2.26. 新規ブロックストレージ DataVolume への仮想マシンディスクのクローン作成

DataVolume 設定ファイルでソース PVC を参照し、新規ブロック DataVolume に仮想マシンディスクの PersistentVolumeClaim (PVC) のクローンを作成できます。

前提条件

2.26.1. DataVolume について

DataVolume オブジェクトは、Containerized Data Importer (CDI) プロジェクトで提供されるカスタムリソースです。DataVolume は、基礎となる PersistentVolumeClaim (PVC) に関連付けられるインポート、クローン作成、およびアップロード操作のオーケストレーションを行います。DataVolume は KubeVirt に統合され、仮想マシンが PVC の作成前に起動することを防ぎます。

2.26.2. ブロック PersistentVolume について

ブロック PersistentVolume (PV) は、raw ブロックデバイスによってサポートされる PV です。これらのボリュームにはファイルシステムがなく、ディスクに直接書き込む仮想マシンや、独自のストレージサービスを実装する仮想マシンにはパフォーマンス上の利点があります。

raw ブロックボリュームは、PV および PersistentVolumeClaim (PVC) 仕様で volumeMode: Block を指定してプロビジョニングされます。

2.26.3. ローカルブロック PersistentVolume の作成

ファイルにデータを設定し、これをループデバイスとしてマウントすることにより、ノードでローカルブロック PersistentVolume (PV) を作成します。次に、このループデバイスを PV 設定で Block ボリュームとして参照し、これを仮想マシンイメージのブロックデバイスとして使用できます。

手順

  1. ローカル PV を作成するノードに root としてログインします。この手順では、node01 を例に使用します。
  2. ファイルを作成して、これを null 文字で設定し、ブロックデバイスとして使用できるようにします。以下の例では、2Gb (20 100Mb ブロック) のサイズのファイル loop10 を作成します。

    $ dd if=/dev/zero of=<loop10> bs=100M count=20
  3. loop10 ファイルをループデバイスとしてマウントします。

    $ losetup </dev/loop10>d3 <loop10> 1 2
    1
    ループデバイスがマウントされているファイルパスです。
    2
    前の手順で作成したファイルはループデバイスとしてマウントされます。
  4. マウントされたループデバイスを参照する PersistentVolume 設定を作成します。

    kind: PersistentVolume
    apiVersion: v1
    metadata:
      name: <local-block-pv10>
      annotations:
    spec:
      local:
        path: </dev/loop10> 1
      capacity:
        storage: <2Gi>
      volumeMode: Block 2
      storageClassName: local 3
      accessModes:
        - ReadWriteOnce
      persistentVolumeReclaimPolicy: Delete
      nodeAffinity:
        required:
          nodeSelectorTerms:
          - matchExpressions:
            - key: kubernetes.io/hostname
              operator: In
              values:
              - <node01> 4
    1
    ノード上のループデバイスのパス。
    2
    ブロック PV であることを指定します。
    3
    オプション: PV に StorageClass を設定します。これを省略する場合、クラスターのデフォルトが使用されます。
    4
    ブロックデバイスがマウントされたノード。
  5. ブロック PV を作成します。

    # oc create -f <local-block-pv10.yaml>1
    1
    直前の手順で作成された PersistentVolume のファイル名。

2.26.4. 新規 DataVolume への仮想マシンディスクの PersistentVolumeClaim のクローン作成

既存の仮想マシンディスクの PersistentVolumeClaim (PVC) のクローンを新規 DataVolume に作成できます。その後、新規 DataVolume は新規の仮想マシンに使用できます。

注記

Volume が仮想マシンとは別に作成される場合、DataVolume のライフサイクルは仮想マシンから切り離されます。仮想マシンが削除されても、DataVolume もその関連付けられた PVC も削除されません。

前提条件

  • 使用する既存の仮想マシンディスクの PVC を判別します。クローン作成の前に、PVC に関連付けられた仮想マシンの電源を切る必要があります。
  • oc として知られる OpenShift コマンドラインインターフェース (CLI) のインストール。
  • ソース PVC と同じか、またはこれよりも大きい 1 つ以上の利用可能なブロック PersistentVolume (PV)。

手順

  1. 関連付けられた PVC の名前および namespace を特定するために、クローン作成に必要な仮想マシンディスクを確認します。
  2. 新規 DataVolume の名前、ソース PVC の名前および namespace、利用可能なブロック PV を使用できるようにするために volumeMode: Block、および新規 DataVolume のサイズを指定する DataVolume オブジェクトの YAML ファイルを作成します。

    例:

    apiVersion: cdi.kubevirt.io/v1alpha1
    kind: DataVolume
    metadata:
      name: <cloner-datavolume> 1
    spec:
      source:
        pvc:
          namespace: "<source-namespace>" 2
          name: "<my-favorite-vm-disk>" 3
      pvc:
        accessModes:
          - ReadWriteOnce
        resources:
          requests:
            storage: <2Gi> 4
        volumeMode: Block 5
    1
    新規 DataVolume の名前。
    2
    ソース PVC が存在する namespace。
    3
    ソース PVC の名前。
    4
    新規 DataVolume のサイズ。十分な領域を割り当てる必要があります。そうでない場合には、クローン操作は失敗します。サイズはソース PVC と同じか、またはそれよりも大きくなければなりません。
    5
    宛先がブロック PV であることを指定します。
  3. DataVolume を作成して PVC のクローン作成を開始します。

    $ oc create -f <cloner-datavolume>.yaml
    注記

    DataVolume は仮想マシンが PVC の作成前に起動することを防ぐため、PVC のクローン作成中に新規 DataVolume を参照する仮想マシンを作成できます。

2.26.5. CDI がサポートする操作マトリックス

このマトリックスにはエンドポイントに対してコンテンツタイプのサポートされる CDI 操作が表示されます。これらの操作にはスクラッチ領域が必要です。

コンテンツタイプHTTPHTTPSHTTP Basic 認証レジストリーアップロード

kubevirt (QCOW2)

✓ QCOW2
✓ GZ*
✓ XZ*

✓ QCOW2**
✓ GZ*
✓ XZ*

✓ QCOW2
✓ GZ*
✓ XZ*

✓ QCOW2*
□ GZ
□ XZ

✓ QCOW2*
✓ GZ*
✓ XZ*

KubeVirt (RAW)

✓ RAW
✓ GZ
✓ XZ

✓ RAW
✓ GZ
✓ XZ

✓ RAW
✓ GZ
✓ XZ

✓ RAW*
□ GZ
□ XZ

✓ RAW*
✓ GZ*
✓ XZ*

Archive+

✓ TAR

✓ TAR

✓ TAR

□ TAR

□ TAR

✓ サポートされる操作

□ サポートされない操作

* スクラッチ領域が必要

**カスタム認証局が必要な場合にスクラッチ領域が必要

+ アーカイブはブロックモード DV をサポートしません。