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第7章 ユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャー

7.1. RHEL コンピュートマシンの OpenShift Container Platform クラスターへの追加

OpenShift Container Platform では、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のコンピュートまたはワーカーマシンをユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャークラスターに追加できます。RHEL は、コンピュートマシンでのみのオペレーティングシステムとして使用できます。

7.1.1. RHEL コンピュートノードのクラスターへの追加について

OpenShift Container Platform 4.4 には、ユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャーを使用する場合、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) マシンをクラスター内のコンピュートまたはワーカーマシンとして使用するオプションがあります。クラスター内のコントロールプレーンまたはマスターマシンには Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) マシンを使用する必要があります。

ユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャーを使用するすべてのインストールの場合、クラスターで RHEL コンピュートマシンを使用する選択をする場合には、システム更新の実行や、パッチの適用、またその他の必要なすべてのタスクの実行を含むオペレーティングシステムのライフサイクル管理およびメンテナンスのすべてを独自に実行する必要があります。

重要

OpenShift Container Platform をクラスター内のマシンから削除するには、オペレーティングシステムを破棄する必要があるため、クラスターに追加する RHEL マシンについては専用のハードウェアを使用する必要があります。

重要

swap メモリーは、OpenShift Container Platform クラスターに追加されるすべての RHEL マシンで無効にされます。これらのマシンで swap メモリーを有効にすることはできません。

RHEL コンピュートマシンは、コントロールプレーンを初期化してからクラスターに追加する必要があります。

7.1.2. RHEL コンピュートノードのシステム要件

OpenShift Container Platform 環境の Red Hat Enterprise Linux (RHEL) コンピュートマシンホスト (またはワーカーマシンホストとしても知られる) は以下の最低のハードウェア仕様およびシステムレベルの要件を満たしている必要があります。

  • まず、お使いの Red Hat アカウントに有効な OpenShift Container Platform サブスクリプションがなければなりません。これがない場合は、営業担当者にお問い合わせください。
  • 実稼働環境では予想されるワークロードに対応するコンピュートーノードを提供する必要があります。クラスター管理者は、予想されるワークロードを計算し、オーバーヘッドの約 10 パーセントを追加する必要があります。実稼働環境の場合、ノードホストの障害が最大容量に影響を与えることがないよう、十分なリソースを割り当てるようにします。
  • 各システムは、以下のハードウェア要件を満たしている必要があります。

    • 物理または仮想システム、またはパブリックまたはプライベート IaaS で実行されるインスタンス。
    • ベース OS: RHEL 7.6-7.8 (「最小」のインストールオプション)

      重要

      OpenShift Container Platform 4.4 でサポートされるのは RHEL 7.6-7.8 のみになります。コンピュートマシンを RHEL 8 にアップグレードすることはできません。

    • FIPS モードで OpenShift Container Platform をデプロイしている場合、起動する前に FIPS を RHEL マシン上で有効にする必要があります。詳細は、RHEL 7 のドキュメントの「FIPS モードの有効化」を参照してください。
    • NetworkManager 1.0 以降。
    • 1 vCPU。
    • 最小 8 GB の RAM。
    • /var/ を含むファイルシステムの最小 15 GB のハードディスク領域。
    • /usr/local/bin/ を含むファイルシステムの最小 1 GB のハードディスク領域。
    • システムの一時ディレクトリーを含むファイルシステムの最小 1 GB のハードディスク領域。システムの一時ディレクトリーは、Python の標準ライブラリーの tempfile モジュールで定義されるルールに基づいて決定されます。
  • 各システムは、システムプロバイダーの追加の要件を満たす必要があります。たとえば、クラスターを VMware vSphere にインストールしている場合、ディスクはその ストレージガイドライン に応じて設定され、disk.enableUUID=true 属性が設定される必要があります。
  • 各システムは、DNS で解決可能なホスト名を使用してクラスターの API エンドポイントにアクセスできる必要があります。配置されているネットワークセキュリティーアクセス制御は、クラスターの API サービスエンドポイントへのシステムアクセスを許可する必要があります。

7.1.2.1. 証明書署名要求の管理

ユーザーがプロビジョニングするインフラストラクチャーを使用する場合、クラスターの自動マシン管理へのアクセスは制限されるため、インストール後にクラスターの証明書署名要求 (CSR) のメカニズムを提供する必要があります。kube-controller-manager は kubelet クライアント CSR のみを承認します。machine-approver は、kubelet 認証情報を使用して要求される提供証明書の有効性を保証できません。適切なマシンがこの要求を発行したかどうかを確認できないためです。kubelet 提供証明書の要求の有効性を検証し、それらを承認する方法を判別し、実装する必要があります。

7.1.3. Playbook 実行のためのマシンの準備

Red Hat Enterprise Linux をオペレーティングシステムとして使用するコンピュートマシンを OpenShift Container Platform 4.4 クラスターに追加する前に、Playbook を実行するマシンを準備する必要があります。このマシンはクラスターの一部にはなりませんが、クラスターにアクセスできる必要があります。

前提条件

  • Playbook を実行するマシンに OpenShift CLI (oc) をインストールします。
  • cluster-admin パーミッションを持つユーザーとしてログインします。

手順

  1. クラスターの kubeconfig ファイルおよびクラスターのインストールに使用したインストールプログラムがマシン上にあることを確認します。これを実行する 1 つの方法として、クラスターのインストールに使用したマシンと同じマシンを使用することができます。
  2. マシンを、コンピュートマシンとして使用する予定のすべての RHEL ホストにアクセスできるように設定します。Bastion と SSH プロキシーまたは VPN の使用など、所属する会社で許可されるすべての方法を利用できます。
  3. すべての RHEL ホストへの SSH アクセスを持つユーザーを Playbook を実行するマシンで設定します。

    重要

    SSH キーベースの認証を使用する場合、キーを SSH エージェントで管理する必要があります。

  4. これを実行していない場合には、マシンを RHSM に登録し、 OpenShift サブスクリプションのプールをこれにアタッチします。

    1. マシンを RHSM に登録します。

      # subscription-manager register --username=<user_name> --password=<password>
    2. RHSM から最新のサブスクリプションデータをプルします。

      # subscription-manager refresh
    3. 利用可能なサブスクリプションを一覧表示します。

      # subscription-manager list --available --matches '*OpenShift*'
    4. 直前のコマンドの出力で、OpenShift Container Platform サブスクリプションのプール ID を見つけ、これをアタッチします。

      # subscription-manager attach --pool=<pool_id>
  5. OpenShift Container Platform 4.4 で必要なリポジトリーを有効にします。

    # subscription-manager repos \
        --enable="rhel-7-server-rpms" \
        --enable="rhel-7-server-extras-rpms" \
        --enable="rhel-7-server-ansible-2.9-rpms" \
        --enable="rhel-7-server-ose-4.4-rpms"
  6. openshift-ansible を含む必要なパッケージをインストールします。

    # yum install openshift-ansible openshift-clients jq

    openshift-ansible パッケージはインストールプログラムユーティリティーを提供し、Ansible Playbook などのクラスターに RHEL コンピュートノードを追加するために必要な他のパッケージおよび関連する設定ファイルをプルします。openshift-clientsoc CLI を提供し、jq パッケージはコマンドライン上での JSON 出力の表示方法を向上させます。

7.1.4. RHEL コンピュートノードの準備

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) マシンを OpenShift Container Platform クラスターに追加する前に、各ホストをRed Hat Subscription Manager (RHSM) に登録し、有効な OpenShift Container Platform サブスクリプションをアタッチし、必要なリポジトリーを有効にする必要があります。

  1. 各ホストで RHSM に登録します。

    # subscription-manager register --username=<user_name> --password=<password>
  2. RHSM から最新のサブスクリプションデータをプルします。

    # subscription-manager refresh
  3. 利用可能なサブスクリプションを一覧表示します。

    # subscription-manager list --available --matches '*OpenShift*'
  4. 直前のコマンドの出力で、OpenShift Container Platform サブスクリプションのプール ID を見つけ、これをアタッチします。

    # subscription-manager attach --pool=<pool_id>
  5. Yum リポジトリーをすべて無効にします。

    1. 有効にされている RHSM リポジトリーをすべて無効にします。

      # subscription-manager repos --disable="*"
    2. 残りの Yum リポジトリーを一覧表示し、repo id にあるそれらの名前をメモします (ある場合) 。

      # yum repolist
    3. yum-config-manager を使用して、残りの Yum リポジトリーを無効にします。

      # yum-config-manager --disable <repo_id>

      または、すべてのリポジトリーを無効にします。

       yum-config-manager --disable \*

      利用可能なリポジトリーが多い場合には、数分の時間がかかることがあります。

  6. OpenShift Container Platform 4.4 で必要なリポジトリーのみを有効にします。

    # subscription-manager repos \
        --enable="rhel-7-server-rpms" \
        --enable="rhel-7-server-extras-rpms" \
        --enable="rhel-7-server-ose-4.4-rpms"
  7. ホストで firewalld を停止し、無効にします。

    # systemctl disable --now firewalld.service
    注記

    firewalld は、後で有効にすることはできません。これを実行する場合、ワーカー上の OpenShift Container Platform ログにはアクセスできません。

7.1.5. RHEL コンピュートマシンのクラスターへの追加

Red Hat Enterprise Linux をオペレーティングシステムとして使用するコンピュートマシンを OpenShift Container Platform 4.4 クラスターに追加することができます。

前提条件

  • Playbook を実行するマシンに必要なパッケージをインストールし、必要な設定が行われています。
  • インストール用の RHEL ホストを準備しています。

手順

Playbook を実行するために準備しているマシンで以下の手順を実行します。

  1. コンピュートマシンホストおよび必要な変数を定義する /<path>/inventory/hosts という名前の Ansible インベントリーファイルを作成します。

    [all:vars]
    ansible_user=root 1
    #ansible_become=True 2
    
    openshift_kubeconfig_path="~/.kube/config" 3
    
    [new_workers] 4
    mycluster-rhel7-0.example.com
    mycluster-rhel7-1.example.com
    1
    Ansible タスクをリモートコンピュートマシンで実行するユーザー名を指定します。
    2
    ansible_userroot を指定しない場合、ansible_becomeTrue に設定し、ユーザーに sudo パーミッションを割り当てる必要があります。
    3
    クラスターの kubeconfig ファイルへのパスを指定します。
    4
    クラスターに追加する各 RHEL マシンを一覧表示します。各ホストについて完全修飾ドメイン名を指定する必要があります。この名前は、クラスターがマシンにアクセスするために使用するホスト名であるため、マシンにアクセスできるように正しいパブリックまたはプライベートの名前を設定します。
  2. Playbook を実行します。

    $ cd /usr/share/ansible/openshift-ansible
    $ ansible-playbook -i /<path>/inventory/hosts playbooks/scaleup.yml 1
    1
    <path> については、作成した Ansible インベントリーファイルへのパスを指定します。

7.1.6. マシンの証明書署名要求の承認

マシンをクラスターに追加する際に、追加したそれぞれのマシンについて 2 つの保留状態の証明書署名要求 (CSR) が生成されます。これらの CSR が承認されていることを確認するか、または必要な場合はそれらを承認してください。最初にクライアント要求を承認し、次にサーバー要求を承認する必要があります。

前提条件

  • マシンがクラスターに追加されています。

手順

  1. クラスターがマシンを認識していることを確認します。

    # oc get nodes
    
    NAME                    STATUS   ROLES    AGE   VERSION
    master-01.example.com   Ready    master   40d   v1.17.1
    master-02.example.com   Ready    master   40d   v1.17.1
    master-03.example.com   Ready    master   40d   v1.17.1
    worker-01.example.com   Ready    worker   40d   v1.17.1
    worker-02.example.com   Ready    worker   40d   v1.17.1

    出力には作成したすべてのマシンが一覧表示されます。

  2. 保留中の証明書署名要求 (CSR) を確認し、クラスターに追加したそれぞれのマシンのクライアントおよびサーバー要求に Pending または Approved ステータスが表示されていることを確認します。

    $ oc get csr
    
    NAME        AGE     REQUESTOR                                                                   CONDITION
    csr-8b2br   15m     system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper   Pending
    csr-8vnps   15m     system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper   Pending
    ...

    この例では、2 つのマシンがクラスターに参加しています。この一覧にはさらに多くの承認された CSR が表示される可能性があります。

  3. 追加したマシンの保留中の CSR すべてが Pending ステータスになった後に CSR が承認されない場合には、クラスターマシンの CSR を承認します。

    注記

    CSR のローテーションは自動的に実行されるため、クラスターにマシンを追加後 1 時間以内に CSR を承認してください。1 時間以内に承認しない場合には、証明書のローテーションが行われ、各ノードに 3 つ以上の証明書が存在するようになります。これらの証明書すべてを承認する必要があります。最初の CSR の承認後、後続のノードクライアント CSR はクラスターの kube-controller-manger によって自動的に承認されます。kubelet 提供証明書の要求を自動的に承認する方法を実装する必要があります。

    • それらを個別に承認するには、それぞれの有効な CSR について以下のコマンドを実行します。

      $ oc adm certificate approve <csr_name> 1
      1
      <csr_name> は、現行の CSR の一覧からの CSR の名前です。
    • すべての保留中の CSR を承認するには、以下のコマンドを実行します。

      $ oc get csr -o go-template='{{range .items}}{{if not .status}}{{.metadata.name}}{{"\n"}}{{end}}{{end}}' | xargs oc adm certificate approve
  4. クライアント要求が承認されたら、クラスターに追加した各マシンのサーバー要求を確認する必要があります。

    $ oc get csr

    出力例

    NAME        AGE     REQUESTOR                                                                   CONDITION
    csr-bfd72   5m26s   system:node:ip-10-0-50-126.us-east-2.compute.internal                       Pending
    csr-c57lv   5m26s   system:node:ip-10-0-95-157.us-east-2.compute.internal                       Pending
    ...

  5. 残りの CSR が承認されず、それらが Pending ステータスにある場合、クラスターマシンの CSR を承認します。

    • それらを個別に承認するには、それぞれの有効な CSR について以下のコマンドを実行します。

      $ oc adm certificate approve <csr_name> 1
      1
      <csr_name> は、現行の CSR の一覧からの CSR の名前です。
    • すべての保留中の CSR を承認するには、以下のコマンドを実行します。

      $ oc get csr -o go-template='{{range .items}}{{if not .status}}{{.metadata.name}}{{"\n"}}{{end}}{{end}}' | xargs oc adm certificate approve
  6. すべてのクライアントおよびサーバーの CSR が承認された後に、マシンのステータスが Ready になります。以下のコマンドを実行して、これを確認します。

    $ oc get nodes

    出力例

    NAME      STATUS    ROLES   AGE  VERSION
    master-0  Ready     master  73m  v1.20.0
    master-1  Ready     master  73m  v1.20.0
    master-2  Ready     master  74m  v1.20.0
    worker-0  Ready     worker  11m  v1.20.0
    worker-1  Ready     worker  11m  v1.20.0

    注記

    サーバー CSR の承認後にマシンが Ready ステータスに移行するまでに数分の時間がかかる場合があります。

追加情報

7.1.7. Ansible ホストファイルの必須パラメーター

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) コンピュートマシンをクラスターに追加する前に、以下のパラメーターを Ansible ホストファイルに定義する必要があります。

パラメーター説明

ansible_user

パスワードなしの SSH ベースの認証を許可する SSH ユーザー。SSH キーベースの認証を使用する場合、キーを SSH エージェントで管理する必要があります。

システム上のユーザー名。デフォルト値は root です。

ansible_become

ansible_user の値が root ではない場合、 ansible_becomeTrue に設定する必要があり、ansible_user として指定するユーザーはパスワードなしの sudo アクセスが可能になるように設定される必要があります。

True。値が True ではない場合、このパラメーターを指定したり、定義したりしないでください。

openshift_kubeconfig_path

クラスターの kubeconfig ファイルが含まれるローカルディレクトリーへのパスおよびファイル名を指定します。

設定ファイルのパスと名前。

7.1.7.1. オプション: RHCOS コンピュートマシンのクラスターからの削除

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) コンピュートマシンをクラスターに追加した後に、オプションで Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) コンピュートマシンを削除し、リソースを解放できます。

前提条件

  • RHEL コンピュートマシンをクラスターに追加済みです。

手順

  1. マシンの一覧を表示し、RHCOS コンピューマシンのノード名を記録します。

    $ oc get nodes -o wide
  2. それぞれの RHCOS コンピュートマシンについて、ノードを削除します。

    1. oc adm cordon コマンドを実行して、ノードにスケジュール対象外 (unschedulable) のマークを付けます。

      $ oc adm cordon <node_name> 1
      1
      RHCOS コンピュートマシンのノード名を指定します。
    2. ノードからすべての Pod をドレイン (解放) します。

      $ oc adm drain <node_name> --force --delete-local-data --ignore-daemonsets 1
      1
      分離した RHCOS コンピュートマシンのノード名を指定します。
    3. ノードを削除します。

      $ oc delete nodes <node_name> 1
      1
      ドレイン (解放) した RHCOS コンピュートマシンのノード名を指定します。
  3. コンピュートマシンの一覧を確認し、RHEL ノードのみが残っていることを確認します。

    $ oc get nodes -o wide
  4. RHCOS マシンをクラスターのコンピュートマシンのロードバランサーから削除します。仮想マシンを削除したり、RHCOS コンピュートマシンの物理ハードウェアを再イメージ化したりできます。