第11章 ストラテジーによるビルドのセキュリティー保護

OpenShift Container Platform のビルドは特権付きコンテナーで実行されます。使用されるビルドストラテジーに応じて、ビルドを実行できるユーザーがクラスターおよびホストノードでの自らのパーミッションをエスカレートすることが許可されます。セキュリティー対策として、ビルドを実行できるユーザーおよびそれらのビルドに使用されるストラテジーを制限します。カスタムビルドは特権付きコンテナー内で任意のコードを実行できるためにソースビルドより安全性が低くなります。そのためデフォルトで無効にされます。Dockerfile 処理ロジックにある脆弱性により、権限がホストノードで付与される可能性があるため、Docker ビルドパーミッションを付与する際には注意してください。

デフォルトで、ビルドを作成できるすべてのユーザーには Docker および Source-to-Image (S2I) ビルドストラテジーを使用するためにパーミッションが付与されます。cluster-admin 権限を持つユーザーは、ビルドストラテジーをユーザーにぐローバルに制限する方法についてのセクションで言及されているようにカスタムビルドストラテジーを有効にできます。

許可ポリシーを使用して、どのユーザーがどのビルドストラテジーを使用してビルドできるかについて制限することができます。各ビルドには、対応するビルドサブリソースがあります。ストラテジーを使用してビルド作成するには、ユーザーにビルドを作成するパーミッション および ビルドストラテジーのサブリソースで作成するパーミッションがなければなりません。ビルドストラテジーのサブリソースでの create パーミッションを付与するデフォルトロールが提供されます。

表11.1 ビルドストラテジーのサブリソースおよびロール

ストラテジーサブリソースロール

Docker

ビルド/docker

system:build-strategy-docker

Source-to-Image (S2I)

ビルド/ソース

system:build-strategy-source

カスタム

ビルド/カスタム

system:build-strategy-custom

JenkinsPipeline

ビルド/jenkinspipeline

system:build-strategy-jenkinspipeline

11.1. ビルドストラテジーへのアクセスのグローバルな無効化

特定のビルドストラテジーへのアクセスをグローバルに禁止するには、cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインし、system:authenticated グループから対応するロールを削除し、アノテーション rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: "false" を適用してそれらを API の再起動間での変更から保護します。以下の例では、Docker ビルドストラテジーを無効にする方法を示します。

手順

  1. rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate アノテーションを適用します。

    $ oc edit clusterrolebinding system:build-strategy-docker-binding
    
    apiVersion: v1
    groupNames:
    - system:authenticated
    kind: ClusterRoleBinding
    metadata:
      annotations:
        rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: "false" 1
      creationTimestamp: 2018-08-10T01:24:14Z
      name: system:build-strategy-docker-binding
      resourceVersion: "225"
      selfLink: /oapi/v1/clusterrolebindings/system%3Abuild-strategy-docker-binding
      uid: 17b1f3d4-9c3c-11e8-be62-0800277d20bf
    roleRef:
      name: system:build-strategy-docker
    subjects:
    - kind: SystemGroup
      name: system:authenticated
    userNames:
    - system:serviceaccount:management-infra:management-admin
    1
    rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate アノテーションの値を "false" に変更します。
  2. ロールを削除します。

    $ oc adm policy remove-cluster-role-from-group system:build-strategy-docker system:authenticated
  3. ビルドストラテジーのサブリソースもこれらのロールから削除されることを確認します。

    $ oc edit clusterrole admin
    $ oc edit clusterrole edit
  4. それぞれのロールについて、無効にするストラテジーのリソースに対応する行を削除します。

    1. admin の Docker ビルドストラテジーの無効化

      kind: ClusterRole
      metadata:
        name: admin
      ...
      rules:
      - resources:
        - builds/custom
        - builds/docker 1
        - builds/source
        ...
      ...
      1
      admin ロールを持つユーザーに対して Docker ビルドをグローバルに無効にするためにこの行を削除します。