5.9. ガベージコレクションを使用しているノードリソースの解放

管理者は、OpenShift Container Platform を使用し、ガベージコレクションによってリソースを解放することにより、ノードを効率的に実行することができます。

OpenShift Container Platform ノードは、2 種類のガベージコレクションを実行します。

  • コンテナーのガベージコレクション: 終了したコンテナーを削除します。
  • イメージのガベージコレクション: 実行中のどの Pod からも参照されていないイメージを削除します。

5.9.1. 終了したコンテナーがガベージコレクションによって削除される仕組みについて

コンテナーのガベージコレクションは、エビクションしきい値を使用して実行することができます。

エビクションしきい値がガーベージコレクションに設定されていると、ノードは Pod のコンテナーが API から常にアクセス可能な状態になるよう試みます。Pod が削除された場合、コンテナーも削除されます。コンテナーは Pod が削除されず、エビクションしきい値に達していない限り保持されます。ノードがディスク不足 (disk pressure) の状態になっていると、コンテナーが削除され、それらのログは oc logs を使用してアクセスできなくなります。

  • eviction-soft - ソフトエビクションのしきい値は、エビクションしきい値と要求される管理者指定の猶予期間を組み合わせます。
  • eviction-hard - ハードエビクションのしきい値には猶予期間がなく、検知されると、OpenShift Container Platform はすぐにアクションを実行します。

以下の表は、エビクションしきい値の一覧です。

表5.2 コンテナーのガベージコレクションを設定するための変数

ノードの状態エビクションシグナル説明

MemoryPressure

memory.available

ノードで利用可能なメモリー。

DiskPressure

  • nodefs.available
  • nodefs.inodesFree
  • imagefs.available
  • imagefs.inodesFree

ノードのルートファイルシステム (nodefs) またはイメージファイルシステム (imagefs) で利用可能なディスク領域または i ノード。

注記

evictionHard の場合、これらのパラメーターをすべて指定する必要があります。すべてのパラメーターを指定しないと、指定したパラメーターのみが適用され、ガベージコレクションが正しく機能しません。

ノードがソフトエビクションしきい値の上限と下限の間で変動し、その関連する猶予期間を超えていない場合、対応するノードは、truefalse の間で常に変動します。したがって、スケジューラーは適切なスケジュールを決定できない可能性があります。

この変動から保護するには、eviction-pressure-transition-period フラグを使用して、OpenShift Container Platform が不足状態から移行するまでにかかる時間を制御します。OpenShift Container Platform は、false 状態に切り替わる前の指定された期間に、エビクションしきい値を指定された不足状態に一致するように設定しません。

5.9.2. イメージがガベージコレクションによって削除される仕組みについて

イメージのガべージコレクションでは、ノードの cAdvisor によって報告されるディスク使用量に基づいて、ノードから削除するイメージを決定します。

イメージのガベージコレクションのポリシーは、以下の 2 つの条件に基づいています。

  • イメージのガべージコレクションをトリガーするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。デフォルトは 85 です。
  • イメージのガべージコレクションが解放しようとするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。デフォルトは 80 です。

イメージのガベージコレクションのために、カスタムリソースを使用して、次の変数のいずれかを変更することができます。

表5.3 イメージのガベージコレクションを設定するための変数

設定説明

imageMinimumGCAge

ガベージコレクションによって削除されるまでの未使用のイメージの有効期間。デフォルトは、2m です。

imageGCHighThresholdPercent

イメージのガべージコレクションをトリガーするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。デフォルトは 85 です。

imageGCLowThresholdPercent

イメージのガべージコレクションが解放しようとするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。デフォルトは 80 です。

以下の 2 つのイメージ一覧がそれぞれのガベージコレクターの実行で取得されます。

  1. 1 つ以上の Pod で現在実行されているイメージの一覧
  2. ホストで利用可能なイメージの一覧

新規コンテナーの実行時に新規のイメージが表示されます。すべてのイメージにはタイムスタンプのマークが付けられます。イメージが実行中 (上記の最初の一覧) か、または新規に検出されている (上記の 2 番目の一覧) 場合、これには現在の時間のマークが付けられます。残りのイメージには以前のタイムスタンプのマークがすでに付けられています。すべてのイメージはタイムスタンプで並び替えられます。

コレクションが開始されると、停止条件を満たすまでイメージが最も古いものから順番に削除されます。

5.9.3. コンテナーおよびイメージのガベージコレクションの設定

管理者は、kubeletConfig オブジェクトを各マシン設定プール用に作成し、OpenShift Container Platform によるガベージコレクションの実行方法を設定できます。

注記

OpenShift Container Platform は、各マシン設定プールの kubeletConfig オブジェクトを 1 つのみサポートします。

次のいずれかの組み合わせを設定できます。

  • コンテナーのソフトエビクション
  • コンテナーのハードエビクション
  • イメージのエビクション

前提条件

  1. 次のコマンドを入力して、設定するノードタイプの静的な MachineConfigPool CRD に関連付けられたラベルを取得します。

    $ oc edit machineconfigpool <name>

    以下に例を示します。

    $ oc edit machineconfigpool worker

    出力例

    apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1
    kind: MachineConfigPool
    metadata:
      creationTimestamp: "2022-11-16T15:34:25Z"
      generation: 4
      labels:
        pools.operator.machineconfiguration.openshift.io/worker: "" 1
      name: worker

    1
    Labels の下にラベルが表示されます。
    ヒント

    ラベルが存在しない場合は、次のようなキー/値のペアを追加します。

    $ oc label machineconfigpool worker custom-kubelet=small-pods

手順

  1. 設定変更のためのカスタムリソース (CR) を作成します。

    重要

    ファイルシステムが 1 つの場合、または /var/lib/kubelet/var/lib/containers/ が同じファイルシステムにある場合、最も大きな値の設定が満たされるとエビクションがトリガーされます。ファイルシステムはエビクションをトリガーします。

    コンテナーのガベージコレクション CR のサンプル設定:

    apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1
    kind: KubeletConfig
    metadata:
      name: worker-kubeconfig 1
    spec:
      machineConfigPoolSelector:
        matchLabels:
          pools.operator.machineconfiguration.openshift.io/worker: "" 2
      kubeletConfig:
        evictionSoft: 3
          memory.available: "500Mi" 4
          nodefs.available: "10%"
          nodefs.inodesFree: "5%"
          imagefs.available: "15%"
          imagefs.inodesFree: "10%"
        evictionSoftGracePeriod:  5
          memory.available: "1m30s"
          nodefs.available: "1m30s"
          nodefs.inodesFree: "1m30s"
          imagefs.available: "1m30s"
          imagefs.inodesFree: "1m30s"
        evictionHard: 6
          memory.available: "200Mi"
          nodefs.available: "5%"
          nodefs.inodesFree: "4%"
          imagefs.available: "10%"
          imagefs.inodesFree: "5%"
        evictionPressureTransitionPeriod: 0s 7
        imageMinimumGCAge: 5m 8
        imageGCHighThresholdPercent: 80 9
        imageGCLowThresholdPercent: 75 10

    1
    オブジェクトの名前。
    2
    マシン設定プールからラベルを指定します。
    3
    エビクションのタイプ: evictionSoft または evictionHard
    4
    特定のエビクショントリガーシグナルに基づくエビクションのしきい値。
    5
    ソフトエビクションの猶予期間。このパラメーターは、eviction-hard には適用されません。
    6
    特定のエビクショントリガーシグナルに基づくエビクションのしきい値。evictionHard の場合、これらのパラメーターをすべて指定する必要があります。すべてのパラメーターを指定しないと、指定したパラメーターのみが適用され、ガベージコレクションが正しく機能しません。
    7
    エビクション不足の状態から移行するまでの待機時間。
    8
    ガベージコレクションによって削除されるまでの未使用のイメージの有効期間。
    9
    イメージのガべージコレクションをトリガーするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。
    10
    イメージのガべージコレクションが解放しようとするディスク使用量のパーセント (整数で表される) です。
  2. 以下のコマンドを実行して CR を作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml

    以下に例を示します。

    $ oc create -f gc-container.yaml

    出力例

    kubeletconfig.machineconfiguration.openshift.io/gc-container created

検証

  1. 次のコマンドを入力して、ガベージコレクションがアクティブであることを確認します。カスタムリソースで指定した Machine Config Pool では、変更が完全に実行されるまで UPDATING が 'true` と表示されます。

    $ oc get machineconfigpool

    出力例

    NAME     CONFIG                                   UPDATED   UPDATING
    master   rendered-master-546383f80705bd5aeaba93   True      False
    worker   rendered-worker-b4c51bb33ccaae6fc4a6a5   False     True