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9.2.4. Ethtool
Ethtool は、Network Interface Cards (NICs) 設定の際のユーティリティです。このユーティリティを使うと、多くのネットワークデバイス、特にイーサネットデバイスのスピードやポート、オートネゴシエーション、PCI の場所、チェックサムオフロードといった設定のクエリや変更が可能になります。
以下に、使用頻度の高い Ethtool コマンドとあまり知られていない有用なコマンドを挙げておきます。コマンドの全一覧は、
ethtool -h
で表示されます。詳細なリストと説明は、man ページ ethtool(8)
を参照してください。以下の最初の 2 例は情報クエリで、コマンドの異なるフォーマットの使い方を示しています。
まず、コマンド構文を見ていきます。
ethtool
[option...] devname
option はなしかさらなるオプションで、devname は、eth0 や em1 などの使用中の Network Interface Card (NIC) です。
値の中には root でコマンドを実行しないと取得できないものもあります。以下は、root でコマンドを実行した際の出力例です。
~]# ethtool em1
Settings for em1:
Supported ports: [ TP ]
Supported link modes: 10baseT/Half 10baseT/Full
100baseT/Half 100baseT/Full
1000baseT/Full
Supported pause frame use: No
Supports auto-negotiation: Yes
Advertised link modes: 10baseT/Half 10baseT/Full
100baseT/Half 100baseT/Full
1000baseT/Full
Advertised pause frame use: No
Advertised auto-negotiation: Yes
Speed: 1000Mb/s
Duplex: Full
Port: Twisted Pair
PHYAD: 2
Transceiver: internal
Auto-negotiation: on
MDI-X: on
Supports Wake-on: pumbg
Wake-on: g
Current message level: 0x00000007 (7)
drv probe link
Link detected: yes
長短どちらかの形式の引数を使用して以下のコマンドを発行し、特定のネットワークデバイスに関連するドライバー情報をクエリします。
ethtool
-i, --driver
devname
devname は、eth0 や em1 などの使用中の Network Interface Card (NIC) です。
以下は出力例です。
~]$ ethtool -i em1
driver: e1000e
version: 2.0.0-k
firmware-version: 0.13-3
bus-info: 0000:00:19.0
supports-statistics: yes
supports-test: yes
supports-eeprom-access: yes
supports-register-dump: yes
ここではデバイスのクエリや識別、リセットに使用するコマンドリストを説明します。形式は通常の - 短いものと -- 長いものになります。
-
--statistics
--statistics
または-S
は、特定のネットワークデバイスに NIC やドライバー統計をクエリする際に使用されます。以下の形式になります。ethtool
-S
,--statistics
devnamedevname は NIC です。-
--identify
--identify
または-p
オプションは、オペレーターが目視でアダプターを簡単に特定できるようにする目的のアダプター固有のアクションを開始します。通常これで行われるのは、特定のネットワークポート上で 1 つ以上の LED の点滅です。以下の形式になります。-p, --identify
devname integerinteger アクションを実行する時間の長さです (秒単位) 。devname は NIC です。-
--test
--test
または-t
オプションは、ネットワークインターフェースカード上でテストを実行する際に使用します。以下の形式になります。-t, --test
word devnameword は以下のいずれかになります。offline
— 総合的なテストを実行します。サービスが一時中断されます。online
— 短縮されたテストを実行します。サービスは中断されません。external_lb
— ループバックケーブルが装着されていると、ループバックテストを含む総合的なテストを実行します。
devname は NIC です。
指定されたネットワークデバイスの一部またはすべての設定を変更するには、
-s
または --change
オプションが必要になります。以下のすべてのオプションは、-s
または --change
オプションが指定された場合のみ、適用されます。明確にするために、ここでは省略します。
これらの設定を永続的なものとするために、ETHTOOL_OPTS 指示文を使うことができます。ネットワークインターフェースがアクティベートされる際にインターフェース設定ファイルで好みのオプションの設定に使用できます。この指示文の使用方法については、「イーサネットインターフェース」 を参照してください。
-
--speed
--speed
は、スピードを毎秒メガビット単位 (Mb/s) で設定するオプションです。スピード値を省略すると、対応するデバイスのスピードが表示されます。以下の形式になります。--speed
number devnamenumber 毎秒メガビット (Mb/s) 単位でのスピードです。devname は NIC です。-
--duplex
--duplex
オペレーションの送信および受信モードを設定するオプションです。以下の形式になります。--duplex
word devnameword は以下のいずれかになります。half
— 半二重モードを設定します。通常、ハブに接続している際に使用します。full
— 全二重モードを設定します。通常、スイッチまたは別のホストに接続している際に使用します。
devname は NIC です。-
--port
--port
は、デバイスポートを選択する際に使用するオプションです。以下の形式になります。--port
value devnamevalue は、以下のいずれかです。tp
— ツイストペアケーブルを媒介として使用するイーサネットインターフェースです。aui
— Attachment Unit Interface (AUI) 。通常はハブで使用します。bnc
— BNC コネクターおよび同軸ケーブルを使用するイーサネットインターフェースです。mii
— Media Independent Interface (MII) を使用するイーサネットインターフェースです。fibre
— 光ファイバーを媒介として使用するイーサネットインターフェースです。
devname は NIC です。-
--autoneg
--autoneg
は、ネットワークスピードとオペレーションモード (全二重もしくは半二重モード) のオートネゴシエーションを制御するオプションです。オートネゴシエーションが有効な場合、-r, --negotiate
オプションを使ってネットワークスピードとオペレーションモードの再ネゴシエーションを開始できます。--a, --show-pause
オプションを使うとオートネゴシエーションのステータスを表示できます。以下の形式になります。--autoneg
value devnamevalue は、以下のいずれかです。yes
— ネットワークスピードとオペレーションモードのネゴシエーションを許可します。no
— ネットワークスピードとオペレーションモードのネゴシエーションを許可しません。
devname は NIC です。-
--advertise
--advertise
は、オートネゴシエーションに通知されるスピードとオペレーションモード (二重モード) を設定するオプションです。引数は、表9.1「Ethtool 通知オプション: スピードおよびオペレーションモード」 からの 1 つ以上の十六進法の値になります。以下の形式になります。--advertise
HEX-VALUE devnameHEX-VALUE は、以下の表からの 1 つ以上の十六進法の値で、devname は NIC です。表9.1 Ethtool 通知オプション: スピードおよびオペレーションモード
十六進法の値 スピード 二重モード IEEE 基準? 0x001 10 半はい 0x002 10 全はい 0x004 100 半はい 0x008 100 全はい 0x010 1000 半 いいえ 0x020 1000 全はい 0x8000 2500 全 はい 0x1000 10000 全 はい 0x20000 20000MLD2 全 いいえ 0x20000 20000MLD2 全 いいえ 0x40000 20000KR2 全 いいえ -
--phyad
--phyad
は、物理アドレスを変更するオプションです。MAC もしくはハードウェアアドレスと呼ばれることが多くありますが、ここでは物理アドレスと呼びます。以下の形式になります。--phyad
HEX-VALUE devnameHEX-VALUE は十六進法形式での物理アドレスで、devname は、NIC です。-
--xcvr
--xcvr
は、トランシーバーのタイプを選択するオプションです。現在は、「内部」 および 「外部」 のみが指定できます。今後は他のタイプが追加される可能性があります。以下の形式になります。--xcvr
word devnameword は以下のいずれかになります。internal
— 内部トランシーバーを使用。external
— 外部トランシーバーを使用。
devname は NIC です。-
--wol
--wol
は、「Wake-on-LAN」 オプションを設定するオプションです。すべてのデバイスが対応しているわけではありません。このオプションの引数は、どのオプションを有効にするかを指定する文字列です。以下の形式になります。--wol
value devnamevalue は、以下の 1 つまたは 複数のものです。p
— PHY アクティビティーでウェイクu
— ユニキャストメッセージでウェイクm
— マルチキャストメッセージでウェイクb
— ブロードキャストメッセージでウェイクg
— Wake-on-Lan; "magic packet" の受信でウェイク。s
— Wake-on-Lan のパスワードを使用してセキュリティ機能を有効にします。d
— Wake-on-Lan を無効にし、すべての設定をクリアにします。
devname は NIC です。-
--sopass
--sopass
は、「SecureOn」 パスワードを設定するオプションです。このオプションの引数は、イーサネット MAC 十六進法形式 (xx:yy:zz:aa:bb:cc) の 6 バイトである必要があります。以下の形式になります。--sopass
xx:yy:zz:aa:bb:cc devnamexx:yy:zz:aa:bb:cc は MAC アドレスと同一形式のパスワードで、devname は NIC です。-
--msglvl
--msglvl
は、ドライバーのメッセージタイプフラグを名前もしくは番号で設定するオプションです。これらのタイプフラグの正確な意味は、ドライバーによって異なります。以下の形式になります。--msglvl
value devnamevalue は以下のいずれかです。HEX-VALUE
— メッセージタイプを示す十六進法の値です。message-type
— プレーンテキストのメッセージタイプ名です。
devname は NIC です。定義済みのメッセージタイプ名および番号は、以下の表に示すとおりです。表9.2 ドライバーメッセージタイプ
メッセージタイプ 十六進法の値 詳細 drv 0x0001 一般的なドライバーステータスprobe 0x0002 ハードウェアのプローブlink 0x0004 リンクのステータスtimer 0x0008 定期的なステータスチェックifdown 0x0010 非アクティベートにしているインターフェース ifup 0x0020 アクティベートにしているインターフェースrx_err 0x0040 エラーを受信 tx_err 0x0080 エラー送信 intr 0x0200 割り込み処理 tx_done 0x0400 送信完了 rx_status 0x0800 受信完了 pktdata 0x1000 パケットコンテンツ hw 0x2000 ハードウェアのステータス wol 0x4000 Wake-on-LAN ステータス
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