ガイド付きルールを使用したデシジョンサービスの作成
概要
前書き
ビジネス分析者またはビジネスルールの開発者は、Decision Central でガイド付きルールデザイナーを使用してビジネスルールを定義できます。このガイド付きルールは Drools Rule Language (DRL) に組み込まれ、プロジェクトのデシジョンサービスの中心となります。
前提条件
ガイド付きルールのチームおよびプロジェクトが Decision Central に作成されていて、各アセットが、チームに割り当てられたプロジェクトに関連付けられています。詳細は『デシジョンサービスの使用ガイド』 を参照してください。
第1章 Red Hat Decision Manager におけるルール作成アセット
Red Hat Decision Manager は、デシジョンサービスにビジネスルールを作成するのに使用するアセットを提供します。ルール作成アセットはそれぞれ長所が異なるため、ゴールおよびニーズに適したアセットを 1 つ、または複数を組み合わせて使用できます。
デシジョンサービスでルールを作成する最適な方法を選択できるように、以下の表で、Decision Central のルール作成アセットを紹介します。
表1.1 Decision Central におけるルール作成アセット
| アセット | 主な特徴 | ドキュメンテーション |
|---|---|---|
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ガイド付きデシジョンテーブル |
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アップロードしたデシジョンテーブル |
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ガイド付きルール |
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ガイド付きルールテンプレート |
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DRL ルール |
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第2章 ガイド付きルール
ガイド付きルールは、ルール作成のプロセスを提供する Decision Central の UI ベースのガイド付きルールデザイナーで作成するビジネスルールです。ガイド付きルールデザイナーを使用すると、ルールを定義するデータオブジェクトに基づいて、可能なインプットにフィールドおよびオプションを提供します。定義したガイド付きルールは、その他のすべてのルールアセットとともに Drools Rule Language (DRL) ルールにコンパイルされます。
ガイド付きルールに関連するすべてのデータオブジェクトは、ガイド付きルールと同じプロジェクトパッケージに置く必要があります。同じパッケージに含まれるアセットはデフォルトでインポートされます。必要なデータオブジェクトとガイド付きルールを作成したら、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブから、必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを検証したり、 新規アイテム を追加してその他の既存データオブジェクトをインポートしたりできます。
第3章 データオブジェクト
データオブジェクトは、作成するルールアセットの構成要素です。データオブジェクトは、プロジェクトで指定したパッケージに Java オブジェクトとして実装されているカスタムのデータタイプです。たとえば、データフィールド Name、Address、および Date of Birth を使用して Person オブジェクトを作成し、ローン申し込みルールに詳細な個人情報を指定できます。このカスタムのデータタイプは、アセットとデシジョンサービスがどのデータに基づいているかを指定します。
3.1. データオブジェクトの作成
定義するデータオブジェクトは、プロジェクトのルールアセットの構成要素を定義し、アセットとデシジョンサービスがどのデータに基づいているかを指定します。
手順
- Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- Create New Asset → Data Object をクリックします。
一意の データオブジェクト 名を入力し、パッケージ を選択します。これにより、その他のルールアセットでもデータオブジェクトを利用できるようになります。同じパッケージに、同じ名前のデータオブジェクトを複数作成することはできません。指定するパッケージは、そのデータオブジェクトを必要とするルールアセットが割り当てられている、もしくはこれから割り当てるパッケージにする必要があります。
別のパッケージからのデータオブジェクトのインポートルールアセットのパッケージに、別のパッケージから既存のデータオブジェクトをインポートすることもできます。インポートするオブジェクトを選択するには、Project Explorer から (ガイド付きデシジョンテーブル、ガイド付きルールなどの) アセットパネルを展開し、特定のアセットを選択し、アセットデザイナーで Data Objects → New item に移動します。
- データオブジェクトを永続化するには、Persistable チェックボックスを選択します。永続型データオブジェクトは、JPA 仕様に準じてデータベースに保存できます。デフォルトの JPA は Hibernate です。
- OK をクリックします。
データオブジェクトデザイナーで add field をクリックして、Id 属性、Label 属性、Type 属性を使用するオブジェクトにフィールドを追加します。必須属性にはアスタリスク (*) マークが付いています。
- Id: フィールドの一意の ID を入力します。
- Label: (任意) フィールドのラベルを入力します。
- Type: フィールドのデータ型を入力します。
List: このチェックボックスを選択すると、このフィールドで、指定したタイプのアイテムを複数保持できるようになります。
図3.1 データオブジェクトへのデータフィールドの追加

Create をクリックして、新しいフィールドを追加します。Create and continue をクリックすると、新しいフィールドが追加され、別のフィールドを引き続き作成できます。
注記フィールドを編集するには、フィールド行を選択し、画面右側の general properties を使用します。
第4章 ガイド付きルールの作成
ガイド付きルールを使用すると、そのルールに関連するデータオブジェクトに基づいて、構造化フォーマットでビジネスルールを定義できるようになります。
手順
- Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- Create New Asset → Guided Rule をクリックします。
参考となる ガイド付きルール 名を入力し、適切な パッケージ を選択します。指定するパッケージは、必要なデータオブジェクトが割り当てられている、またはこれから割り当てるパッケージにする必要があります。
(Project Explorer の Domain Specific Language Definitions パネルで) DSL アセットをプロジェクトに定義している場合は、Use Domain Specific Language (DSL) を選択することもできます。このような DSL アセットが、ガイド付きルールデザイナーで定義する条件およびアクションに対して利用可能なオブジェクトになります。
OK をクリックして、ルールアセットを作成します。
新しいガイド付きルールが、Project Explorer の Guided Rules パネルに追加されます。Use Domain Specific Language (DSL) オプションを選択している場合は Guided Rules (with DSL) パネルに追加されます。
- Data Objects タブをクリックして、ルールに必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを確認します。リストされていない場合は、New item をクリックして、他のパッケージからデータオブジェクトをインポートするか、パッケージに データオブジェクトを作成 します。
データオブジェクトをすべて配置したら、ガイド付きルールデザイナーの Editor タブに戻り、エディターウィンドウの右側のボタンから、利用可能なデータオブジェクトに、ルールの WHEN (条件) セクションおよび THEN (アクション) セクションを追加して定義します。
図4.1 ガイド付きルールデザイナー

ルールの WHEN 部分には、アクションを実行するのに必要な条件が含まれます。たとえば、銀行のローン申し込みに年齢制限 (21 歳以上) が必要な場合、「Underage」ルールの WHEN 条件は
Age | less than | 21となります。ルールの THEN 部分には、ルールの条件部分に一致したときに実行するアクションが含まれます。たとえば、ローンの申込者が 21 歳に満たない場合は、THEN アクションの
approvedがfalseになり、年齢が基準に達していないためローンの申し込みが承認されません。例外を設定して、より複雑なルールを指定することもできます。たとえば、申込者の年齢が達していなくても、保護者の承認があれば承認されるようにすることもできます。この場合、guarantor データオブジェクトを作成またはインポートして、そのフィールドをガイド付きルールに追加します。
- ルールのコンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ガイド付きルールの妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
- ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
条件の追加方法については 「ガイド付きルールへの WHEN 条件の追加」 を参照してください。
アクションをルールに追加する方法は 「ガイド付きルールに THEN アクションの追加」 を参照してください。
4.1. ガイド付きルールへの WHEN 条件の追加
ルールの WHEN 部分には、アクションを実行するのに必要な条件が含まれます。たとえば、銀行のローン申し込みに年齢制限 (21 歳以上) が必要な場合、「Underage」ルールの WHEN 条件は Age | less than | 21 となります。ルールをいつ、どのように適用するかを決定するために、単純または複雑な条件を設定できます。
前提条件
ルールに必要なデータオブジェクトはすべて作成、またはインポートされており、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブにリストされています。
手順
ガイド付きルールデザイナーで、
WHENセクションの右側のプラスアイコン (
) をクリックします。
利用可能な条件要素が追加された Add a condition to the rule ウィンドウが開きます。
図4.2 ルールへの条件の追加

このリストには、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブのデータオブジェクトと、パッケージに定義した DSL オブジェクト (このガイド付きルールを作成したときに Use Domain Specific Language (DSL) を選択した場合) と、以下の標準オプションが含まれます。
- The following does not exist: 存在すべきでないファクトと制約を指定します。
- The following exists: 存在すべきファクトを制約を指定します。このオプションは、最初に一致したものだけが適用され、その後一致するものは無視されます。
- Any of the following are true: true であるファクトおよび制約をリストします。
-
From: ルールに
From条件要素を定義します。 -
From Accumulate: ルールの
Accumulate条件要素を定義します。 -
From Collect: ルールの
Collect条件要素を定義します。 -
From Entry Point: パターンの
Entry Pointを定義します。 - Free form DRL: Free form DRL フィールドを挿入します。このフィールドには、ガイド付きルールデザイナーを使用せずに、自由に条件要素を定義できます。
- 条件要素 (LoanApplication など) を選択し、OK をクリックします。
ガイド付きルールデザイナーで条件要素をクリックし、Modify constraints for LoanApplication ウィンドウで、フィールドへの制限の追加、複数のフィールド制約の適用、新しい数式表現の追加、式エディターの適用、または変数名の設定を行います。
図4.3 条件の変更
注記変数名を使用すると、ガイド付きルールの別の構成でファクトまたはフィールドを指定できます。たとえば、
LoanApplicationの変数をaとし、倒産の根拠になっている申し込みを指定するBankruptcy制約でaを参照します。a : LoanApplication() Bankruptcy(application == a ).
制約を選択したら、ウィンドウが自動的に閉じます。
-
追加した制約の隣にあるドロップダウンメニューから、制限の演算子 (
greater thanなど) を選択します。 -
編集アイコン (
) をクリックして、フィールド値を定義します。フィールド値はリテラル値、式、または完全な MVEL 表現にできます。
フィールド制約を複数適用するには、条件をクリックし、Modify constraints for LoanApplication ウィンドウで、Multiple field constraint ドロップダウンメニューから All of(And) または Any of(Or) を選択します。
図4.4 複数のフィールド制約の追加

- ガイド付きルールデザイナーで制約をクリックして、フィールド値をさらに定義します。
- ルールの条件コンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ガイド付きルール条件の妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
- ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
4.2. ガイド付きルールに THEN アクションの追加
ルールの WHEN 条件が一致した場合に実行するアクションがルールの THEN 部分に含まれます。たとえば、ローンの申込者が 21 歳に満たない場合は、THEN アクションが approved を false し、年齢が達していないためローンの申し込みが承認されません。ルールをいつ、どのように適用するかを決定するために、単純または複雑な条件を設定できます。
前提条件
ルールに必要なデータオブジェクトはすべて作成、またはインポートされており、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブにリストされています。
手順
ガイド付きルールデザイナーで、
THENセクションの右側のプラスアイコン (
) をクリックします。
利用可能なアクション要素が追加された Add a new action ウィンドウが開きます。
図4.5 ルールへのアクションの追加

このリストには、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブのデータオブジェクトと、パッケージに定義した DSL オブジェクト (ガイド付きルールを作成したときに Use Domain Specific Language (DSL) を選択した場合) に基づいた挿入と修正のオプションが含まれます。
-
Change field values of: (
LoanApplicationなどの) ファクトにフィールドの値を設定します。この変更はデシジョンエンジンには通知されません。 - Delete: ファクトを削除します。
- Modify: ファクトに対して修正するフィールドを指定します。この変更はデシジョンエンジンには通知されません。
- Insert fact: ファクトを挿入し、ファクトの結果フィールドと値を定義します。
- Logically Insert fact: ファクトをデシジョンエンジンに論理的に挿入し、ファクトに対してフィールドと値を定義します。Red Hat Decision Manager のデシジョンエンジンは、ファクトの挿入および取り消しに対して論理的な決断を行います。定期的な挿入、または指定した挿入の後に、ファクトを明示的に取り消す必要があります。論理挿入の後に、ファクトをアサートした条件が TRUE ではなくなると、ファクトは自動的に取り消されます。
- Add free form DRL: Free form DRL フィールドを挿入します。このフィールドには、ガイド付きルールデザイナーを使用せずに、自由に条件要素を定義できます。
- Call method on: 別のファクトからメソッドを呼び出します。
-
Change field values of: (
- アクション要素 (Modify など) を選択し、OK をクリックします。
ガイド付きルールデザイナーでアクション要素をクリックし、Add a field ウィンドウを使用してフィールドを選択します。
図4.6 フィールドの追加

フィールドを選択したら、ウィンドウが自動的に閉じます。
-
編集アイコン (
) をクリックして、フィールド値を定義します。このフィールド値は、リテラル値または式にすることができます。
- ルールのアクションコンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ルールのアクションの妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
- ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
4.3. その他のルールオプションの追加
ルールデザイナーを使用してルールにメタデータを追加し、追加のルール属性 (salience、no-loop など) を定義し、条件またはアクションの変更を制限するために、ルールの領域を凍結します。
手順
- ルールデザイナーの THEN セクションの下にある (show options…) をクリックします。
-
ウィンドウの右側にあるプラスアイコン (
) をクリックして、オプションを追加します。
ルールに追加するオプションを選択します。
-
Metadata: メタデータのラベルを入力し、プラスアイコン (
) をクリックします。次に、ルールデザイナーに提供されるフィールドに必要なデータを入力します。
- Attribute: ルール属性のリストから選択します。次に、ルールデザイナーに表示されるフィールドまたはオプションに値を定義します。
Freeze areas for editing (編集する領域を制限): ルールデザイナーで修正する領域を制限する 条件 または アクション を選択します。
図4.7 ルールオプション

-
Metadata: メタデータのラベルを入力し、プラスアイコン (
- ルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
4.3.1. ルールの属性
ルール属性は、ルールの動作を修正するビジネスルールを指定する追加設定です。次の表では、ルールに割り当て可能な属性の名前と、対応する値を紹介します。
表4.1 ルールの属性
| 属性 | 値 |
|---|---|
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ルールの優先順位を定義する整数。ルールの salience 値を高くすると、アクティベーションキューに追加したときの優先順位が高くなります。
例: |
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ブール値。このオプションを選択すると、ルールが有効になります。このオプションを選択しないと、ルールは無効になります。
例: |
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日付定義および時間定義を含む文字列。現在の日時が
例: |
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日時定義を含む文字列。現在日時が
例: |
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ブール値。このオプションを設定すると、以前一致した条件がこのルールにより再トリガーとなる場合に、このルールを再度アクティブにする (ループする) ことができません。条件を選択しないと、この状況でルールがループされます。
例: |
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ルールを割り当てるアジェンダグループを指定する文字列。アジェンダグループを使用すると、アジェンダをパーティションで区切り、ルールのグループに対する実行をさらに制御できます。フォーカスを取得したアジェンダグループのルールだけがアクティブになります。
例: |
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ルールを割り当てるアクティベーション (または XOR) グループを指定する文字列。アクティベーショングループでは、ルールを 1 つだけアクティブにできます。発生する最初のルールが、アクティベーショングループの中で、アクティベーションが保留されているルールをすべてキャンセルします。
例: |
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ルールの条件が一致している場合に、ルールがアクティブになってからの時間をミリ秒で定義する長整数値。
例: |
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ルールのスケジュールに対する
例: |
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ルールのスケジュールを指定する Quartz カレンダーの定義。
例: |
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アジェンダグループ内のルールにのみ適用可能なブール値。このオプションが選択されている場合は、次にルールがアクティブになった場合に、そのルールが割り当てられたアジェンダグループにフォーカスが自動的に指定されます。
例: |
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ルールフローグループまたはアジェンダグループ内のルールにのみ適用可能なブール値。このオプションを選択すると、次回、ルールのルールフローグループがアクティブになるか、ルールのアジェンダグループがフォーカスを受け取ると、(ルールフローグループがアクティブでなくなるか、アジェンダグループがフォーカスを失うまで) ルールをアクティブにすることができません。これは、
例: |
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ルールフローグループを指定する文字列。ルールフローグループで、関連するルールフローによってそのグループがアクティブになった場合に限りルールを発行できます。
例: |
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ルールのコード表記に使用される言語を指定する文字列 (
例: |
第5章 次のステップ
付録A バージョン情報
本ドキュメントの最終更新日: 2018 年 7 月 3 日
