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16.2. 外部データベースのサービスの定義

外部サービスの最も一般的なタイプとして外部データベースを挙げることができます。外部データベースをサポートするには、アプリケーションで以下が必要になります。

  1. 通信するエンドポイント。
  2. 以下を含む認証情報および位置情報 (coordinate)。

    • ユーザー名
    • パスフレーズ
    • データベース名

外部データベースと統合するためのソリューションには、以下が含まれます。

  • Service オブジェクト: SaaS プロバイダーを OpenShift Online サービスとして表示します。
  • 1 つ以上のサービスの Endpoint
  • 認証情報を含む適切な Pod の環境変数。

以下の手順は、外部 MySQL データベースとの統合シナリオについて説明しています。

16.2.1. 手順 1: サービスの定義

サービスは、IP アドレスとエンドポイントを指定するか、または完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定し定義することができます。

16.2.1.1. IP アドレスの使用

  1. 外部データベースを表す OpenShift Online サービスを作成します。これは内部サービスを作成する場合と同様ですが、サービスの Selector フィールドが異なります。

    内部 OpenShift Online サービスは Selector フィールドでラベルを使って Pod をサービスに関連付けます。EndpointsController システムコンポーネントは、セレクターに一致する Pod でセレクターを指定するサービスのエンドポイントを同期します。サービスプロキシー および OpenShift Online ルーター はサービスのエンドポイント間でサービスに対する要求の負荷分散を実行します。

    外部リソースを表すサービスには関連付けられる Pod が不要です。代わりに、Selector フィールドを未設定のままにします。これは外部サービスであることを表します。 これにより EndpointsController にこのサービスを無視させ、エンドポイントを手動で指定することができます。

      kind: "Service"
      apiVersion: "v1"
      metadata:
        name: "external-mysql-service"
      spec:
        ports:
          -
            name: "mysql"
            protocol: "TCP"
            port: 3306
            targetPort: 3306 1
            nodePort: 0
      selector: {} 2
    1
    オプション: サービスによる接続の転送先となるバッキング Pod のポートです。
    2
    selector フィールドは空白のままにします。
  2. 次に、サービスの必要なエンドポイントを作成します。これによりサービスプロキシーとルーターに対し、サービスにダイレクトされたトラフィックを送信する場所が指定されます。

      kind: "Endpoints"
      apiVersion: "v1"
      metadata:
        name: "external-mysql-service" 1
      subsets: 2
        -
          addresses:
            -
              ip: "10.0.0.0" 3
          ports:
            -
              port: 3306 4
              name: "mysql"
    1
    直前の手順で定義された Service インスタンスの名前です。
    2
    サービスへのトラフィックは、複数の指定がある場合に指定された Endpoints 間で負荷分散されます。
    3
    エンドポイント IP にはループバック (127.0.0.0/8)、リンクローカル (169.254.0.0/16)、またはリンクローカルマルチキャスト (224.0.0.0/24) を使用できません
    4
    port および name の定義は直前の手順で定義されたサービスの port および name の値に一致している必要があります。

16.2.1.2. 外部ドメイン名の使用

外部ドメイン名を使用すると、外部サービスの IP アドレスの変更について把握しておく必要がないために外部サービスのリンケージを管理するのが容易になります。

ExternalName サービスにはセレクターまたは定義されたポートまたはエンドポイントがないため、ExternalName サービスを使用してトラフィックを外部サービスにダイレクトすることができます。

kind: "Service"
apiVersion: "v1"
metadata:
  name: "external-mysql-service"
spec:
  type: ExternalName
  externalName: example.domain.name
selector: {} 1
1
selector フィールドは空白のままにします。

外部ドメイン名サービスを使用すると、システムに対して externalName フィールドの DNS 名 (直前の例では example.domain.name) がサービスをサポートするリソースの場所であることを示します。DNS 要求が Kubernetes DNS サーバーに対してなされる場合、CNAME レコードで externalName を返し、クライアントに対して返された名前を検索して IP アドレスを取得するように指示します。

16.2.2. 手順 2: サービスの消費

サービスおよびエンドポイントが定義されたので、適切なコンテナーの環境変数を設定し、適切な Pod が認証情報にアクセスしてサービスを使用できるようにします。

kind: "DeploymentConfig"
apiVersion: "v1"
metadata:
  name: "my-app-deployment"
spec: 1
  strategy:
    type: "Rolling"
    rollingParams:
      updatePeriodSeconds: 1 2
      intervalSeconds: 1 3
      timeoutSeconds: 120
  replicas: 2
  selector:
    name: "frontend"
  template:
    metadata:
      labels:
        name: "frontend"
    spec:
      containers:
        -
          name: "helloworld"
          image: "origin-ruby-sample"
          ports:
            -
              containerPort: 3306
              protocol: "TCP"
          env:
            -
              name: "MYSQL_USER"
              value: "${MYSQL_USER}" 4
            -
              name: "MYSQL_PASSWORD"
              value: "${MYSQL_PASSWORD}" 5
            -
              name: "MYSQL_DATABASE"
              value: "${MYSQL_DATABASE}" 6
1
DeploymentConfig の他のフィールドは省略されます。
2
各 Pod が次に更新されるまで待機する時間。
3
更新してからデプロイメントステータスをポーリングするまでの間待機する時間。
4
サービスで使用するユーザー名です。
5
サービスで使用するパスフレーズです。
6
データベース名です。

外部データベースの環境変数

アプリケーションで外部サービスを使用することは内部サービスを使用することに似ています。アプリケーションには、直前の手順で説明されている認証情報と共に、サービスの環境変数と追加の環境変数が割り当てられます。たとえば、MySQL コンテナーは以下の環境変数を受信します。

  • EXTERNAL_MYSQL_SERVICE_SERVICE_HOST=<ip_address>
  • EXTERNAL_MYSQL_SERVICE_SERVICE_PORT=<port_number>
  • MYSQL_USERNAME=<mysql_username>
  • MYSQL_PASSWORD=<mysql_password>
  • MYSQL_DATABASE_NAME=<mysql_database>

アプリケーションは環境からサービスの位置情報 (coordinate) および認証情報を読み取り、サービス経由でデータベースとの接続を確立します。