3.10. シークレットをファイルまたは環境変数としてワークスペースコンテナーにマウントする

シークレットは、ユーザー名、パスワード、認証トークン、設定などの機密データを暗号化された形式で保存する OpenShift オブジェクトです。

ユーザーは、機密データが含まれるシークレットをワークスペースコンテナーにマウントできます。これにより、新規に作成されるワークスペースごとに、シークレットから保存されたデータが自動的に再適用されます。その結果、ユーザーはこれらの認証情報と設定を手動で指定する必要はありません。

以下のセクションでは、OpenShift シークレットをワークスペースコンテナーに自動的にマウントし、以下のようなコンポーネントの永続的なマウントポイントを作成する方法を説明します。

  • Maven 設定(settings.xml ファイル)
  • SSH キーペア
  • AWS 認証トークン
  • Git 認証情報ストアファイル

OpenShift シークレットは以下のようにワークスペースコンテナーにマウントできます。

  • ファイル: これにより、Maven 機能を持つすべての新規ワークスペースに適用される自動的にマウントされた Maven 設定が作成されます。
  • 環境変数: これは、自動認証に SSH キーペアおよい AWS 認証トークンを使用します。

    注記

    SSH キーペアはファイルとしてマウントすることもできますが、この形式は主に Maven 設定を設定することを目的として使用されます。

マウントプロセスでは標準の OpenShift マウントメカニズムを使用しますが、シークレットを必要な CodeReady Workspaces ワークスペースコンテナーに適切にバインドするために追加のアノテーションとラベルが必要です。

3.10.1. シークレットをファイルとしてワークスペースコンテナーにマウントする

警告

OpenShift 3.11 では、ファイルとしてマウントされるシークレットは devfile に定義されたボリュームマウントを上書きします。

本セクションでは、CodeReady Workspaces の単一ワークスペースまたは複数ワークスペースコンテナーで、ユーザーのプロジェクトからシークレットをファイルとしてマウントする方法を説明します。

前提条件

  • CodeReady Workspaces の実行中のインスタンスがある。CodeReady Workspaces のインスタンスをインストールするには、CodeReady Workspaces のインストールを参照してください。

手順

  1. CodeReady Workspaces ワークスペースが作成される OpenShift プロジェクトで新規の OpenShift シークレットを作成します。

    • 作成されるシークレットのラベルは、CodeReady Workspaces の che.workspace.provision.secret.labels プロパティーに設定されるラベルのセットと一致する必要があります。デフォルトのラベルは以下の通りです。
    • app.kubernetes.io/part-of: che.eclipse.org
    • app.kubernetes.io/component: workspace-secret:

      注記

      以下の例では、Red Hat CodeReady Workspaces のバージョン 2.1 と 2.2 での target-container アノテーションの使用法の違いについて説明します。

      例:

      apiVersion: v1
      kind: Secret
      metadata:
        name: mvn-settings-secret
        labels:
          app.kubernetes.io/part-of: che.eclipse.org
          app.kubernetes.io/component: workspace-secret
      ...

      アノテーションは指定のシークレットがファイルとしてマウントされていることを示し、オプションで、シークレットがマウントされるコンテナーの名前を指定します。target-container アノテーションがない場合、シークレットは CodeReady Workspaces ワークスペースのすべてのユーザーコンテナーにマウントされますが、これは CodeReady Workspaces バージョン 2.1 についてのみ 適用されます。

      apiVersion: v1
      kind: Secret
      metadata:
        name: mvn-settings-secret
        annotations:
          che.eclipse.org/target-container: maven
          che.eclipse.org/mount-path: {prod-home}/.m2/
          che.eclipse.org/mount-as: file
        labels:
      ...

      CodeReady Workspaces バージョン 2.2 以降target-container アノテーションは非推奨となり、ブール値が含まれる automount-workspace-secret アノテーションが導入されました。これは、devfile で上書きされる機能を使用して、デフォルトのシークレットのマウント動作を定義することを目的としています。true の値により、すべてのワークスペースコンテナーへの自動マウントが有効になります。これとは対照的に、false の値は、automountWorkspaceSecrets:true プロパティーを使用して devfile コンポーネントで明示的に要求されるまでマウントプロセスを無効にします。

      apiVersion: v1
      kind: Secret
      metadata:
        name: mvn-settings-secret
        annotations:
          che.eclipse.org/automount-workspace-secret: "true"
          che.eclipse.org/mount-path: {prod-home}/.m2/
          che.eclipse.org/mount-as: file
        labels:
      ...

      OpenShift シークレットのデータには複数の項目が含まれる可能性があり、その名前はコンテナーにマウントされる必要なファイル名と一致する必要があります。

      apiVersion: v1
      kind: Secret
      metadata:
        name: mvn-settings-secret
        labels:
          app.kubernetes.io/part-of: che.eclipse.org
          app.kubernetes.io/component: workspace-secret
        annotations:
          che.eclipse.org/automount-workspace-secret: "true"
          che.eclipse.org/mount-path: {prod-home}/.m2/
          che.eclipse.org/mount-as: file
      data:
        settings.xml: <base64 encoded data content here>

      これにより、settings.xml という名前のファイルが、すべてのワークスペースコンテナーの /home/jboss/.m2/ パスにマウントされます。

      secret-s マウントパスは、devfile を使用するワークスペースの特定のコンポーネントに対して上書きできます。マウントパスを変更するには、devfile のコンポーネントで、上書きされたシークレット名と必要なマウントパスと一致する名前を使用して追加のボリュームを宣言する必要があります。

      apiVersion: 1.0.0
      metadata:
        ...
      components:
       - type: dockerimage
         alias: maven
         image: maven:3.11
         volumes:
           - name: <secret-name>
             containerPath: /my/new/path
         ...

      このような上書きの場合、コンポーネントはそれらに属するコンテナーを区別するためにエイリアスを宣言し、上書きパスをこれらのコンテナーについてのみに適用する必要があります。