1.5. Vertical Pod Autoscaler を使用した Pod リソースレベルの自動調整

OpenShift Container Platform の Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) は、Pod 内のコンテナーの履歴および現在の CPU とメモリーリソースを自動的に確認し、把握する使用値に基づいてリソース制限および要求を更新できます。VPA は個別のカスタムリソース (CR) を使用して、プロジェクトの DeploymentDeployment ConfigStatefulSetJobDaemonSetReplicaSet、または ReplicationController などのワークロードオブジェクトに関連付けられたすべての Pod を更新します。

VPA は、Pod に最適な CPU およびメモリーの使用状況を理解するのに役立ち、Pod のライフサイクルを通じて Pod のリソースを自動的に維持します。

重要

Vertical Pod Autoscaler はテクノロジープレビュー機能としてのみご利用いただけます。テクノロジープレビュー機能は Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。Red Hat は実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲についての詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

1.5.1. Vertical Pod Autoscaler Operator について

Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) は、API リソースおよびカスタムリソース (CR) として実装されます。CR は、プロジェクトのデーモンセット、レプリケーションコントローラーなどの特定のワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod について Vertical Pod Autoscaler Operator が取るべき動作を判別します。

VPA は、それらの Pod 内のコンテナーの履歴および現在の CPU とメモリーの使用状況を自動的に計算し、このデータを使用して、最適化されたリソース制限および要求を判別し、これらの Pod が常時効率的に動作していることを確認することができます。たとえば、VPA は使用している量よりも多くのリソースを要求する Pod のリソースを減らし、十分なリソースを要求していない Pod のリソースを増やします。

VPA は、一度に 1 つずつ推奨値で調整されていない Pod を自動的に削除するため、アプリケーションはダウンタイムなしに継続して要求を提供できます。ワークロードオブジェクトは、元のリソース制限および要求で Pod を再デプロイします。VPA は変更用の受付 Webhook を使用して、Pod がノードに許可される前に最適化されたリソース制限および要求で Pod を更新します。VPA が Pod を削除する必要がない場合は、VPA リソース制限および要求を表示し、必要に応じて Pod を手動で更新できます。

たとえば、CPU の 50% を使用する Pod が 10% しか要求しない場合、VPA は Pod が要求よりも多くの CPU を消費すると判別してその Pod を削除します。レプリカセットなどのワークロードオブジェクトは Pod を再起動し、VPA は推奨リソースで新しい Pod を更新します。

開発者の場合、VPA を使用して、Pod を各 Pod に適したリソースを持つノードにスケジュールし、Pod の需要の多い期間でも稼働状態を維持することができます。

管理者は、VPA を使用してクラスターリソースをより適切に活用できます。たとえば、必要以上の CPU リソースを Pod が予約できないようにします。VPA は、ワークロードが実際に使用しているリソースをモニターし、他のワークロードで容量を使用できるようにリソース要件を調整します。VPA は、初期のコンテナー設定で指定される制限と要求の割合をそのまま維持します。

注記

VPA の実行を停止するか、またはクラスターの特定の VPA CR を削除する場合、VPA によってすでに変更された Pod のリソース要求は変更されません。新規 Pod は、VPA による以前の推奨事項ではなく、ワークロードオブジェクトで定義されたリソースを取得します。