第4章 リリースイメージ

Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes を使用してプロバイダーでクラスターを作成する場合は、新規クラスターに使用するリリースイメージを指定する必要があります。リリースイメージでは、クラスターのビルドに使用する Red Hat OpenShift Container Platform のバージョンを指定します。

acm-hive-openshift-releases GitHub リポジトリーの yaml ファイルを使用して、リリースイメージを参照します。Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes はこれらのファイルを使用して、コンソールで利用可能なリリースイメージの一覧を作成します。リポジトリーには、clusterImageSets ディレクトリーと subscription ディレクトリーが含まれます。これらのディレクトリーは、リリースイメージの操作時に使用します。

clusterImageSets ディレクトリーには以下のディレクトリーが含まれます。

  • Fast: サポート対象の各 OpenShift Container Platform バージョンのリリースイメージの内、最新のバージョン 2 つを参照するファイルが含まれます。
  • Releases: サポート対象の各 OpenShift Container Platform バージョンのリリースイメージすべてを参照するファイルが含まれます。注記: これらのリリースすべてがテストされおらず、安定版とみなされているわけではありません。
  • Stable: サポート対象の各 OpenShift Container Platform バージョンのリリースイメージの内、最新の安定版 2 つを参照するファイルが含まれます。このフォルダー内のリリースイメージはテストされ、検証されています。

subscription ディレクトリーには、リリースイメージの一覧がプルされる場所を指定するファイルが含まれます。Red Hat Advanced Cluster Management のデフォルトのリリースイメージは、Quay.io デフォルトで提供されます。これらのリリースイメージは、acm-hive-openshift-releases GitHub repository のファイルで参照されます。

4.1. 利用可能なリリースイメージの同期

リリースイメージは頻繁に更新されるため、リリースイメージの一覧を同期して、利用可能な最新バージョンを選択できるようにする必要があります。リリースイメージは、acm-hive-openshift-releases の GitHub リポジトリーから入手できます。

リリースイメージの安定性には、以下の 3 つのレベルがあります。

表4.1 リリースイメージの安定性レベル

カテゴリー

説明

stable

完全にテストされたイメージで、クラスターを正常にインストールしてビルドできることが確認されています。

fast

部分的にテスト済みですが、stable バージョンよりも安定性が低い可能性があります。

candidate

テストはしていませんが、最新のイメージです。バグがある可能性もあります。

一覧を更新するには、以下の手順を実行します。

  1. acm-hive-openshift-releases の GitHub リポジトリーをクローンします。
  2. 以下のコマンドを入力して、stable リリースイメージに接続し、Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes のハブクラスターに同期します。

    make subscribe-stable

    注記: この make コマンドは、Linux または MacOS のオペレーティングシステムを使用している場合のみ実行できます。約 1 分後に、最新の stable エントリーが利用可能になります。

    • Fast リリースイメージを同期して表示するには、以下のコマンドを実行します。

      make subscribe-fast

      注記: この make コマンドは、Linux または MacOS のオペレーティングシステムを使用している場合のみ実行できます。

      このコマンド実行の約 1 分後に、利用可能な stablefast のリリースイメージの一覧が、現在利用可能なイメージに更新されます。

    • candidate リリースイメージを同期して表示するには、以下のコマンドを実行します。

      make subscribe-candidate

      注記: この make コマンドは、Linux または MacOS のオペレーティングシステムを使用している場合のみ実行できます。

      このコマンド実行の約 1 分後に、利用可能な stablefast、および candidate のリリースイメージの一覧が、現在利用可能なイメージに更新されます。

  3. クラスターの作成時に、Red Hat Advanced Cluster Management コンソールで現在利用可能なリリースイメージの一覧を表示します。
  4. 以下の形式でコマンドを入力して、これらのチャネルのサブスクライブを解除して更新の表示を停止することができます。

    oc delete -f subscription/subscription-stable

4.1.1. 接続時におけるリリースイメージのカスタム一覧の管理

すべてのクラスターに同じリリースイメージが使用されるようにします。クラスターの作成時に利用可能なリリースイメージのカスタム一覧を作成し、作業を簡素化します。利用可能なリリースイメージを管理するには、以下の手順を実行します。

  1. acm-hive-openshift-releases GitHub repository をフォークします。
  2. ./subscription/channel.yaml ファイルを更新して、open-cluster-management ではなく、フォークしたリポジトリーの GitHub 名にアクセスするように、spec: pathname を変更します。この手順では、ハブクラスターによるリリースイメージの取得先を指定します。更新後の内容は以下の例のようになります。

    spec:
      type: GitHub
      pathname: https://github.com/<forked_content>/acm-hive-openshift-releases.git

    forked_content はフォークしたリポジトリーのへのパスに置き換えます。

  3. Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes を使用してクラスターを作成する時に利用できるようにイメージの yaml ファイルを ./clusterImageSets/stable/ または ./clusterImageSets/fast/* ディレクトリーに追加します。*ヒント: フォークしたリポジトリーに変更をマージすることで、利用可能な yaml ファイルはメインのリポジトリーから取得できます。
  4. フォークしたリポジトリーに変更をコミットし、マージします。
  5. acm-hive-openshift-releases リポジトリーをクローンした後に stable リリースイメージの一覧を同期するには、以下のコマンドを入力して stable イメージを更新します。

    make subscribe-stable

    注記: この make コマンドは、Linux または MacOS のオペレーティングシステムを使用している場合のみ実行できます。Windows オペレーティングシステムを使用している場合は、以下のコマンドを入力します。

    oc apply -k subscription/
    oc delete -f subscription/subscription-fast.yaml
    oc apply -f subscription/subscription-stable.yaml

    このコマンドを実行後に、利用可能な安定版のリリースイメージの一覧が、現在利用可能なイメージに約 1 分ほどで更新されます。

  6. デフォルトでは、安定版のイメージのみが一覧表示されます。Fast リリースイメージを同期して表示するには、以下のコマンドを実行します。

    make subscribe-fast

    注記: この make コマンドは、Linux または MacOS のオペレーティングシステムを使用している場合のみ実行できます。Windows オペレーティングシステムを使用している場合は、以下のコマンドを入力します。

    oc apply -k subscription/
    oc apply -f subscription/subscription-fast.yaml

    このコマンドを実行後に、利用可能な fast リリースイメージの一覧が、現在利用可能なイメージに約 1 分ほどで更新されます。

  7. デフォルトではRed Hat Advanced Cluster Management は ClusterImageSets を複数事前に読み込みます。以下のコマンドを使用して、利用可能な ClusterImageSet を表示し、デフォルトの設定を削除します (任意)。

    oc get clusterImageSets
    oc delete clusterImageSet <clusterImageSet_NAME>
  8. クラスターの作成時に、Red Hat Advanced Cluster Management コンソールで現在利用可能なリリースイメージの一覧を表示します。

4.1.2. 非接続時におけるリリースイメージのカスタム一覧の管理

ハブクラスターにインターネット接続がない場合に、リリースイメージのカスタムリストを管理する必要がある場合があります。クラスターの作成時に利用可能なリリースイメージのカスタム一覧を作成します。非接続時に、利用可能なリリースイメージを管理するには、以下の手順を実行します。

  1. オンライン接続されているシステムを使用している場合には、acm-hive-openshift-releases GitHub repository に移動します。
  2. clusterImageSets ディレクトリーを、非接続の Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes ハブクラスターにアクセス可能なシステムにコピーします。
  3. clusterImageSet YAML を手作業で追加して、Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes コンソールを使用してクラスターを作成する時に利用できるようにイメージの yaml ファイルを追加します。
  4. clusterImageSets コマンドを作成します。

    oc create -f <clusterImageSet_FILE>

    追加するリソース毎にこのコマンドを実行すると、利用可能なリリースイメージの一覧が使用できるようになります。

  5. または Red Hat Advanced Cluster Management のクラスター作成のコンソールに直接イメージの URL を貼り付けることもできます。これにより、clusterImageSets が存在しない場合には、新しいものが作成されます。
  6. クラスターの作成時に、Red Hat Advanced Cluster Management コンソールで現在利用可能なリリースイメージの一覧を表示します。