リリースノートおよび既知の問題

Red Hat Container Development Kit 3.17

Red Hat Container Development Kit 3.17 の主な機能および特定された問題

概要

本書では、Red Hat Container Development Kit 3.17 の新機能および改善された機能を紹介します。また、ソフトウェアの使用中に生じる可能性のある問題に関する情報も記載されています。可能な場合は、特定された問題に関する回避策について説明します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージをご覧ください。

第1章 Red Hat Container Development Kit のご紹介

Red Hat Container Development Kit は、コンテナー化されたアプリケーションを開発するプラットフォームを提供します。開発者が Red Hat Enterprise Linux プラットフォームでコンテナーアプリケーションの開発とテストを行うための環境を迅速かつ簡単に設定できるようにするツールセットです。

  • Container Development Kit は、使用しているラップトップ、デスクトップ、またはサーバーシステムにインストールすることができる専用のコンテナー開発環境を提供します。Container Development Environment は、Red Hat Enterprise Linux 仮想マシンで提供されます。
  • Microsoft Windows、macOS、および Linux オペレーティングシステムでは Container Development Kit が利用できます。そのため、開発者は Red Hat Enterprise Linux エコシステムにデプロイする準備ができているアプリケーションを作成する一方で、開発者は自由にプラットフォームを選択できます。

Container Development Kit は、ローカルおよびクラウドの両方でアプリケーションを作成するために Red Hat ソリューションと製品を利用する開発者向けのツール、リソース、およびサポートを提供する Red Hat Developers プログラムの一部です。詳細情報やプログラムへの登録は、developers.redhat.com を参照してください。

1.1. Container Development Kit ドキュメントについて

  • 『Red Hat Container Development Kit 3.17 リリースノートおよび既知の問題』には、製品の現行リリースに関する情報と、ユーザーがこれを使用すると発生する可能性のある既知の問題の一覧が含まれています。
  • 『Container Development Kit スタートガイド』には、OpenShift Container PlatformDockerEclipse、各種コマンドラインツールなどのツールやサービスを使用して、Red Hat Enterprise Linux ベースのコンテナーを開発するために、Container Development Environment をインストールして使用を開始する方法が記載されています。
  • Red Hat Container Development Kit の問題を報告するか、https://issues.jboss.org/projects/CDKCDK プロジェクトを使用して新機能をリクエストします。
  • 『Red Hat Container Development Kit 3.17 リリースノートおよび既知の問題』および『Container Development Kit スタートガイド』の問題は、https://issues.jboss.org/projects/RHDEVDOCSRHDEVDOCS プロジェクトを使用して報告します。

第2章 リリースノート

本セクションでは、Red Hat Container Development Kit 3.17 製品の最も重要な機能およびバグ修正について説明します。

2.1. コンポーネントのバージョン

Red Hat Container Development Kit 3.17 には、以下の主要コンポーネントが含まれています。

表2.1 Container Development Kit (コンポーネントバージョン)

コンポーネントバージョン

Docker

1.13.1

Docker API

1.26

Kubernetes

1.11.0

OpenShift Container Platform

3.11.374

2.2. VirtualBox の互換性

Red Hat Container Development Kit 3.17 は VirtualBox 5.2.12 以降でテストされていますが、VirtualBox 5.1.11 以降では正しく動作しないことが報告されています。VirtualBox を仮想化プロバイダーとして使用する場合は、VirtualBox 5.1.12 以降を使用していることを確認してください。VirtualBox 5.2.12 が推奨されます。

2.3. 変更と改善

本セクションでは、Red Hat Container Development Kit 3.17 で導入された主な変更点の一部について説明します。Red Hat Container Development Kit 3.17 はメンテナンスリリースで、新機能は提供されません。このバージョンには、デフォルトのアドオンへの更新が含まれます。

Red Hat Container Development Kit 3.17 には、OpenShift Container Platform と対話するための Minishift ツール、Red Hat Enterprise Linux 7 ISO、および oc (OpenShift クライアント) バイナリーが含まれています。

2.3.1. Minishift

Red Hat Container Development Kit 3.17 は、アプリケーション開発者向けに OpenShift をローカルでプロビジョニングするコマンドラインツールの Minishift をベースとしています。これは、すべてのネイティブハイパーバイザーと、追加のハイパーバイザーをサポートします。

macOS
Linux
Windows

2.3.2. 主な変更点

  • xpaas アドオンが更新され、rhpam および rhdm 7.11.1 イメージストリームおよびテンプレートが追加されました。
  • デフォルトの OpenShift Container Platform バージョンは 3.11.374 となります。

第3章 既知の問題

本セクションでは、Red Hat Container Development Kit 3.17 で発生する可能性がある問題と、その回避策を説明します。

3.1. 一般的な問題

すべてのサポート対象プラットフォームに影響する問題。

3.1.1. Container Development Kit 仮想マシンに docker-1.13.1-161 が含まれる

Container Development Kit 仮想マシンには、新しい docker-1.13.1-162 の代わりに docker-1.13.1-161 が含まれます。docker-1.13.1-162 のアドバイザリーにより、docker-1.13.1-109 で以前に適用された CVE の修正がお客様に通知されました。これに含まれる docker-1.13.1-161 パッケージには、これらの CVE 修正が含まれていますが、セキュリティースキャンツールによりフラグが付く場合があります。

詳細は、「Vulnerability Response article for a runc regression in docker-1.13.1-108を参照してください。

3.1.2. Container Development Kit が VirtualBox 6 で起動しない

VirtualBox 6 で Container Development Kit を実行すると、以下のエラーメッセージが表示される場合があります。

Error starting the VM: Error creating the VM. Error with pre-create check: "Virtual Box version 4 or lower will cause a kernel panicif xhyve tries to run. You are running version: 6.0.4r128413\n\n\t Please upgrade to version 5 at https://www.virtualbox.org/wiki/Downloads"

回避策: --vm-driver virtualbox オプションを指定して minishift start を実行します。

3.1.3. OpenShift Container Platform クラスターが API サーバーからの応答を待機してタイムアウトする

minishift start クラスターを開始すると、以下のエラーメッセージが表示される可能性があります。

Error: timed out waiting for the condition

原因: この問題は、Container Development Kit が OpenShift Container Platform クラスターを起動するのに使用する oc cluster up で発生します。タイムアウトの根本的な原因は不明です。

回避策: 既存の Container Development Kit 仮想マシンを削除してから、以下のコマンドを使用してクラスターを再試行します。

$ minishift delete
$ minishift start
注記

この問題は、ハードウェアに存在し続ける可能性があります。この場合の唯一の既知の回避策は、より強力なホストマシンを使用することです。

3.1.4. registry.redhat.io ストリームを使用した FUSE テンプレートの構築に失敗する

FUSE テンプレートのビルドを試みると失敗します。テンプレートでイメージが registry.redhat.io からプルされるように指定され、レジストリーの認証情報が、Container Development Kit で使用される OpenShift 名前空間 myproject に含まれていないためです。これは openshift 名前空間で予想通りに機能します。

3.1.5. xPaaS アドオンにより起動に失敗する

minishift start を実行し、API サーバーが応答する前に xPaaS アドオンが適用されると、プロセスは以下のエラーメッセージで失敗します。

Error during post cluster up configuration: Error executing command 'oc apply -f v#{OPENSHIFT_VERSION}/xpaas-streams -n openshift'.

この問題を回避するには、アドオンを再適用します。

$ minishift addons apply xpaas

3.2. macOS の問題

本セクションでは、macOS ホスト上のユーザーに影響する CDK の問題を説明します。

3.2.1. OpenShift Web コンソールが古いバージョンの Safari と動作しない

minishift コンソール は、バージョン 10.1.2 (12603.3.8) などの旧バージョンの Safari Web ブラウザーでは機能しません。Web コンソールにアクセスしようとすると、以下のエラーが発生します。

Error unable to load details about the server

Safari を最新バージョンに更新してから再試行するか、Firefox または Chrome の Web ブラウザーを使用してください。Safari バージョン 11.0.3 (13604.5.6) は OpenShift Web コンソールでテストされ、連携しています。minishift console --url を使用して Web コンソール URL を取得できます。

3.3. Microsoft Windows の問題

このセクションでは、Microsoft Windows ホストのユーザーに影響する CDK の問題を説明します。

3.3.1. システムトレイアイコンがプロファイルのステータスを反映しない

(Container Development Kit 3.7 のテクノロジープレビュー機能として導入された) システムトレイアイコンが、プロファイルのステータスを表示しません。回避策はありません。

3.3.2. デフォルトスイッチが静的 IP で期待どおりに動作しない

実験的な 静的 IP 機能は、Windows が提供するデフォルトスイッチで動作しません。仮想マシン minishift は IP アドレスを受け取りますが、ネットワークトラフィックは通過できません。

Windows の minishift 仮想マシンに静的 IP アドレスを割り当てる方法は、「Hyper-V に IP アドレスを割り当てる」を参照してください。

3.3.3. Windows コマンドプロンプトおよび PowerShell が minishift openshift config set コマンドの JSON パッチを誤って解析する

Windows コマンドプロンプトおよび PowerShell は、JSON の minishift openshift config set コマンドへの解析に問題があります。Windows でこのコマンドを使用する場合は、特別な注意が必要です。

Windows コマンドプロンプト環境の回避策は、JSON コンテンツが正しく解析されるように、引用符をエスケープすることです。

C:\Users\CDK> minishift.exe openshift config set --patch "{\"routingConfig\": {\"subdomain\": \"192.168.99.101.nip.io\"}}"

Windows PowerShell 環境の回避策は、変数を使用して JSON コンテンツを保存することです。

PS C:\Users\CDK> $json='{\"routingConfig\": {\"subdomain\": \"192.168.99.101.nip.io\"}}'
PS C:\Users\CDK> echo $json
{\"routingConfig\": {\"subdomain\": \"192.168.99.101.nip.io\"}}
PS C:\Users\CDK> minishift.exe openshift config set --patch $json
Patching OpenShift configuration /var/lib/origin/openshift.local.config/master/master-config.yaml with {"routingConfig": {"subdomain": "192.168.99.101.nip.io"}}

3.3.4. minishift openshift config set --patch が一部の Windows 7 および 10 のホストで失敗する可能性がある

この障害の理由は現時点で不明です。

回避策: minishift ssh を使用して、プロビジョニングされた仮想マシン内から OpenShift クラスターを設定します。

C:\Users\CDK> minishift.exe ssh
[docker@minishift ~]$ docker exec -t origin /usr/bin/openshift ex config patch /var/lib/origin/openshift.local.config/master/master-config.yaml --patch='<json-to-be-applied-to-the-cluster>'

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