Apache Maven を使用した Quarkus アプリケーションの作成
概要
前書き
アプリケーション開発者は、Red Hat ビルドの Quarkus を使用して、サーバーレス環境および OpenShift 環境で実行される Java で書かれたマイクロサービスベースのアプリケーションを作成できます。これらのアプリケーションのメモリーフットプリントは小さくなり、起動時間は高速化されます。
本ガイドでは、Apache Maven プラグインを使用して Quarkus プロジェクトを作成する方法を説明します。
前提条件
-
OpenJDK (JDK) 11 がインストールされ、
JAVA_HOME
環境変数が Java SDK の場所を指定していること。Red Hat ビルドの Open JDK は、Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページから入手可能です (ログインが必要です)。 - Apache Maven 3.6.2 以降がインストールされていること。Maven は Apache Maven Project の Web サイトから入手できます。
第1章 Red Hat ビルドの Quarkus
Red Hat ビルドの Quarkus は、コンテナーおよび Red Hat OpenShift Container Platform と使用するために最適化された Kubernetes ネイティブ Java スタックです。Quarkus は、Eclipse MicroProfile、Apache Kafka、RESTEasy (JAX-RS)、Hibernate ORM (JPA)、Spring、Infinispan、Apache Camel などの一般的な Java 標準、フレームワーク、およびライブラリーと連携するように設計されています。
Quarkus のディペンデンシーインジェクション (依存性の注入) ソリューションは、CDI (コンテキストとディペンデンシーインジェクション) をベースとし、エクステンションフレームワークを備えているので、機能の拡張、およびフレームワークの設定、起動、アプリケーションへの統合が可能です。
Quarkus は、コンテナーファーストという手法で Java アプリケーションをビルドします。この手法により、Java で書かれたマイクロサービスベースのアプリケーションのビルドが大幅に容易になるほか、これらのアプリケーションがサーバーレスコンピューティングフレームワークで実行している関数を呼び出すことができるようになります。これにより、Quarkus アプリケーションのメモリーフットプリントは小さくなり、起動時間は高速化されます。
第2章 Apache Maven および Quarkus
Apache Maven は、ソフトウェアプロジェクトの作成、管理、ビルドを行う Java アプリケーションの開発で使用される分散型ビルド自動化ツールです。Maven は Project Object Model (POM) ファイルと呼ばれる標準の設定ファイルを使用して、プロジェクトの定義やビルドプロセスの管理を行います。POM ファイルは、モジュールおよびコンポーネントの依存関係、ビルドの順番、結果となるプロジェクトパッケージングのターゲットを定義し、XML ファイルを使用して出力します。この結果、プロジェクトが適切かつ統一された状態でビルドされるようになります。
Maven リポジトリー
Maven リポジトリーには、Java ライブラリー、プラグイン、その他のビルドアーティファクトが格納されています。デフォルトのパブリックリポジトリーは Maven 2 Central Repository ですが、複数の開発チームの間で共通のアーティファクトを共有する目的で、社内のプライベートおよび内部リポジトリーを使用することができます。また、サードパーティーのリポジトリーも利用できます。
Quarkus プロジェクトでオンライン Maven リポジトリーを使用するか、または Red Hat ビルドの Quarkus の Maven リポジトリーをダウンロードすることができます。
Maven プラグイン
Maven プラグインは、1 つ以上のゴールを達成する POM ファイルの定義された部分です。Quarkus アプリケーションは以下の Maven プラグインを使用します。
-
Quarkus Maven プラグイン (
quarkus-maven-plugin
): Maven による Quarkus プロジェクトの作成を実現、uber-JAR ファイルの生成をサポート、そして開発モードを提供します。 -
Maven Surefire プラグイン (
maven-surefire-plugin
): ビルドライフサイクルのテストフェーズで使用され、アプリケーションでユニットテストを実行します。プラグインは、テストレポートが含まれるテキストファイルと XML ファイルを生成します。
2.1. オンラインリポジトリーの Maven の settings.xml
ファイルの設定
ユーザーの settings.xml
ファイルを設定して、オンライン Quarkus リポジトリーを Quarkus Maven プロジェクトで使用することができます。これは推奨される手法です。リポジトリーマネージャーまたは共有サーバー上のリポジトリーと使用する Maven 設定は、プロジェクトの制御および管理を行いやすくします。
Maven の settings.xml
ファイルを変更してリポジトリーを設定する場合、変更はすべての Maven プロジェクトに適用されます。
手順
テキストエディターまたは統合開発環境 (IDE) で、Maven の
~/.m2/settings.xml
ファイルを開きます。注記~/.m2/
ディレクトリーにsettings.xml
ファイルがない場合は、$MAVEN_HOME/.m2/conf/
ディレクトリーのsettings.xml
ファイルを~/.m2/
ディレクトリーにコピーします。以下の行を
settings.xml
ファイルの<profiles>
要素に追加します。<!-- Configure the Quarkus Maven repository --> <profile> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <repositories> <repository> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <url>https://maven.repository.redhat.com/ga/</url> <releases> <enabled>true</enabled> </releases> <snapshots> <enabled>false</enabled> </snapshots> </repository> </repositories> <pluginRepositories> <pluginRepository> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <url>https://maven.repository.redhat.com/ga/</url> <releases> <enabled>true</enabled> </releases> <snapshots> <enabled>false</enabled> </snapshots> </pluginRepository> </pluginRepositories> </profile>
以下の行を
settings.xml
ファイルの<activeProfiles>
要素に追加して、ファイルを保存します。<activeProfile>red-hat-enterprise-maven-repository</activeProfile>
2.2. Quarkus Maven リポジトリーのダウンロードおよび設定
オンライン Maven リポジトリーを使用しない場合は、Quarkus Maven リポジトリーをダウンロードして設定し、Maven を使用して Quarkus アプリケーションを作成できます。Quarkus Maven リポジトリーには、Java 開発者がアプリケーションのビルドに使用する必要があるものが数多く含まれています。この手順では、settings.xml
ファイルを編集して Quarkus Maven リポジトリーを設定する方法を説明します。
Maven の settings.xml
ファイルを変更してリポジトリーを設定する場合、変更はすべての Maven プロジェクトに適用されます。
手順
- Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページから、Quarkus Maven リポジトリーの ZIP ファイルをダウンロードします (ログインが必要です)。
- ダウンロードしたアーカイブを展開します。
-
~/.m2/
ディレクトリーに移動し、テキストエディターまたは統合開発環境 (IDE) で Maven のsettings.xml
ファイルを開きます。 以下の行を
settings.xml
ファイルの<profiles>
要素に追加します。ここで、QUARKUS_MAVEN_REPOSITORY
はダウンロードした Quarkus Maven リポジトリーのパスになります。QUARKUS_MAVEN_REPOSITORY
の形式は、file://$PATH
でなければなりません (例:file:///home/userX/rh-quarkus-1.3.4.SP1-maven-repository/maven-repository
)。<!-- Configure the Quarkus Maven repository --> <profile> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <repositories> <repository> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <url>QUARKUS_MAVEN_REPOSITORY</url> <releases> <enabled>true</enabled> </releases> <snapshots> <enabled>false</enabled> </snapshots> </repository> </repositories> <pluginRepositories> <pluginRepository> <id>red-hat-enterprise-maven-repository</id> <url>QUARKUS_MAVEN_REPOSITORY</url> <releases> <enabled>true</enabled> </releases> <snapshots> <enabled>false</enabled> </snapshots> </pluginRepository> </pluginRepositories> </profile>
以下の行を
settings.xml
ファイルの<activeProfiles>
要素に追加して、ファイルを保存します。<activeProfile>red-hat-enterprise-maven-repository</activeProfile>
Maven リポジトリーに古いアーティファクトが含まれる場合は、プロジェクトをビルドまたはデプロイしたときに以下のいずれかの Maven エラーメッセージが表示されることがあります。ここで、ARTIFACT_NAME
は不明なアーティファクトの名前、PROJECT_NAME
はビルドを試みているプロジェクトの名前になります。
-
Missing artifact PROJECT_NAME
-
[ERROR] Failed to execute goal on project ARTIFACT_NAME; Could not resolve dependencies for PROJECT_NAME
この問題を解決するには、~/.m2/repository
ディレクトリーにあるローカルリポジトリーのキャッシュバージョンを削除し、最新の Maven アーティファクトを強制的にダウンロードします。
第3章 コマンドラインでの Quarkus プロジェクトの作成
コマンドラインで Quarkus Maven プラグインを使用し、コマンドラインで属性および値を指定するか、インタラクティブモードでプラグインを使用して、Quarkus プロジェクトを作成できます。作成されるプロジェクトには以下の要素が含まれます。
- Maven の構造
- 関連するユニットテスト
-
アプリケーションの起動後に
http://localhost:8080
でアクセス可能なランディングページ -
src/main/docker
のDockerfile
ファイルの例 - アプリケーション設定ファイル
手順
コマンドターミナルで以下のコマンドを入力し、Maven が JDK 11 を使用していること、そして Maven のバージョンが 3.6.2 以上であることを確認します。
mvn --version
- 上記のコマンドで JDK 11 が返されない場合は、JDK 11 へのパスを PATH 環境変数に追加し、上記のコマンドを再度入力します。
Quarkus Maven プラグインを使用して新規プロジェクトを作成するには、以下のいずれかの方法を使用します。
以下のコマンドを入力します。
mvn io.quarkus:quarkus-maven-plugin:1.3.4.Final-redhat-00004:create \ -DprojectGroupId=PROJECT_GROUP_ID \ -DprojectArtifactId=PROJECT_ARTIFACT_ID \ -DplatformGroupId=com.redhat.quarkus \ -DplatformArtifactId=quarkus-universe-bom \ -DplatformVersion=1.3.4.Final-redhat-00004 \ -DclassName="CLASSNAME"
このコマンドで、以下の値を置き換えます。
-
PROJECT_GROUP_ID
: プロジェクトの一意識別子。 -
PROJECT_ARTIFACT_ID
: プロジェクトおよびプロジェクトディレクトリーの名前。 -
CLASSNAME
: 生成されたリソースの完全修飾名 (例:org.acme.quarkus.sample.HelloResource
)。
-
インタラクティブモードでプロジェクトを作成します。
mvn io.quarkus:quarkus-maven-plugin:1.3.4.Final-redhat-00004:create
プロンプトが表示されたら、必要な属性値を入力します。
注記以下のコマンドを入力し、プロジェクト属性のデフォルト値を使用してプロジェクトを作成することもできます。
mvn io.quarkus:quarkus-maven-plugin:1.3.4.Final-redhat-00004:create -B
以下の表は、
create
コマンドで定義できる属性を一覧表示しています。属性 デフォルト値 説明 projectGroupId
org.acme.sample
プロジェクトの一意識別子。
projectArtifactId
なし
プロジェクトおよびプロジェクトディレクトリーの名前。
projectArtifactId
を指定しないと、Maven プラグインはインタラクティブモードを起動します。ディレクトリーがすでに存在する場合、生成は失敗します。projectVersion
1.0-SNAPSHOT
プロジェクトのバージョン。
platformGroupId
io.quarkus
プラットフォームのグループ ID。既存のプラットフォームのデフォルト値はすべて、
io.quarkus
です。ただし、デフォルト値は変更することができます。platformArtifactId
quarkus-universe-bom
プラットフォーム BOM のアーティファクト ID。ローカルにビルドされた Quarkus を使用するには、
quarkus-universe-bom
をpom.xml
ファイルに追加します。platformVersion
プラットフォームの最新バージョン
プロジェクトに使用するプラットフォームのバージョン。バージョン範囲を指定でき、Maven プラグインは最新バージョンを使用します。
className
なし
生成されたリソースの完全修飾名。アプリケーションの作成後、REST エンドポイントは以下の URL で公開されます。
http://localhost:8080/$path
デフォルトの
path
を使用する場合、URL はhttp://localhost:8080/hello
になります。path
/hello
リソースパス (
className
を設定した場合のみ)。extensions
[]
プロジェクトに追加するエクステンションのコンマ区切りリスト。
デフォルトでは、Quarkus Maven プラグインは最新の quarkus-universe-bom
ファイルを使用します。この BOM は、アプリケーションからエクステンションを参照し、依存関係バージョンを合わせるためにエクステンションを集約します。オフラインの場合、Quarkus Maven プラグインは、ローカルで利用可能な quarkus-universe-bom
の最新バージョンを使用します。Maven が quarkus-universe-bom
バージョン 2.0 以前を見つけると、quarkus-universe-bom
をベースにしたプラットフォームを使用します。
第4章 pom.xml
ファイルの設定による Quarkus プロジェクトの作成
Maven POM XML ファイルを設定して Quarkus プロジェクトを作成できます。
手順
-
テキストエディターで
pom.xml
ファイルを開きます。 Quarkus GAV (Group、Artifact、Version) を追加し、
quarkus-universe-bom
ファイルを使用して、Quarkus の異なる依存関係のバージョンを省略します。<dependencyManagement> <dependencies> <dependency> <groupId>${quarkus.platform.group-id}</groupId> <artifactId>${quarkus.platform.artifact-id}</artifactId> <version>${quarkus-plugin.version}</version> <type>pom</type> <scope>import</scope> </dependency> </dependencies> </dependencyManagement>
Quarkus Maven プラグインを追加します。
<build> <plugins> <plugin> <groupId>io.quarkus</groupId> <artifactId>quarkus-maven-plugin</artifactId> <version>${quarkus-plugin.version}</version> <executions> <execution> <goals> <goal>build</goal> </goals> </execution> </executions> </plugin> </plugins> </build>
第5章 Java コンパイラーの設定
デフォルトでは、Quarkus Maven プラグインはコンパイラーフラグを maven-compiler-plugin
プラグインから javac
コマンドに渡します。
開発モードで使用されるコンパイラーフラグをカスタマイズするには、configuration
セクションを plugin
ブロックに追加し、compilerArgs
プロパティーを設定します。source
、target
、jvmArgs
を設定することもできます。たとえば、--enable-preview
を JVM と javac
の両方に渡すには、以下の行を追加します。
<plugin> <groupId>io.quarkus</groupId> <artifactId>quarkus-maven-plugin</artifactId> <version>${quarkus-plugin.version}</version> <configuration> <source>${maven.compiler.source}</source> <target>${maven.compiler.target}</target> <compilerArgs> <arg>--enable-preview</arg> </compilerArgs> <jvmArgs>--enable-preview</jvmArgs> </configuration> ... </plugin>
第6章 Quarkus アプリケーションを使用した Java エクステンションのインストールおよび管理
Java エクステンションを使用して、アプリケーションの機能を拡張し、フレームワークの設定、起動、アプリケーションへの統合が可能です。この手順では、エクステンションを検索して Quarkus プロジェクトに追加する方法を説明します。
前提条件
- Quarkus Maven プロジェクトがあること。
手順
- Quarkus プロジェクトディレクトリーに移動します。
利用可能なエクステンションを一覧表示するには、以下のコマンドを入力します。
./mvnw quarkus:list-extensions
プロジェクトにエクステンションを追加するには、以下のコマンドを入力します。ここで、
EXTENSION
は、追加するエクステンションの Group、Artifact、Version (GAV) に置き換えます。./mvnw quarkus:add-extension -Dextensions="EXTENSION"
たとえば、Agroal エクステンションを追加するには、以下のコマンドを入力します。
./mvnw quarkus:add-extension -Dextensions="io.quarkus:quarkus-agroal"
特定のエクステンションを検索するには、
-Dextensions=
の後にエクステンション名または名前の一部を入力します。以下の例では、名前にjdbc
、agroal
、およびnon-exist-ent
のテキストが含まれるエクステンションを検索します。./mvnw quarkus:add-extension -Dextensions=jdbc,agroal,non-exist-ent
このコマンドは、以下の結果を返します。
❌ Multiple extensions matching 'jdbc' * io.quarkus:quarkus-jdbc-h2 * io.quarkus:quarkus-jdbc-mariadb * io.quarkus:quarkus-jdbc-postgresql Be more specific e.g using the exact name or the full gav. ✅ Adding extension io.quarkus:quarkus-agroal ❌ Cannot find a dependency matching 'non-exist-ent', maybe a typo? [...]
特定のテキスト文字列が返すすべてのエクステンションをインストールするには、
-Dextensions=
の後にエクステンション名または名前の一部を入力します。以下の例では、hibernate-
で始まるすべてのエクステンションを検索し、インストールします。./mvnw quarkus:add-extension -Dextensions="hibernate-*"
第7章 Quarkus プロジェクトの IDE へのインポート
テキストエディターで Quarkus プロジェクトを開発することは可能ですが、統合開発環境 (IDE) を使用した方がプロジェクトの作業がしやすいかもしれません。以下の手順では、Quarkus プロジェクトを特定の IDE にインポートする方法を説明します。
前提条件
- Quarkus Maven プロジェクトがあること。
手順
以下のいずれかのセクションの手順を実行します。
CodeReady Studio または Eclipse
- CodeReady Studio または Eclipse で、File → Import とクリックします。
- Maven → Existing Maven Project と選択します。
- 次の画面で、プロジェクトのルートロケーションを選択します。見つかったモジュールの一覧が表示されます。
- 生成されたプロジェクトを選択し、Finish をクリックします。
アプリケーションを起動するには、新しいターミナルウィンドウに以下のコマンドを入力します。
./mvnw compile quarkus:dev
IntelliJ
IntelliJ で、以下のタスクのいずれかを実行します。
- File → New → Project From Existing Sources と選択します。
- Welcome ページで Import project を選択します。
- プロジェクトの root ディレクトリーを選択します。
- Import project from external model を選択してから、Maven を選択します。
- オプションを確認して Next をクリックします。
- Finish をクリックします。
アプリケーションを起動するには、新しいターミナルウィンドウに以下のコマンドを入力します。
./mvnw compile quarkus:dev
Apache NetBeans
- File → Open Project と選択します。
-
プロジェクトの
root
ディレクトリーを選択します。 - Open Project クリックします。
アプリケーションを起動するには、新しいターミナルウィンドウに以下のコマンドを入力します。
./mvnw compile quarkus:dev
Visual Studio Code
- Java Extension Pack をインストールします。
- Visual Studio Code でプロジェクトディレクトリーを開きます。プロジェクトは Maven プロジェクトとしてロードされます。
第8章 Quarkus プロジェクトの出力の設定
アプリケーションをビルドする前に、application.properties
ファイルのアプリケーションプロパティーのデフォルト値を変更することで、ビルドコマンドの出力を制御できます。
前提条件
- Quarkus Maven プロジェクトがあること。
手順
-
テキストエディターで
application.properties
ファイルを開きます。 変更するプロパティーの値を編集し、ファイルを保存します。
以下の表は、変更可能なプロパティーをまとめたものです。
プロパティー 説明 タイプ デフォルト quarkus.package.main-class
アプリケーションのエントリーポイント。ほとんどの場合、この値は変更する必要があります。
string
io.quarkus.runner.GeneratedMain
quarkus.package.type
要求された出力タイプ。
string
jar
quarkus.package.uber-jar
Java ランナーを uber-JAR としてパックすべきかどうか。
boolean
false
quarkus.package.manifest.add-implementation-entries
実装情報をランナー JAR ファイルの
MANIFEST.MF
ファイルに含めるかどうか。boolean
true
quarkus.package.user-configured-ignored-entries
出力アーティファクトにコピーしてはならないファイル。
string (list)
quarkus.package.runner-suffix
ランナー JAR ファイルに適用される接尾辞。
string
-runner
quarkus.package.output-directory
アプリケーションビルドの出力フォルダー。これは、ビルドシステムのターゲットディレクトリーと相対的に解決されます。
string
quarkus.package.output-name
最終的なアーティファクトの名前。
string
第9章 Quarkus アプリケーションのテスト
デフォルトでは、Quarkus アプリケーションをテストする場合、Maven は test
設定プロファイルを使用します。ただし、Maven Surefire プラグインを使用して、テスト用のカスタム設定プロファイルを作成することができます。
前提条件
- Apache Maven を使用して作成した Quarkus プロジェクトがあること。
手順
以下の例を編集し、テスト要件を満たします。
PROFILE_NAME
は、テストプロファイルの名前に置き換えます。<project> [...] <build> <plugins> <plugin> <groupId>org.apache.maven.plugins</groupId> <artifactId>maven-surefire-plugin</artifactId> <version>${SureFirePluginVersion}</version> <configuration> <systemPropertyVariables> <quarkus.test.profile>PROFILE_NAME</quarkus.test.profile> <buildDirectory>${project.build.directory}</buildDirectory> [...] </systemPropertyVariables> </configuration> </plugin> </plugins> </build> [...] </project>
第10章 Quarkus アプリケーションのビルドクラスパスツリーのロギング
Quarkus ビルドプロセスでは、アプリケーションで使用するエクステンションのデプロイメント依存関係が、元のアプリケーションクラスパスに追加されます。ビルドクラスパスに含まれる依存関係およびバージョンを確認することができます。quarkus-bootstrap
Maven プラグインには、アプリケーションのビルド依存関係ツリーを表示する build-tree
ゴールが含まれます。
前提条件
- Quarkus Maven アプリケーションがあること。
手順
プラグイン設定を
pom.xml
ファイルに追加します。<project> [...] <plugin> <groupId>io.quarkus</groupId> <artifactId>quarkus-bootstrap-maven-plugin</artifactId> <version>${quarkus-plugin.version}</version> </plugin> [...] </project>
アプリケーションのビルド依存関係ツリーを一覧表示するには、以下のコマンドを入力します。
./mvnw quarkus-bootstrap:build-tree
このコマンドの出力は、以下のようになります。
[INFO] --- quarkus-bootstrap-maven-plugin:1.3:build-tree (default-cli) @ getting-started --- [INFO] org.acme:getting-started:jar:1.0-SNAPSHOT [INFO] └─ io.quarkus:quarkus-resteasy-deployment:jar:1.3 (compile) [INFO] ├─ io.quarkus:quarkus-resteasy-server-common-deployment:jar:1.3 (compile) [INFO] │ ├─ io.quarkus:quarkus-core-deployment:jar:1.3 (compile) [INFO] │ │ ├─ commons-beanutils:commons-beanutils:jar:1.9.3 (compile) [INFO] │ │ │ ├─ commons-logging:commons-logging:jar:1.2 (compile) [INFO] │ │ │ └─ commons-collections:commons-collections:jar:3.2.2 (compile) ...
mvn dependency:tree
コマンドは、アプリケーションのランタイム依存関係のみを表示します。
第11章 Quarkus 開発モードの使用
開発モードはバックグラウンドコンパイルによるホットデプロイメントを可能にします。つまり、Java ファイルまたはリソースファイルを変更してブラウザーを更新すると、変更が自動的に反映されます。これは、設定プロパティーファイルなどのリソースファイルでも同じく反映されます。
前提条件
- Quarkus Maven アプリケーションがあること。
手順
開発モードで Quarkus を起動するには、Quarkus アプリケーションの
pom.xml
ファイルが含まれるディレクトリーで以下のコマンドを入力します。./mvnw quarkus:dev
- アプリケーションに変更を加え、ファイルを保存します。
ブラウザーを更新して、ワークスペースのスキャンをトリガーします。
変更が検出されると、Java ファイルが再コンパイルされ、アプリケーションが再デプロイされます。その後、要求は再デプロイされたアプリケーションによって処理されます。コンパイルまたはデプロイメントに問題がある場合には、エラーページが表示されます。
開発モードでは、デバッガーがアクティベートされ、ポート
5005
をリッスンします。任意手順: アプリケーションの実行前にデバッガーが割り当てられるのを待つには、
-Dsuspend
を追加します。./mvnw quarkus:dev -Dsuspend
任意手順: デバッガーが実行されないようにするには、
-Ddebug=false
を追加します。./mvnw quarkus:dev -Ddebug=false
第12章 Quarkus プロジェクトのデバッグ
Quarkus が開発モードで起動すると、デバッグはデフォルトで有効になります。デバッガーは、JVM を一時停止せずにポート 5005
でリッスンします。
前提条件
- Quarkus Maven プロジェクトがあること。
手順
デバッグを制御するには、以下のいずれかの方法を使用します。
システムプロパティーを使用したデバッガーの制御
以下の
debug
システムプロパティーの値の 1 つを変更します。ここで、PORT
はデバッガーがリッスンするポートです。-
false
: JVM はデバッグモードを無効にして開始します。 -
true
: JVM はデバッグモードで開始され、ポート5005
でリッスンしています。 -
client
: JVM はクライアントモードで起動され、localhost:5005
への接続を試みます。 -
PORT
: JVM はデバッグモードで開始され、PORT
をリッスンしています。
-
suspend
システムプロパティーの値を変更します。このプロパティーは、Quarkus がデバッグモードで開始する際に使用されます。-
y
またはtrue
: デバッグモードの JVM の起動が一時停止します。 -
n
またはfalse
: デバッグモードの JVM は一時停止せずに起動します。
-
コマンドラインからのデバッガーの制御
JVM を使用してデバッグモードで Quarkus アプリケーションを起動するには、以下のコマンドを入力します。
./mvnw compile quarkus:dev -Ddebug
-
localhost:5005
にデバッガーを割り当てます。
第13章 その他のリソース
- Red Hat OpenShift Container Platform での Quarkus Maven アプリケーションのデプロイに関する詳細は、『Red Hat OpenShift Container Platform での Quarkus アプリケーションのデプロイ』 を参照してください。
- Maven Surefire プラグインの詳細は、Apache Maven Project の Web サイトを参照してください。