6.8. ルーティングの最適化

OpenShift Container Platform HAProxy ルーターは、パフォーマンスを最適化するためにスケーリングまたは設定できます。

6.8.1. ベースライン Ingress コントローラー (ルーター) のパフォーマンス

OpenShift Container Platform Ingress コントローラー (ルーター) は、ルートとイングレスを使用して設定されたアプリケーションとサービスのイングレストラフィックのイングレスポイントです。

1 秒に処理される HTTP 要求について、単一の HAProxy ルーターを評価する場合に、パフォーマンスは多くの要因により左右されます。特に以下が含まれます。

  • HTTP keep-alive/close モード
  • ルートタイプ
  • TLS セッション再開のクライアントサポート
  • ターゲットルートごとの同時接続数
  • ターゲットルート数
  • バックエンドサーバーのページサイズ
  • 基礎となるインフラストラクチャー (ネットワーク/SDN ソリューション、CPU など)

特定の環境でのパフォーマンスは異なりますが、Red Hat ラボはサイズが 4 vCPU/16GB RAM のパブリッククラウドインスタンスでテストしています。1kB 静的ページを提供するバックエンドで終端する 100 ルートを処理する単一の HAProxy ルーターは、1 秒あたりに以下の数のトランザクションを処理できます。

HTTP keep-alive モードのシナリオの場合:

暗号化LoadBalancerServiceHostNetwork

なし

21515

29622

edge

16743

22913

passthrough

36786

53295

re-encrypt

21583

25198

HTTP close (keep-alive なし) のシナリオの場合:

暗号化LoadBalancerServiceHostNetwork

なし

5719

8273

edge

2729

4069

passthrough

4121

5344

re-encrypt

2320

2941

デフォルトの Ingress Controller 設定は、spec.tuningOptions.threadCount フィールドを 4 に設定して、使用されました。Load Balancer Service と Host Network という 2 つの異なるエンドポイント公開戦略がテストされました。TLS セッション再開は暗号化ルートについて使用されています。HTTP keep-alive では、1 台の HAProxy ルーターで、8kB という小さなページサイズで 1Gbit の NIC を飽和させることができます。

最新のプロセッサーが搭載されたベアメタルで実行する場合は、上記のパブリッククラウドインスタンスのパフォーマンスの約 2 倍のパフォーマンスになることを予想できます。このオーバーヘッドは、パブリッククラウドにある仮想化レイヤーにより発生し、プライベートクラウドベースの仮想化にも多くの場合、該当します。以下の表は、ルーターの背後で使用するアプリケーション数についてのガイドです。

アプリケーション数アプリケーションタイプ

5-10

静的なファイル/Web サーバーまたはキャッシュプロキシー

100-1000

動的なコンテンツを生成するアプリケーション

通常、HAProxy は、使用しているテクノロジーに応じて、最大 1000 個のアプリケーションのルートをサポートできます。Ingress コントローラーのパフォーマンスは、言語や静的コンテンツと動的コンテンツの違いを含め、その背後にあるアプリケーションの機能およびパフォーマンスによって制限される可能性があります。

Ingress またはルーターのシャード化は、アプリケーションに対してより多くのルートを提供するために使用され、ルーティング層の水平スケーリングに役立ちます。