11.3.11. RHCOS のインストールおよび OpenShift Container Platform ブートストラッププロセスの開始

OpenShift Container Platform を独自にプロビジョニングする IBM Power Systems インフラストラクチャーにインストールするには、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) をマシンにインストールする必要があります。RHCOS のインストール時に、インストールするマシンのタイプについて OpenShift Container Platform インストールプログラムによって生成された Ignition 設定ファイルを指定する必要があります。適切なネットワーク、DNS、および負荷分散インフラストラクチャーが設定されている場合、OpenShift Container Platform ブートストラッププロセスは RHCOS マシンの再起動後に自動的に開始されます。

ISO イメージまたはネットワーク PXE ブートを使用する手順を実行して RHCOS をマシンにインストールできます。

11.3.11.1. ISO イメージを使用した RHCOS のインストール

ISO イメージを使用してマシンに RHCOS をインストールできます。

前提条件

  • クラスターの Ignition 設定ファイルを作成している。
  • 適切なネットワーク、DNS および負荷分散インフラストラクチャーを設定している。
  • お使いのコンピューターからアクセスでき、作成するマシンからもアクセスできる HTTP サーバーがある。
  • ネットワークやディスクパーティションなどのさまざまな機能の設定方法について、高度な RHCOS インストール設定のセクションを確認している。

手順

  1. それぞれの Ignition 設定ファイルの SHA512 ダイジェストを取得します。たとえば、Linux を実行しているシステムで以下を使用して、bootstrap.ign Ignition 設定ファイルの SHA512 ダイジェストを取得できます。

    $ sha512sum <installation_directory>/bootstrap.ign

    出力例

    a5a2d43879223273c9b60af66b44202a1d1248fc01cf156c46d4a79f552b6bad47bc8cc78ddf0116e80c59d2ea9e32ba53bc807afbca581aa059311def2c3e3b  installation_directory/bootstrap.ign

    ダイジェストは、クラスターノードの Ignition 設定ファイルの信頼性を検証するために、後の手順で coreos-installer に提供されます。

  2. インストールプログラムが作成したブートストラップ、コントロールプレーン、およびコンピュートノード Ignition 設定ファイルを HTTP サーバーにアップロードします。これらのファイルの URL をメモします。

    重要

    HTTP サーバーに保存する前に、Ignition 設定で設定内容を追加したり、変更したりできます。インストールの完了後にコンピュートマシンをさらにクラスターに追加する予定の場合には、これらのファイルを削除しないでください。

  3. インストールホストから、Ignition 設定ファイルが URL で利用可能であることを確認します。以下の例では、ブートストラップノードの Ignition 設定ファイルを取得します。

    $ curl -k http://<HTTP_server>/bootstrap.ign 1

    出力例

      % Total    % Received % Xferd  Average Speed   Time    Time     Time  Current
                                     Dload  Upload   Total   Spent    Left  Speed
      0     0    0     0    0     0      0      0 --:--:-- --:--:-- --:--:--     0{"ignition":{"version":"3.2.0"},"passwd":{"users":[{"name":"core","sshAuthorizedKeys":["ssh-rsa...

    コマンドで bootstrap.ignmaster.ign または worker.ign に置き換え、コントロールプレーンおよびコンピュートノードの Ignition 設定ファイルも利用可能であることを検証します。

  4. RHCOS イメージミラー」ページからオペレーティングシステムのインスタンスをインストールするために優先される方法で必要な RHCOS イメージを取得します。

    重要

    RHCOS イメージは OpenShift Container Platform の各リリースごとに変更されない可能性があります。インストールする OpenShift Container Platform バージョンと等しいか、それ以下のバージョンの内で最も新しいバージョンのイメージをダウンロードする必要があります。利用可能な場合は、OpenShift Container Platform バージョンに一致するイメージのバージョンを使用します。この手順には ISO イメージのみを使用します。RHCOS qcow2 イメージは、このインストールではサポートされません。

    ISO ファイルの名前は以下の例のようになります。

    rhcos-<version>-live.<architecture>.iso

  5. ISO を使用し、RHCOS インストールを開始します。以下のインストールオプションのいずれかを使用します。

    • ディスクに ISO イメージを書き込み、これを直接起動します。
    • Lights Out Management (LOM) インターフェースを使用して ISO リダイレクトを使用します。
  6. オプションを指定したり、ライブ起動シーケンスを中断したりせずに、RHCOS ISO イメージを起動します。インストーラーが RHCOS ライブ環境でシェルプロンプトを起動するのを待ちます。

    注記

    RHCOS インストール起動プロセスを中断して、カーネル引数を追加できます。ただし、この ISO 手順では、カーネル引数を追加する代わりに、以下の手順で説明しているように coreos-installer コマンドを使用する必要があります。

  7. coreos-installer コマンドを実行し、インストール要件を満たすオプションを指定します。少なくとも、ノードタイプの Ignition 設定ファイルを参照する URL と、インストール先のデバイスを指定する必要があります。

    $ sudo coreos-installer install --ignition-url=http://<HTTP_server>/<node_type>.ign <device> --ignition-hash=SHA512-<digest> 12
    1 1
    コア ユーザーにはインストールを実行するために必要な root 権限がないため、sudo を使用して coreos-installer コマンドを実行する必要があります。
    2
    --ignition-hash オプションは、Ignition 設定ファイルを HTTP URL を使用して取得し、クラスターノードの Ignition 設定ファイルの信頼性を検証するために必要です。<digest> は、先の手順で取得した Ignition 設定ファイル SHA512 ダイジェストです。
    注記

    TLS を使用する HTTPS サーバーを使用して Ignition 設定ファイルを提供する必要がある場合は、coreos-installer を実行する前に内部認証局 (CA) をシステム信頼ストアに追加できます。

    以下の例では、/dev/sda デバイスへのブートストラップノードのインストールを初期化します。ブートストラップノードの Ignition 設定ファイルは、IP アドレス 192.168.1.2 で HTTP Web サーバーから取得されます。

    $ sudo coreos-installer install --ignition-url=http://192.168.1.2:80/installation_directory/bootstrap.ign /dev/sda --ignition-hash=SHA512-a5a2d43879223273c9b60af66b44202a1d1248fc01cf156c46d4a79f552b6bad47bc8cc78ddf0116e80c59d2ea9e32ba53bc807afbca581aa059311def2c3e3b
  8. マシンのコンソールで RHCOS インストールの進捗を監視します。

    重要

    OpenShift Container Platform のインストールを開始する前に、各ノードでインストールが成功していることを確認します。インストールプロセスを監視すると、発生する可能性のある RHCOS インストールの問題の原因を特定する上でも役立ちます。

  9. RHCOS のインストール後に、システムは再起動します。システムの再起動後、指定した Ignition 設定ファイルを適用します。
  10. 継続してクラスターの他のマシンを作成します。

    重要

    この時点でブートストラップおよびコントロールプレーンマシンを作成する必要があります。コントロールプレーンマシンがデフォルトのスケジュール対象にされていない場合、OpenShift Container Platform のインストール前に少なくとも 2 つのコンピュートマシンも作成します。

    必要なネットワーク、DNS、およびロードバランサーインフラストラクチャーが配置されている場合、OpenShift Container Platform ブートストラッププロセスは RHCOS ノードの再起動後に自動的に起動します。

    注記

    RHCOS ノードには、core ユーザーのデフォルトのパスワードは含まれません。ノードには、ssh core@<node>.<cluster_name>.<base_domain> を、install_config.yaml ファイルで指定したパブリックキーとペアになる SSH プライベートキーへのアクセスのあるユーザーとして実行してアクセスできます。RHCOS を実行する OpenShift Container Platform 4 クラスターノードは変更できず、Operator を使用してクラスターの変更を適用します。SSH を使用したクラスターノードへのアクセスは推奨されません。ただし、インストールの問題を調査する際に、OpenShift Container Platform API が利用できない場合や、kubelet がターゲットノードで適切に機能しない場合、デバッグまたは障害復旧に SSH アクセスが必要になることがあります。

11.3.11.1.1. 詳細の RHCOS インストールリファレンス

このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) の手動インストールプロセスを変更できるようにするネットワーク設定および他の高度なオプションについて説明します。以下の表では、RHCOS ライブインストーラーおよび coreos-installer コマンドで使用できるカーネル引数およびコマンドラインのオプションを説明します。

11.3.11.1.1.1. ISO インストールのネットワークおよびボンディングのオプション

ISO イメージから RHCOS をインストールする場合、そのイメージを起動してノードのネットワークを設定する際に手動でカーネル引数を追加できます。ネットワークの引数が指定されていない場合、RHCOS が Ignition 設定ファイルを取得するためにネットワークが必要であることを検知する際に、DHCP が initramfs でアクティベートされます。

重要

ネットワーク引数を手動で追加する場合は、rd.neednet=1 カーネル引数を追加して、ネットワークを initramfs で有効にする必要があります。

以下の表は、ISO インストール用に RHCOS ノードでネットワークおよびボンディングを設定する例を示しています。この例では、ip=nameserver=、および bond= カーネル引数の使用方法について説明しています。

注記

順序は、カーネル引数の ip=nameserver=、および bond= を追加する場合に重要です。

ネットワークオプションは、システムの起動時に dracut ツールに渡されます。dracut でサポートされるネットワークオプションの詳細は、man ページの dracut.cmdline を参照してください。

表11.34 ISO インストールのネットワークおよびボンディングのオプション

詳細

IP アドレスを設定するには、DHCP (ip=dhcp) を使用するか、または個別の静的 IP アドレス (ip=<host_ip>) を設定します。静的 IP を設定する場合、各ノードで DNS サーバー IP アドレス (nameserver=<dns_ip>) を特定する必要があります。この例では、以下を設定します。

  • ノードの IP アドレス: 10.10.10.2
  • ゲートウェイアドレス: 10.10.10.254
  • ネットワーク: 255.255.255.0
  • ホスト名: core0.example.com
  • DNS サーバーアドレス: 4.4.4.41
  • auto-configuration の値を none に設定します。IP ネットワークが静的に設定されている場合には、自動設定は必要ありません。
注記

DHCP を使用して RHCOS マシンの IP アドレスを設定する場合、マシンは DHCP を介して DNS サーバー情報も取得します。DHCP ベースのデプロイメントの場合、DHCP サーバー設定を使用して RHCOS ノードが使用する DNS サーバーアドレスを定義できます。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
nameserver=4.4.4.41

複数の ip= エントリーを指定して、複数のネットワークインターフェースを指定します。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
ip=10.10.10.3::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0:none

オプション: rd.route= value を設定して、追加のネットワークへのルートを設定できます。

追加のネットワークゲートウェイがプライマリーネットワークゲートウェイと異なる場合、デフォルトゲートウェイはプライマリーネットワークゲートウェイである必要があります。

デフォルトゲートウェイを設定するには、以下の手順に従います。

ip=::10.10.10.254::::

追加ネットワークのルートを設定するには、以下を実行します。

rd.route=20.20.20.0/24:20.20.20.254:enp2s0

2 つ以上のネットワークインターフェースがあり、1 つのインターフェースのみが使用される場合などに、1 つのインターフェースで DHCP を無効にします。この例では、enp1s0 インターフェースには静的ネットワーク設定があり、DHCP は使用されない enp2s0 について無効にされます。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp1s0:none
ip=::::core0.example.com:enp2s0:none

複数のネットワークインターフェースを持つシステムで、DHCP および静的 IP 設定を組み合わせることができます。

ip=enp1s0:dhcp
ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0:none

オプション: vlan= パラメーターを使用して、個別のインターフェースに VLAN を設定できます。

ネットワークインターフェースに VLAN を設定し、静的 IP アドレスを使用するには、以下を実行します。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:enp2s0.100:none
vlan=enp2s0.100:enp2s0

ネットワークインターフェース上に VLAN を設定し、DHCP を使用するには、以下を行います。

ip=enp2s0.100:dhcp
vlan=enp2s0.100:enp2s0

各サーバーに nameserver= エントリーを追加して、複数の DNS サーバーを指定できます。

nameserver=1.1.1.1
nameserver=8.8.8.8

オプション: 複数のネットワークインターフェースを単一のインターフェースにボンディングすることは、bond= オプションを使用によってサポートされます。次の 2 つの例では、以下のようになります。

  • ボンディングされたインターフェースを設定する構文は bond=name[:network_interfaces][:options] です。

    name は、ボンディングデバイス名 (bond0) で、network_interfaces は物理(イーサネット)インターフェース (em1,em2) のコンマ区切り一覧を表します。options はボンディングオプションのコンマ区切りの一覧です。modinfo bonding を入力して、利用可能なオプションを表示します。

  • Bond= を使用してボンディングされたインターフェースを作成する場合は、IP アドレスの割り当て方法とボンディングされたインターフェースのその他の情報を指定する必要があります。

DHCP を使用するようにボンディングされたインターフェースを設定するには、ボンドの IP アドレスを dhcp に設定します。以下は例になります。

bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup
ip=bond0:dhcp

静的 IP アドレスを使用するようにボンディングされたインターフェースを設定するには、必要な特定の IP アドレスと関連情報を入力します。以下は例になります。

bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup
ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:bond0:none

オプション: vlan= パラメーターを使用して、ボンディングされたインターフェースに VLAN を設定できます。

ボンディングされたインターフェースを VLAN で設定し、DHCP を使用するには、以下を行います。

ip=bond0.100:dhcp
bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup
vlan=bond0.100:bond0

ボンディングされたインターフェースを VLAN で設定し、静的 IP アドレスを使用するには、以下を行います。

ip=10.10.10.2::10.10.10.254:255.255.255.0:core0.example.com:bond0.100:none
bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup
vlan=bond0.100:bond0

オプション: ネットワークチーミングは、team= パラメーターを使用してボンディングの代替として使用できます。この例では、以下のように設定されています。

  • チームインターフェースを設定するための構文は、team =name[:network_interfaces]です。

    name はチームデバイス名(team0)でnetwork_interfaces は物理(イーサネット)インターフェース(em1、em2)のコンマ区切りの一覧を表します。

注記

チーミングは、RHCOS が RHEL の今後のバージョンで切り替わる際に非推奨になる予定です。詳細は、Red Hat ナレッジベースアーティクル を参照してください

ネットワークチームを設定するには、以下を実行します。

team=team0:em1,em2
ip=team0:dhcp