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6.6 リリースノート

Red Hat Enterprise Linux 6

Red Hat Enterprise Linux 6.6 のリリースノート

エディッション 6

Red Hat Customer Content Services

概要

本リリースノートでは、Red Hat Enterprise Linux 6.6 で実装された改善点や追加機能の高レベルな内容を提供しています。Red Hat Enterprise Linux になされた 6.6 更新の全変更点の詳細については、テクニカルノート を参照してください。

前書き

機能強化、セキュリティーエラータやバグ修正によるエラータなどを集めたものが Red Hat Enterprise Linux のマイナーリリースになります。『Red Hat Enterprise Linux 6.6 リリースノート』 では、今回のマイナーリリースで Red Hat Enterprise Linux  6 オペレーティングシステムと付随するアプリケーションに加えられた主要な変更について説明しています。このマイナーリリースにおける変更点 (修正済みのバグ、追加された機能強化、既知の問題など) に関する詳しい説明については テクニカルノート を参照してください。テクニカルノートには、現在利用できるテクノロジープレビューとその機能を提供するパッケージのリストも記載されています。

重要

こちら でご覧になれるオンライン版の 『Red Hat Enterprise Linux 6.6 リリースノート』 が最終的な最新バージョンとなります。このリリースに関してご質問がある場合は、ご使用バージョンの Red Hat Enterprise Linux のオンライン版 『リリースノート』 および 『テクニカルノート』 をご覧いただくことをお勧めします。
他のバージョンとの比較における Red Hat Enterprise Linux 6 の機能および制限については、https://access.redhat.com/site/articles/rhel-limits にあるナレッジベースの記事を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux のライフサイクルに関する詳細情報については、https://access.redhat.com/support/policy/updates/errata/ を参照してください。

第1章 カーネル

SCSI Unit Attention 処理の強化

Red Hat Enterprise Linux 6.6 では、カーネルが強化され、udev イベントメカニズム経由で SCSI デバイスから受信した特定の SCSI Unit Attention 状態にユーザースペースが対応できるようになりました。サポートされる Unit Attention 状態は以下の通りです。
  • 3F 03 INQUIRY DATA HAS CHANGED
  • 2A 09 CAPACITY DATA HAS CHANGED
  • 38 07 THIN PROVISIONING SOFT THRESHOLD REACHED
  • 2A 01 MODE PARAMETERS CHANGED
  • 3F 0E REPORTED LUNS DATA HAS CHANGED
サポートされる Unit Attention 状態のデフォルトの udev ルールは、libstoragemgmt RPM パッケージが提供します。udev ルールは、/lib/udev/rules.d/90-scsi-ua.rules ファイル内にあります。
デフォルトのルールは、REPORTED LUNS DATA HAS CHANGED unit attention を処理します。追加のルールの例は、カーネルが生成可能な他のイベントを列挙するためにあります。デフォルトのルールは、SCSI ターゲット上に存在しなくなった論理ユニット番号 (LUN) を自動的に削除しないことに注意してください。
SCSI Unit Attention 状態は SCSI コマンドに対してのみレポートされるので、SCSI デバイスにコマンドがアクティブに送信されていないと、状態はレポートされません。
デフォルトの動作は、udev ルールを修正したり削除したりすることでカスタマイズできます。libstoragemgmt RPM パッケージがインストールされていないと、デフォルトのルールは存在しません。それらのイベントに udev ルールが存在しないとアクションは発生しませんが、それでもイベント自体はカーネルにより生成されます。

Open vSwitch カーネルモジュール

Red Hat Enterprise Linux 6.6 には Open vSwitch カーネルモジュールが Red Hat の複数層の製品のイネーブラーとして同梱されています。Open vSwitch は、付随するユーザースペースユーティリティーを同梱している製品と併用する場合のみのサポートになります。これらのユーザースペースのユーティリティーがないと Open vSwitch は機能せず、また有効にすることもできません。詳細については https://access.redhat.com/knowledge/articles/270223 にあるナレッジベースの記事を参照してください。

第2章 ネットワーキング

HPN アドオンの変更

Red Hat Enterprise Linux 6.6 以降、High Performance Networking (HPN) アドオンは、個別製品として利用できなくなりました。代わりに、HPN アドオンにあった機能はベース製品に統合され、Red Hat Enterprise Linux ベースチャンネルの一部として提供されています。
HPN 機能がベースの Red Hat Enterprise Linux 6 製品に含まれるようになったのに加え、RDMA over Converged Ethernet (RoCE) 実装が更新されました。RoCE は、グローバル識別子または GID ベースのアドレス指定をノード間通信に使用します。これまでは、GID は VLAN ID (使用されている場合) とともにイーサネットインターフェイスの MAC アドレスをベースにコード化されていました。特定の状況下では、RoCE プロトコルを実行する計算エンティティーは、トラフィックに VLAN のタグ付けがされていることを認識しません。すると、この計算エンティティーは間違った GID を作成または仮定し、これにより接続性の問題が発生する可能性が出てきます。更新された RoCE 実装は、RoCE GID がコード化される方法を変更することでこの問題を解決し、イーサネットインターフェイスの IP アドレスからこれらを離します。プロトコルを使用するシステムはすべて Red Hat Enterprise Linux 6.6 にアップグレードし、有線プロトコル形式におけるこの変更で接続の信頼性を確保する必要があります。
詳細情報は、Red Hat ナレッジベースにあるこちらの記事 https://access.redhat.com/site/articles/971333 を参照してください。

第3章 セキュリティ

SCAP セキュリティガイド

scap-security-guide パッケージは Red Hat Enterprise Linux 6.6 に含まれており、セキュリティガイダンスやベースライン、Security Content Automation Protocol (SCAP) を使用する関連の認証メカニズムを提供します。SCAP Security Guide には、規定のセキュリティポリシー要件に関するシステムセキュリティコンプライアンススキャンを実行するために必要なデータが含まれています。これは、記載されたものと自動テスト (プローブ) の両方が含まれています。テストを自動化することで、SCAP Security Guide は定期的にシステムを検証する便利かつ信頼性のある方法を提供します。

第4章 仮想化

新パッケージ: hyperv-daemons

新たな hyperv-daemons パッケージが Red Hat Enterprise Linux 6.6 に追加されました。これには、Hyper-V KVP デーモン (これまでは hypervkvpd パッケージが提供)、Hyper-V VSS デーモン (これまでは hypervvssd パッケージが提供)、および hv_fcopy デーモン (これまでは hypervfcopyd パッケージが提供) が含まれています。hyperv-daemons が提供するデーモンは、Linux ゲストが Hyper-V を使って Microsoft Windows ホスト上で稼働する場合に必要になります。

第5章 ストレージ

device-mapper の機能強化

Red Hat Enterprise Linux 6.6 では、いくつかの重要な機能強化が device-mapper で導入されました。
  • dm-cache デバイスマッパーターゲットがテクノロジープレビューとして追加され、速いストレージデバイスを遅いストレージデバイス用のキャッシュとして動作できるようになりました。
  • device-mapper-multipath ALUA 優先度チェッカーは、別のパスがロードバランシングに使用できる場合、自身のパスグループに優先パスデバイスを置かないようになりました。
  • multipath.conf ファイル内の fast_io_fail_tmo パラメーターは、Fibre Channel デバイス上に加えて iSCSI デバイス上でも機能するようになりました。
  • device-mapper multipath が sysfs ファイルを処理する方法が改善され、多数のマルチパスデバイスがある setups のパフォーマンスが改善されます。
  • multipath.conf 内に新たな force_sync パラメーターが導入されました。このパラメーターは非同期パスチェックを無効にし、多数のマルチパスデバイスがある setups 上で CPU 競合問題数を制限する際に役立ちます。

dm-era テクノロジープレビュー

device-mapper-persistent-data パッケージは、テクノロジープレビューとしてリリースされた新たな dm-era デバイスマッパー機能の使用に役立つツールを提供します。dm-era 機能は、era と呼ばれるユーザー定義の時間内にデバイス上のどのブロックに書き込みがされたかを記録します。この機能により、バックアップソフトウェアは変更されたブロックを記録したり、変更を元に戻した後にキャッシュの整合性を復元したりすることができます。

第6章 ハードウェアの有効化

Intel Wildcat Point-LP PCH のサポート

Broadwell-U PCH SATA、HD Audio、TCO Watchdog、および I2C (SMBus) デバイス ID がドライバーに追加され、Red Hat Enterprise Linux 6.6 の次世代モバイルプラットフォームのサポートが有効になりました。

VIA VX900 Media System Processor のサポート

Red Hat Enterprise Linux 6.6 では、VIA VX900 Media System Processor がサポートされています。

第7章 業界標準および認証

Fips 140 の再確認

FIPS (連邦情報処理規格) 公示 140 は、機密に関わる情報で秘密ではない情報を保護するセキュリティーシステム内で使用される暗号化モジュールが満たす必要のあるセキュリティー要件を指定した米国政府のセキュリティー規格です。この規格は、レベル 1 から 4 までの 4 段階のセキュリティーレベルを提供します。これらのレベルは、暗号化モジュールが使われる可能性のある幅広いアプリケーションおよび環境を対象とすることを意図しています。このセキュリティー要件は、暗号化モジュールのセキュアな設計と実装に関連するエリアをカバーします。このエリアに含まれるのは以下の通りです。暗号化モジュールの仕様、暗号化モジュールのポートおよびインターフェイス、ロール、サービス、認証、有限状態モデル、物理的セキュリティー、運用環境、暗号化キー管理、電磁的妨害/電磁的互換性 (EMI/EMC)、自己テスト、設計確認、他の攻撃の緩和。
以下のターゲットは完全に検証されています。
  • NSS FIPS-140 Level 1
  • Suite B Elliptic Curve Cryptography (ECC)
以下のターゲットは再確認されました。
  • OpenSSH (クラスタおよびサーバー)
  • Openswan
  • dm-crypt
  • OpenSSL
  • Suite B Elliptic Curve Cryptography (ECC)
  • Kernel Crypto API
  • AES-GCM、AES-CTS、および AES-CTR の暗号文

第8章 認証と相互運用性

Active Directory による相互運用性の改善

System Security Services Daemon (SSSD) の機能が追加されたことで、Red Hat Enterprise Linux クライアントと Active Directory の相互運用性が改善されました。これにより、Linux および Windows 環境での ID 管理が容易になっています。注目すべき機能強化は、単一フォレスト内での信頼できるドメインからのユーザーおよびグループの解決およびユーザー認証、DNS 更新、サイト発見、ユーザーおよびグループのルックアップでの NetBIOS 名の使用などです。

IPA 用 Apache モジュール

Apache モジュールのセットがテクノロジープレビューとして Red Hat Enterprise Linux 6.6 に追加されました。Apache モジュールは、外部のアプリケーションが使うことで、ID 管理とのより緊密な相互作用でシンプルな認証以上のことが達成できます。詳細情報については、ターゲット設定の説明を http://www.freeipa.org/page/Web_App_Authentication で参照してください。

第9章 デスクトップおよびグラフィックス

新パッケージ: gdk-pixbuf2

これまでは gtk2 パッケージの一部だった gdk-pixbuf2 パッケージが Red Hat Enterprise Linux 6.6 に追加されました。gdk-pixbuf2 パッケージには、新たなイメージ形式用の読み込み可能なモジュールによる拡張可能なイメージ読み込みライブラリーが含まれています。このライブラリーは、GTK+ や Clutter などのツールキットで使用します。gdk-pixbuf2 および gtk2 パッケージに含まれているライブラリーのダウンロードは失敗する場合があることに注意してください。

第10章 パフォーマンスおよびスケーラビリティー

Performance Co-Pilot (PCP)

Performance Co-Pilot (PCP) は、システムレベルのパフォーマンスモニタリングや管理をサポートするためのフレームワークおよびサービスを提供します。軽量で分散型アーキテクチャーであることから、複雑なシステムの一元的な分析に非常に適しています。
パフォーマンスの測定基準は、Python、Perl、C++ および C インターフェースを使って追加することができます。分析ツールは、クライアント API (Python、C++、C) を直接使用でき、リッチな web アプリケーションは、JSON インターフェースを使用して利用可能なすべてのパフォーマンスデータを探索できます。
詳細情報は、pcp および pcp-libs-devel パッケージの man ページを参照してください。pcp-doc パッケージは /usr/share/doc/pcp-doc/* ディレクトリーにドキュメントをインストールし、これには以下のアップストリームプロジェクトの無料のオープンブック 2 冊が含まれています。

第11章 更新全般

新パッケージ: java-1.8.0-openjdk

新たな java-1.8.0-openjdk パッケージには OpenJDK 8 Java Runtime Environment および OpenJDK 8 Java Software Development Kit が含まれており、Red Hat Enterprise Linux 6.6 ではテクノロジープレビューとして利用可能になっています。

付録A コンポーネントバージョン

この付録は、Red Hat Enterprise Linux 6.6 リリースにおけるコンポーネントおよびバージョンの一覧表です。

表A.1 コンポーネントバージョン

コンポーネント
バージョン
カーネル
2.6.32-494
QLogic qla2xxx ドライバー
8.07.00.08.06.6-k
QLogic ql2xxx ファームウェア
ql23xx-firmware-3.03.27-3.1
ql2100-firmware-1.19.38-3.1
ql2200-firmware-2.02.08-3.1
ql2400-firmware-7.03.00-1
ql2500-firmware-7.03.00-1
Emulex lpfc driver
10.2.8020.1
iSCSI initiator utils
iscsi-initiator-utils-6.2.0.873-11
DM-Multipath
device-mapper-multipath-libs-0.4.9-80
LVM
lvm2-2.02.108-1

付録B 改訂履歴

改訂履歴
改訂 0.0-0.3.2.1Wed Sep 10 2014Red Hat Localization Service
翻訳完成
改訂 0.0-0.3.1Wed Sep 10 2014Credit ARRAY(0x43c98e8)
翻訳ファイルを XML ソースバージョン 0.0-0.3 と同期
改訂 0.0-0.3Tue Aug 26 2014Milan Navrátil
Red Hat Enterprise Linux 6.6 リリースノートの公開

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