表4.2「マルチパス属性」 は、それぞれの特定マルチパスデバイス用の
multipath.conf
設定ファイルの
multipaths
セクションに設定できる属性を示しています。これらの属性は 1 つの指定されたマルチパスのみに適用されます。これらのデフォルトは DM-Multipath によって使用され、
multipath.conf
ファイルの
defaults
と
devices
セクションに設定されている属性を上書きします。
表4.2 マルチパス属性
属性 | 説明 |
---|
wwid | multipath 属性を適用するマルチパスデバイスの WWID を指定します。このパラメーターは、multipath.conf ファイルのこのセクションには必須です。 |
alias | multipath 属性が適用されるマルチパスデバイスのシンボリック名を指定します。user_friendly_names を使用する場合には、この値を mpathn に設定しないでください。これによって、自動的に割り当てられたユーザーフレンドリーな名前と競合する可能性や、正しくないデバイスノード名が提供される可能性があります。 |
path_grouping_policy | 未指定のマルチパスに適用するデフォルトのパスグルーピングポリシーを指定します。使用できる値は以下のようになります。 | failover = 優先グループごとに 1 つのパス | multibus = 1 つの優先グループ内のすべてのパスが有効 | group_by_serial = 検出されたシリアル番号ごとに 1 つの優先グループ | group_by_prio = パス優先値ごとに 1 つの優先グループ | group_by_node_name = ターゲットノード名ごとに 1 つの優先グループ |
|
path_selector | 次の I/O 操作に使用するパスを決定するのに使うデフォルトアルゴリズムを指定します。使用できる値には以下が含まれます。 | round-robin 0 : パスグループ内のすべてのパスをループスルーを実行し、それぞれに同量の I/O を送ります。 | queue-length 0 : 未処理の I/O 要求数が最も少ないパスに、次の I/O 群を送ります。 | service-time 0 : 各パスに対する未処理の I/O 全体のサイズを相対スループットで割ることによって求められるサービス時間が最も短いパスに、次の I/O 群を送ります。 |
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failback | パスグループのフェイルバックを管理します。 | immediate の値は、アクティブパスを含む、最も優先度の高いパスグループに対する即時フェイルバックを指定します。 | manual の値は、即時フェイルバックを不可能にし、オペレーターの介入がある場合のみにフェイルバックが発生する可能性があるように指定します。 | followover の値は、パスグループの最初のパスがアクティブになる時点で自動フェイルバックが実行されるように指定します。これによって、他のノードがフェイルオーバーを要求した際に、ノードが自動的にフェイルバックしないようにします。 | 「0」よりも大きい数値は、フェイルバックの遅延を秒単位で指定します。 |
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prio | パスの優先値を取得するためにコールアウトするデフォルトの関数を指定します。たとえば、SPC-3 内の ALUA ビットは、利用可能な prio 値を提供します。使用できる値は以下のとおりです。 | const : すべてのパスに優先度 1 を設定します。 | emc : EMC アレイのパス優先度を生成します。 | alua : SCSI-3 ALUA 設定に基づいて、パスの優先度を生成します。 | tpg_pref : 優先ポートのビットを使用し、SCSI-3 ALUA に基づいて、パスの優先度を生成します。 | ontap : NetApp アレイのパスの優先度を生成します。 | rdac : LSI/Engenio RDAC コントローラーのパスの優先度を生成します。 | hp_sw : アクティブ/スタンバイモードの Compaq/HP コントローラーのパスの優先度を生成します。 | hds : Hitachi HDS Modular ストレージアレイのパスの優先度を生成します。 |
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no_path_retry | この属性の数値は、キューを無効にするまでに、システムが障害の発生したパスの使用を試行する回数を指定します。 | fail の値は、キューなしの即時の失敗を示します。 | queue の値は、パスが修復されるまでキューが停止されないことを示します。 |
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rr_min_io | 現在のパスグループ内で次のパスに切り替える前に、パスにルーティングする I/O 要求の数を指定します。この設定は 2.6.31 より前のカーネルを実行しているシステムのみに有効です。それ以降のシステムには、rr_min_io_rq を使用してください。デフォルト値は 1000 です。 |
rr_min_io_rq | 現在のパスグループ内で次のパスに切り替える前に、要求ベースの device-mapper-multipath を使用して、パスにルーティングする I/O 要求の数を指定します。この設定は、現在のカーネルを実行しているシステム上で使用してください。2.6.31 より前のカーネルを実行しているシステムでは、rr_min_io を使用してください。デフォルト値は 1 です。 |
rr_weight | priorities に設定されている場合は、次のパスを選択するために path_selector を呼び出す前に rr_min_io の要求をパスに送信する代わりに、送信する要求の数は rr_min_io に、prio 関数で決定されるパスの優先度を掛けることで求められます。uniform に設定されている場合、すべてのパスの重みは等しくなります。 |
flush_on_last_del | yes に設定されている場合、マルチパスは、デバイスへの最後のパスが削除される際にキューを無効にします。 |
user_friendly_names | yes に設定されている場合、システムが /etc/multipath/bindings ファイルを使用して、永続的で一意のエイリアスを mpath n の形式でマルチパスに割り当てるように指定します。no に設定されている場合は、システムが WWID をマルチパスのエイリアスとして使用するように指定します。いずれの場合も、ここで指定される内容は設定ファイルの multipaths セクションで指定するデバイス固有のエイリアスで上書きされます。 |
以下の例では、2 つの特定マルチパスデバイス用の設定ファイル内に指定されたマルチパス属性を示しています。1 番目のデバイスには 3600508b4000156d70001200000b0000
の WWID と yellow
のシンボリック名があります。
例にある 2 番目のマルチパスデバイスには 1DEC_____321816758474
の WWID と red
のシンボリック名があります。この例では、rr_weight
属性は priorities
に設定されています。
multipaths {
multipath {
wwid 3600508b4000156d70001200000b0000
alias yellow
path_grouping_policy multibus
path_selector "round-robin 0"
failback manual
rr_weight priorities
no_path_retry 5
}
multipath {
wwid 1DEC_____321816758474
alias red
rr_weight priorities
}
}