第5章 MTC (Migration Toolkit for Containers)

Migration Toolkit for Containers (MTC) は、OpenShift Container Platform 3 から 4.8 にステートフルなアプリケーションのワークロードを namespace レベルで移行できます。

重要

移行を開始する前に、OpenShift Container Platform 3 と 4 の相違点 を確認してください。

MTC には、Web コンソールおよび API が同梱されており、Kubernetes カスタムリソースに基づいて移行を制御してアプリケーションのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

MTC コンソールはデフォルトでターゲットクラスターにインストールされます。Migration Toolkit for Containers Operator を、 OpenShift Container Platform 3 ソースクラスターまたはリモートクラスターに インストールするように設定できます。

MTC は、ソースクラスターからターゲットクラスターにデータを移行するために、ファイルシステムおよびスナップショットによるデータのコピー方法をサポートします。ご使用の環境に適した方法で、ストレージプロバイダーでサポートされる方法を選択できます。

サービスカタログは OpenShift Container Platform 4 では非推奨になっています。サービスカタログでプロビジョニングされたワークロードリソースを OpenShift Container Platform 3 から 4 に移行できますが、移行後にこれらのワークロードで provisiondeprovision、または update などのサービスカタログのアクションを実行できません。MTC コンソールは、サービスカタログリソースを移行できない場合にメッセージを表示します。

5.1. 用語

表5.1 MTC の用語

用語定義

ソースクラスター

アプリケーションの移行元となるクラスター。

宛先クラスター[1]

アプリケーションが移行されるクラスター。

レプリケーションリポジトリー

ボリュームとイメージの直接的な移行時の Kubernetes オブジェクトに使用するオブジェクトストレージ、または間接的な移行時にイメージ、ボリューム、Kubernetes オブジェクトのコピーに使用するオブジェクトストレージ。

レプリケーションリポジトリーはすべてのクラスターからアクセスできる必要があります。

ホストクラスター

migration-controller Pod および Web コンソールが実行されているクラスター。ホストクラスターは通常宛先クラスターですが、これは必須ではありません。

ホストクラスターには、イメージの直接移行にレジストリールートを公開する必要はありません。

リモートクラスター

通常、リモートクラスターはソースクラスターですが、これは必須ではありません。

リモートクラスターには、migration-controller サービスアカウントトークンが含まれる Secret カスタムリソースが必要です。

リモートクラスターには、直接のイメージ移行用にセキュアなレジストリールートを公開する必要があります。

間接的な移行

イメージ、ボリューム、および Kubernetes オブジェクトはソースクラスターからレプリケーションリポジトリーにコピーされ、その後にレプリケーションリポジトリーから宛先クラスターにコピーされます。

ボリュームの直接移行

永続ボリュームはソースクラスターから宛先クラスターに直接コピーされます。

イメージの直接移行

イメージはソースクラスターから宛先クラスターに直接コピーされます。

段階移行

データはアプリケーションを停止せずに、宛先クラスターにコピーされます。

段階移行を複数回実行すると、カットオーバー移行の時間が短縮されます。

カットオーバー移行

ソースクラスター上のアプリケーションが停止され、アプリケーションリソースが宛先クラスターに移行されます。

状態の移行

アプリケーションの状態は、特定の永続ボリューム要求を宛先クラスターにコピーして移行されます。

ロールバック移行

ロールバック移行は完了した移行をロールバックします。

1 MTC の Web コンソールの ターゲットクラスターを指します。