2.5. Ceph 実行時の Linux カーネルのチューニングに関する考察

実稼働環境用の Red Hat Ceph Storage クラスターでは、一般的にオペレーティングシステムのチューニング (特に制限とメモリー割り当て) が有効です。ストレージクラスター内の全ノードに調整が設定されていることを確認します。また、Red Hat サポートでケースを開き、追加でアドバイスを求めることもできます。

Ceph OSD 用の空きメモリーの確保

Ceph OSD のメモリー割り当て要求時にメモリー不足関連のエラーが発生しないように、予備として確保する物理メモリーの量を具体的に設定します。Red Hat では、システムメモリーの量に応じて以下の設定を推奨しています。

  • 64 GB の場合は 1 GB を確保する。

    vm.min_free_kbytes = 1048576
  • 128 GB の場合は 2 GB を確保する。

    vm.min_free_kbytes = 2097152
  • 256 GB の場合は 3 GB を確保する。

    vm.min_free_kbytes = 3145728

ファイル記述子の増加

Ceph Object Gateway は、ファイル記述子が不足すると停止することがあります。Ceph Object Gateway ノードの /etc/security/limits.conf ファイルを変更して、Ceph Object Gateway のファイル記述子を増やすことができます。

ceph       soft    nofile     unlimited

大規模ストレージクラスターの ulimit 値の調整

Ceph OSD が 1024 個以上あるなど、大規模なストレージクラスターで Ceph の管理コマンドを実行する場合は、管理コマンドを実行する各ノードに、次の内容の /etc/security/limits.d/50-ceph.conf ファイルを作成します。

USER_NAME       soft    nproc     unlimited

USER_NAME は、Ceph の管理コマンドを実行する root 以外のユーザーのアカウント名に置き換えます。

注記

Red Hat Enterprise Linux では、root ユーザーの ulimit 値はすでにデフォルトで unlimited に設定されています。