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第21章 SNMP を使用した Directory Server の監視

20章サーバーおよびデータベースアクティビティーの監視」で説明しているサーバーおよびデータベースアクティビティー監視のログ設定は、Directory Server に固有のものです。また、SNMP (Simple Network Management Protocol) を使用して Directory Server を監視することもできます。SNMP は、ネットワーク活動を監視するのに使用する管理プロトコルで、さまざまな機器をリアルタイムに監視することができます。
Directory Server は、AgentX サブエージェントを使用して SNMP を監視できます。SNMP 監視は、バインド情報、サーバーで実行される操作、キャッシュ情報など、Directory Server に関する有用な情報を収集します。Directory Server SNMP サブエージェントは SNMP トラップをサポートし、サーバーインスタンスの実行状態の変更に関する通知を送信します。

21.1. SNMP の概要

SNMP は広く普及しているため、相互運用性があります。このような相互運用性と、SNMP がさまざまなデバイスクラスに固有の多くのジョブを引き受けることができるという事実により、SNMP はグローバルネットワークの制御と監視のための理想的な標準メカニズムとなっています。SNMP により、ネットワーク管理者はすべてのネットワーク監視活動を統合することができ、Directory Server の監視もその一部となります。
SNMP は、ネットワークアクティビティーに関するデータを交換するために使用されます。SNMP では、ユーザーがネットワークをリモートで管理する管理デバイスとネットワーク管理アプリケーション (NMS) の間でデータが伝送されます。管理デバイスは、ホスト、ルーター、Directory Server などの SNMP を実行するすべてです。NMS は通常、1 つ以上のネットワーク管理アプリケーションがインストールされた強力なワークステーションです。ネットワーク管理アプリケーションは、管理している機器の情報、どの機器が稼働または停止しているのか、どのエラーメッセージをどれだけ受け取ったのか、などをグラフィカルに表示します。
NMS と管理デバイスに関する情報は、サブエージェントと マスターエージェント の 2 種類のエージェントを使用して転送されます。サブエージェントは、管理対象デバイスに関する情報を収集し、情報をマスターエージェントに渡します。Directory Server にはサブエージェントがあります。マスターエージェントは、さまざまなサブエージェントと NMS との間ので報を交換します。マスターエージェントは、通常、リモートマシンで実行できるものの、通信するサブエージェントと同じホストマシンで実行します。
問い合わせ可能な SNMP 属性 (変数とも呼ばれる) の値は、管理対象機器に保持され、必要に応じて NMS に報告されます。各変数は 管理オブジェクト と呼ばれ、エージェントがアクセスして NMS に送信できるものです。すべての管理オブジェクトは、ツリーのような階層を持つデータベースである管理情報ベース (MIB) で定義されます。階層の最上位には、ネットワークに関する最も一般的な情報が含まれます。その下の各ブランチはより具体的で、個別のネットワーク領域を扱っています。
SNMP は、プロトコルデータユニット (PDU) の形式でネットワーク情報を交換します。PDU には、管理対象デバイスに保存されている変数に関する情報が含まれます。これらの変数は、管理オブジェクトとも呼ばれ、必要に応じて NMS にレポートされる値とタイトルを持ちます。NMS と管理対象機器の間の通信は、NMS が更新情報を送信したり、情報を要求したり、管理対象オブジェクトがサーバーのシャットダウンや起動時に トラップ と呼ばれる通知や警告を送信することで行われます。