8.3.2. 無線接続の確立

このセクションでは、NetworkManager でアクセスポイントへの無線接続 (別名 Wi-Fi または 802.1a/b/g/n) の設定方法を説明します。
(3G などの) モバイルブロードバンドの設定方法については、「モバイルブロードバンド接続の確立」 を参照してください。

利用可能なアクセスポイントに迅速に接続

利用可能なアクセスポイントに接続する最も簡単な方法は、NetworkManager アプレットを左クリックして 利用可能 ネットワークの一覧内でアクセスポイントの サービスセット識別子 (SSID) を見つけてそれをクリックすることです。アクセスポイントが保護されている場合は、認証を求めるダイアログが出てきます。
無線アクセスポイントへの認証

図8.9 無線アクセスポイントへの認証

NetworkManager は、アクセスポイントで使われているセキュリティタイプを自動検出しようとします。複数の可能性がある場合、NetworkManager はセキュリティタイプを予想し、それを 無線セキュリティ ドロップダウンメニューに表示します。複数の選択肢があるかどうかは、無線セキュリティ ドロップダウンメニューをクリックしてアクセスポイントが使用しているセキュリティタイプを選択するとわかります。不明な場合は、それぞれのタイプに接続してみます。最後に パスワード フィールドにキー、またはパスフレーズを記入します。40-bit WEP や 128-bit WPA キーなどの特定のパスワードのタイプは、指定の長さに達していないと無効になります。選択したセキュリティタイプで要求される長さのキーを記入するまでは、接続 ボタンは灰色のままです。無線セキュリティに関する情報については 「無線セキュリティの設定」 を参照して下さい。

注記

WPA および WPA2 (個人およびエンタープライズ) の場合、自動、WPA、WPA2 を選択するオプションが加えられます。このオプションは、WPA と WPA2 の両方が利用可能なアクセスポイントでの使用を念頭に置いています。両方のプロトコル間でのローミングを防止したい場合は、どちらかのプロトコルを選択します。同一アクセスポイントでの WPA と WPA2 間のローミングは、サービスの損失につながる恐れがあります。
NetworkManager が正しくアクセスポイントに接続できた場合には、そのアプレットアイコンが無線接続信号の強度を示すグラフィカルインディケーターに変化します。
無線接続信号の強度 75% を示しているアプレットアイコン

図8.10 無線接続信号の強度 75% を示しているアプレットアイコン

また、自動作成されたアクセスポイント接続の設定を、まるで自分で追加したように編集することもできます。ネットワーク接続 ウィンドウの 無線 タブは以前に接続を試みたすべての接続先を一覧表示します。NetworkManager はそれらの 1 つ 1 つをAuto <SSID> 形式で名付けます。ここでの SSID とはアクセスポイントの サービスセット識別子 のことです。
以前に接続したことのあるアクセスポイントの例

図8.11 以前に接続したことのあるアクセスポイントの例

非表示無線ネットワークに接続

すべてのアクセスポイントには、識別するために SSID (SSID) があります。しかし、あるアクセスポイントはその SSID をブロードキャストしないように設定されている場合もあり、そのケースでは 非表示 となり、NetworkManager 内の利用可能 ネットワーク一覧には表示されません。ただし、SSID と認証方法、秘密情報が分かっていれば、非表示の無線アクセスポイントにも接続することは可能です。
非表示無線ネットワークに接続するには、NetworkManager のアプレットアイコンを左クリックして 非表示無線ネットワークに接続 を選択することで、ダイアログが出現するようにします。以前に非表示ネットワークに接続したことがある場合は、接続 ドロップダウンメニューを使用してそれを選択し、接続 ボタンをクリックします。以前に使用したことがない場合は、接続 ドロップダウンを 新規 のままにしておきます。非表示ネットワークの SSID を記入してからその 無線セキュリティ メソッドを選択し、正しい認証用秘密情報を記入してからConnect ボタンをクリックします。
無線セキュリティの設定に関する詳細情報については、「無線セキュリティの設定」 を参照して下さい。

接続の編集、または全く新しい接続を作成

過去に試行した、あるいは接続に成功したことのある既存の接続を編集するには、ネットワーク接続無線 タブを開いて、その名前 (Auto の次に来る単語はアクセスポイントの SSID を参照) で接続を選択します。そして 編集 をクリックします。
新しい接続を作成するには、ネットワーク接続 ウィンドウを開いてから、追加 ボタンをクリックし、無線 を選択して 作成 ボタンをクリックします。
  1. 通知スペースにある NetworkManager アプレットのアイコンを右クリックして、接続を編集する をクリックすると、ネットワーク接続 ウィンドウが表示されます。
  2. 追加 ボタンをクリックします。
  3. リストから 無線 エントリを選択します。
  4. 作成ボタンをクリックします。
新規作成した無線接続 1 の編集

図8.12 新規作成した無線接続 1 の編集

接続名、自動接続の動作、及び可用性セッティングの設定

編集 ダイアログ内の3つのセッティングはすべての接続タイプに共通です:
  • 接続名 — ネットワーク接続の名前を入力します。この名前は、ネットワーク接続 ウィンドウの 無線 セクションでこの接続の表示に使用されます。デフォルトでは、無線接続は無線アクセスポイントの SSID と同じ名前になっています。無線接続の名前を変更しても接続機能に影響は与えませんが、SSID 名の維持が推奨されます。
  • 自動接続する — このボックスにチェックを入れると、この接続が利用可能な時にNetworkManager が自動接続します。詳細については 「ネットワークへの自動接続」 を参照してください。
  • すべてのユーザーに利用可能 — このシステム上のすべてのユーザーに利用可能な接続を作成するには、このボックスにチェックを入れます。この設定を変更するには root 権限が必要な場合があります。詳細については「ユーザー接続とシステム接続」 を参照してください。

無線タブの設定

SSID
すべてのアクセスポイントは、それら自身の識別のために SSID (Service Set identifier) を持っています。しかし、あるアクセスポイントはその SSID を広報しないように設定されているかも知れません。その場合、それは非表示 となり、NetworkManager 内の使用可能 ネットワーク一覧に出現しないことになります。但し、その SSID と認証秘密情報が判明していれば、SSID 非表示の無線アクセスポイントにも接続することは可能です。\n
非表示無線ネットワークへの接続については 「非表示無線ネットワークに接続」 を参照して下さい。
モード
インフラストラクチャ — 専用の無線アクセスポイントや、ルーターやスイッチなどのネットワークデバイスに構築されているアクセスポイントに接続している場合は、モードインフラストラクチャ に設定します。
アドホック — 2 つ以上のモバイルデバイス間での直接通信用のピアツーピアネットワークを作成している場合は、モードアドホック に設定します。802.11 標準では Independent Basic Service Set (IBSS) と呼ばれる アドホック モードを使用する場合は、すべての参加無線デバイスで同一 SSID が設定され、それらすべてが同一チャンネル上で通信していることを確認する必要があります。
BSSID
BSSID (基本的サービスセット識別子) は、インフラストラクチャ モードで接続している際の特定の無線アクセスポイントの MAC アドレスです。このフィールドはデフォルトで空白になっており、BSSID を指定せずに、SSID で無線アクセスポイントに接続できます。BSSID が指定されると、システムは強制的に特定のアクセスポイントのみに関連付けられます。
アドホックネットワークが生成される際に、mac80211 サブシステムがランダムに BSSID を生成します。これは NetworkManager では表示されません。
MAC アドレス
イーサネットのネットワークインターフェイスカード (NIC) と同様に、無線アダプタはそれ自身をシステムに対して識別する特有の MAC アドレス (Media Access Control; 別名 ハードウェアアドレス) を持っています。ip addr コマンドを実行すると、各インターフェイスに関連付けられた MAC アドレスが表示されます。例えば、以下の ip addr 出力では、wlan0 インターフェイスの MAC アドレス(00:1c:bf:02:f8:70) は、キーワードlink/ether の直後に続いています。
~]# ip addr
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 16436 qdisc noqueue state UNKNOWN
    link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
    inet 127.0.0.1/8 scope host lo
    inet6 ::1/128 scope host
       valid_lft forever preferred_lft forever
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UNKNOWN qlen 1000
    link/ether 52:54:00:26:9e:f1 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.122.251/24 brd 192.168.122.255 scope global eth0
    inet6 fe80::5054:ff:fe26:9ef1/64 scope link
       valid_lft forever preferred_lft forever
3: wlan0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP qlen 1000
    link/ether 00:1c:bf:02:f8:70 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 10.200.130.67/24 brd 10.200.130.255 scope global wlan0
    inet6 fe80::21c:bfff:fe02:f870/64 scope link
       valid_lft forever preferred_lft forever
単独のシステムでも1つ、またはそれ以上の無線ネットワークアダプターを接続することができます。そのため、MAC アドレス フィールドでは特定の無線アダプターが特定の接続と関連付けできるようになっています。前述のように ip addr コマンドを使用すれば MAC アドレスを判定できるため、その値をコピーして MAC アドレス テキスト入力フィールドに貼り付けることができます。
MTU
MTU (Maximum Transmission Unit) (最大転送ユニット)の値は、接続が転送に使用する最大限パケットサイズをバイト単位で示すものです。ゼロ以外の数値でセットしてある場合は、その指定サイズか、それ以下のパケットのみが転送されます。それ以上のパケットサイズは複数のイーサネットフレームに分断されます。このセッティングは 自動 のままにしておくことが推奨されます。

新規 (または修正した) 接続を保存して他の設定をする

無線接続の編集が終了すると、適用 ボタンをクリックします。するとNetworkManager はすぐにカスタマイズした設定を保存します。設定が正しく実行されている場合は、NetworkManager 通知スペースアプレットからそれを選択すると、変更した接続先へ正しく接続するようになります。
既存の接続をさらに設定をするには、ネットワーク接続 ウィンドウ内でその接続を選択し、編集 をクリックして 編集 ダイアログに戻ります。
そして、以下のいずれかの設定をします: