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1.2. DM-Multipath の概要

DM-Multipath を使用すると以下を実現できます。
  • 冗長性
    DM-Multipath はアクティブ/パッシブ設定でフェイルオーバーを提供することができます。アクティブ/パッシブ設定内では、I/O にはパスの半分だけが常に使用されます。I/O パスのいずれかのエレメント (ケーブル、スイッチ、またはコントローラー) に障害が発生すると、DM-Multipath は代替パスに切り替わります。
  • パフォーマンスの向上
    DM-Multipath は、アクティブ/アクティブモードに設定可能です。このモードでは、I/O はラウンドロビン式にパス群に分散されます。一部の設定では、DM-Multipath は I/O パス上のローディングを検出することができるため、ロードのバランスを動的に再調整します。
図1.1「RAID デバイスが 1 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定」は、サーバーから 1 つの RAID デバイスへの I/O パスが 2 つあるアクティブ/パッシブ設定を示しています。この設定では、サーバーに 2 つの HBA があり、2 つの SAN スイッチ、2 つの RAID コントローラーがあります。
RAID デバイスが 1 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定

図1.1 RAID デバイスが 1 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定

この設定では、hba1、SAN1、およびコントローラー 1 を通る 1 つ目の I/O パスと、hba2、SAN2、およびコントローラー 2 を通る 2 つ目の I/O パスがあります。この設定には、障害が発生する可能性のあるポイントが数多く存在します。
  • HBA の障害
  • FC ケーブルの障害
  • SAN スイッチの障害
  • アレイコントローラーポートの障害
DM-Multipath が設定されていると、これらのいずれかのポイントで障害が発生した際に、DM-Multipath が代替 I/O パスに切り替わります。
図1.2「RAID デバイスが 2 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定」 は、より複雑なアクティブ/パッシブ設定を示しています。サーバーに 2 つの HBA があり、2 つの SAN スイッチ、RAID コントローラーが 2 つずつ付いた 2 つの RAID デバイスがあります。
RAID デバイスが 2 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定

図1.2 RAID デバイスが 2 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定

図1.2「RAID デバイスが 2 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定」 に示した例では、それぞれの RAID デバイスに 2 つの I/O パスがあります (図1.1「RAID デバイスが 1 つのアクティブ/パッシブマルチパス設定」 に示す例と同様)。DM-Multipath が設定されていると、どちらかの RAID デバイスへの I/O パスのいずれかのポイントで障害が発生した際に、DM-Multipath はそのデバイス用の代替 I/O パスに切り替わります。
図1.3「RAID デバイスが 1 つのアクティブ/アクティブマルチパス設定」 は、サーバーに 2 つの HBA があり、1 つの SAN スイッチ、2 つの RAID コントローラーがあるアクティブ/アクティブ設定を示しています。サーバーからストレージデバイスへの I/O パスは 4 つあります。
  • hba1 から controller1 まで
  • hba1 から controller2 まで
  • hba2 から controller1 まで
  • hba2 から controller2 まで
この設定では、 I/O をこれらの 4 つのパスに分散することが可能です。
RAID デバイスが 1 つのアクティブ/アクティブマルチパス設定

図1.3 RAID デバイスが 1 つのアクティブ/アクティブマルチパス設定