86、AMD64、および Intel 64 のブートローダーの設定

起動用メディアを使用せずにシステムを起動する場合、通常、ブートローダーをインストールする必要があります。ブートローダーは、コンピューターがスタートするときに最初に実行するソフトウェアプログラムです。読み込みを行ってから、オペレーティングシステムのカーネルソフトウェアに制御を渡す役割を果たします。このあと、カーネルにより残り全体のオペレーティングシステムが初期化されます。

重要

Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合には、インストーラーがブートローダーを自動的に設定しますので、ユーザーはインストールプロセス中にブートローダーの設定をカスタマイズすることはできません。
デフォルトでインストールされている GRUB (GRand Unified Bootloader) は非常に強力なブートローダーです。GRUB は様々な無償のオペレーティングシステムをロードするだけでなく、チェーンロード (別のブートローダーをロードすることで、Windows などの対応していないオペレーティングシステムをロードするための仕組み) を使用したプロプライエタリのオペレーティングシステムもロードすることができます。開発の焦点が GRUB 2 へ移って以来、Red Hat Enterprise Linux 6 の GRUB バージョンは安定した旧バージョンで「GRUB Legacy」と呼ばれています。[4] Red Hat は、同梱するすべてのパッケージと同様に、Red Hat Enterprise Linux 6 に同梱する GRUB のバージョンの維持管理も継続して行います。

注記

GRUB メニューは、デュアルブートシステム以外ではデフォルトで非表示になります。システムのブート時に GRUB メニューを表示するには、カーネルがロードされる前に Shift キーを押し続けます (他にも機能するキーがありますが、Shift キーの使用が一番安全です)。
ブートローダーの設定

図9.55 ブートローダーの設定

コンピューターに他のオペレーティングシステムがないか、または他のオペレーティングシステムを完全に削除している場合、インストールプログラムは何の介入もなく、GRUB をブートローダーとしてインストールします。この場合は、「パッケージグループの選択」 に進むことができます。
システム上にはブートローダーがすでにインストールされている場合があります。オペレーティングシステムは独自のブートローダーをインストールしているか、またはサードパーティーのブートローダーがインストールされている場合があります。ご使用のブートローダーが Linux パーティションを認識しない場合は、Red Hat Enterprise Linux をブートできない可能性があります。その状況では Linux および他の多くの他のオペレーティングシステムのブート用に GRUB をブートローダーとして使用してください。この章にある説明に従って GRUB をインストールしてください。

警告

GRUB をインストールすると、既存のブートローダーが上書きされます。
デフォルトでは、インストールプログラムは GRUB を root ファイルシステム用のデバイスのマスターブートレコード( MBR)にインストールします。新規のブートローダーのインストールを拒否するには、/dev/sda へブートローダーをインストール を選択解除します。

警告

なんらかの理由で GRUB をインストールしない選択をする場合は、システムを直接起動できなくなりますので、他の起動手段(市販のブートローダーアプリケーションなど) を使う必要があります。このオプションは、システムを起動する別の方法があることを確認できる場合にのみ使用してください。
他のオペレーティングシステムがすでにインストールされている場合、Red Hat Enterprise Linux は自動的に検出し、GRUB がこれらを起動するように設定します。GRUB が他のオペレーティングシステムを検出しない場合は、それらのオペレーティングシステムを手動で設定することができます。
検出されたオペレーティングシステムの追加や、削除、または設定の変更を行うには、提供されるオプションを使用します。
追加
追加のオペレーティングシステムを GRUB に含めるには 追加 (Add) を選択します。
ドロップダウンリストから起動できるオペレーティングシステムを含むディスクパーティションを選択し、その項目にラベルを付けます。GRUB はブートメニューにこのラベルを表示します。
編集
GRUB 起動メニューの項目を変更するには、項目を選択してから 編集 (Edit) を選択します。
削除
GRUB 起動メニューから項目を削除するには、項目を選択してから 削除 (Delete) を選択します。
対象のブートパーティションの横にある デフォルト (Default) を選択してデフォルトでブートする OS を選択します。デフォルトのブートイメージを選択しないとインストールを先に進めることはできません。

注記

Label 欄には、必要な OS をブートするために、ブートプロンプトで入力すべきブートローダー名がテキストで一覧表示されます。
GRUB 起動画面をロードしたら、矢印キーを使用してブートラベルを選択するか、または編集するには e と入力します。選択したブートラベル用の設定ファイルにある項目一覧が表示されます。
ブートローダーのパスワードはサーバーへのアクセスが物理的に可能な環境においてセキュリティを高める役割を果たします。
ブートローダーをインストールする場合、システムを保護するためにパスワードを設定する必要があります。ブートローダーのパスワードがないと、そのシステムにアクセス可能なユーザーがシステムのセキュリティを侵害する恐れのあるオプションをカーネルに渡すことができることになります。ブートローダーのパスワードを設定すると、まずパスワードが入力されてからでないと標準以外の起動オプションを選択することができなくなります。ただし、それでも物理的にマシンにアクセスできる人は BIOS が対応している場合はフロッピーディスク、CD-ROM、または USB メディアから起動することができます。ブートローダーのパスワードを含むセキュリティプランでも、ブートの代替方法に対応している必要があります。

注記

使用するシステムが信頼できるユーザーのみを持つ場合や、コンソールアクセスが制御された状態で物理的に安全な場合は、GRUB パスワードは不要になる場合があります。ただし、信頼できないユーザーがそのコンピューターのキーボードとモニターに物理的にアクセスできる場合は、そのユーザーはシステムを再起動して GRUB にアクセスできるようになります。このようなケースではパスワードが保護になります。
システムのセキュリティを強化するためにブートローダーパスワードの使用を選択する場合、必ず ブートローダーパスワードを使用 (Use a boot loader password) とラベル付けしてあるチェックボックスを選択してください。
選択した後にパスワードを入力し、パスワードの確認を行います。
GRUB はパスワードを暗号化して保存します。そのため、その読み込みや復元はできません。ブートパスワードを忘れてしまった場合は、システムを通常の方法でブートして /boot/grub/grub.conf ファイル内のパスワードエントリーを変更します。ブートできない場合は、1 枚目の Red Hat Enterprise Linux インストールディスクの "rescue(レスキュー)" モードを使用すると、GRUB パスワードを再設定できます。
GRUB パスワードを実際に変更する必要がある場合は、grub-md5-crypt ユーティリティを使用します。このユーティリティの使用方法についての詳細は、ターミナル画面でコマンド man grub-md5-crypt を入力して該当するマニュアルページをお読みください。

重要

GRUB パスワードを選択する時点では、GRUB がシステムに接続してあるキーボードに関係なく、QWERTY キーボードレイアウトのみを認識することに注意してください。かなり異なるレイアウトのキーボードを使用している場合は、キーストロークが生み出す単語よりもそのキーストロークのパターンを記憶することが効果的だと言えます。
ドライブの順序変更やカーネルへオプションを渡すなどのより高度なブートローダーオプションを設定するには、次 (Next) をクリックする前に、高度なブートローダーオプションの設定 (Configure advanced boot loader options) を必ず選択してください。

9.18.1. 高度なブートローダーオプションの設定

インストールするブートローダーを選択した後は、そのブートローダーをインストールする場所も選択することができます。ブートローダーは次の 2 カ所のどちらかにインストールできます。
  • マスターブートレコード (MBR) — MBR で System Commander など別のオペレーティングシステムローダーを起動するようすでに設定されていない限り、BIOS ファームウェアを搭載しているシステムの場合はここがブートローダーの推奨インストール先になります。MBR はコンピューターの BIOS によって自動的に読み込まれるハードドライブ上の特殊な領域になります。また、ブートローダーが起動プロセスを制御できる最初のポイントです。MBR にブートローダーをインストールすると、マシンの起動時に GRUB によってブートプロンプトが表示されます。ここで Red Hat Enterprise Linux かブートローダーで起動するよう設定している他のオペレーティングシステムを起動します。
  • EFI システムのパーティション — UEFI ファームウェアを搭載しているシステムにはブートローダーをインストールするための特殊なパーティションが必要になります。このパーティションは efi タイプの物理的なパーティション (論理ボリューム以外) で少なくとも 50MB の大きさにしてください。推奨サイズは 200MB です。このパーティションを格納するドライブにはマスターブートレコードのラベルではなく GUID パーティションテーブル (GPT) のラベルを付ける必要があります。MBR があるドライブに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ドライブのラベルを付け直す必要があります。ラベル付けのプロセスでこのドライブ上のデータはすべて失われることになります。
  • ブートパーティションの最初のセクター— システムですでに別のブートローダーを使用している場合には、この場所を推奨します。この場合、その他のブートローダーがまず制御を受け取ります。次に、GRUB をスタートするようにそのブートローダーを設定することができます。次に GRUB が Red Hat Enterprise Linux を起動させます。

    注記

    GRUB を2番目のブートローダーとしてインストールする場合には、新規のカーネルをインストールしてそこからブートする時に使用する1 番目のブートローダーを再設定する必要があります。Microsoft Windows などのオペレーティングシステムのカーネルは同じ方法でブートしません。そのため、デュアルブートシステム上では ほとんどのユーザーは GRUB を 1番目のブートローダーとして使用します。
ブートローダーのインストール

図9.56 ブートローダーのインストール

注記

RAID カードを使用している場合、BIOS の種類の中には RAID カードからの起動に対応しないものがあることに注意してください。こうした場合、これらのブートローダーは RAID アレイの MBR 上にインストール しない でください。ブートローダーは /boot/ パーティションが作成されたのと同じドライブの MBR にインストールしなければなりません。
システムが Red Hat Enterprise Linux のみを使用する場合は、MBR を選択します。
ドライブの順を変更したい場合、または、BIOS が正しいドライブ順で動作しない場合は ドライブ順を変更 (Change Drive Order) ボタンをクリックします。複数の SCSI アダプターや SCSI と IDE のアダプターを使用していて SCSI デバイスから起動したい時に、ドライブ順の変更が役に立ちます。

注記

ハードドライブのパーティションを設定する際は、古いシステムの BIOS にはハードドライブの 1024 シリンダを超えてアクセスすることができないものがあることに留意してください。このような場合、Linux をブートするために、ハードドライブの 1024 シリンダまでに /boot Linux パーティションの十分な領域を残しておいてください。その他の Linux パーティションは 1024 シリンダ以降でも構いません。
parted では、1024 シリンダは 528 MB になります。詳細については以下を参照してください。
http://www.pcguide.com/ref/hdd/bios/sizeMB504-c.html