8.4. 制限範囲によるリソース消費の制限
デフォルトで、コンテナーは OpenShift Container Platform クラスターのバインドされていないコンピュートリソースで実行されます。制限範囲については、プロジェクト内の特定オブジェクトのリソースの消費を制限できます。
- Pod およびコンテナー: Pod およびそれらのコンテナーの CPU およびメモリーの最小および最大要件を設定できます。
-
イメージストリーム:
ImageStreamオブジェクトのイメージおよびタグの数に制限を設定できます。 - イメージ: 内部レジストリーにプッシュできるイメージのサイズを制限することができます。
- 永続ボリューム要求 (PVC): 要求できる PVC のサイズを制限できます。
Pod が制限範囲で課される制約を満たさない場合、Pod を namespace に作成することはできません。
8.4.1. 制限範囲について
LimitRange オブジェクトで定義される制限範囲。プロジェクトのリソース消費を制限します。プロジェクトで、Pod、コンテナー、イメージ、イメージストリーム、または永続ボリューム要求 (PVC) の特定のリソース制限を設定できます。
すべてのリソース作成および変更要求は、プロジェクトのそれぞれの LimitRange オブジェクトに対して評価されます。リソースが列挙される制約のいずれかに違反する場合、そのリソースは拒否されます。
以下は、Pod、コンテナー、イメージ、イメージストリーム、または PVC のすべてのコンポーネントの制限範囲オブジェクトを示しています。同じオブジェクト内のこれらのコンポーネントのいずれかまたはすべての制限を設定できます。リソースを制御するプロジェクトごとに、異なる制限範囲オブジェクトを作成します。
コンテナーの制限オブジェクトのサンプル
apiVersion: "v1"
kind: "LimitRange"
metadata:
name: "resource-limits"
spec:
limits:
- type: "Container"
max:
cpu: "2"
memory: "1Gi"
min:
cpu: "100m"
memory: "4Mi"
default:
cpu: "300m"
memory: "200Mi"
defaultRequest:
cpu: "200m"
memory: "100Mi"
maxLimitRequestRatio:
cpu: "10"
8.4.1.1. コンポーネントの制限について
以下の例は、それぞれのコンポーネントの制限範囲パラメーターを示しています。これらの例は明確にするために使用されます。必要に応じて、いずれかまたはすべてのコンポーネントの単一の LimitRange オブジェクトを作成できます。
8.4.1.1.1. コンテナーの制限
制限範囲により、Pod の各コンテナーが特定のプロジェクトについて要求できる最小および最大 CPU およびメモリーを指定できます。コンテナーがプロジェクトに作成される場合、Pod 仕様のコンテナー CPU およびメモリー要求は LimitRange オブジェクトに設定される値に準拠する必要があります。そうでない場合には、Pod は作成されません。
-
コンテナーの CPU またはメモリーの要求および制限は、
LimitRangeオブジェクトで指定されるコンテナーのminリソース制約以上である必要があります。 コンテナーの CPU またはメモリーの要求と制限は、
LimitRangeオブジェクトで指定されたコンテナーのmaxリソース制約以下である必要があります。LimitRangeオブジェクトがmaxCPU を定義する場合、Pod仕様に CPUrequest値を定義する必要はありません。ただし、制限範囲で指定される最大 CPU 制約を満たす CPUlimit値を指定する必要があります。コンテナー制限の要求に対する比率は、
LimitRangeオブジェクトに指定されるコンテナーのmaxLimitRequestRatio値以下である必要があります。LimitRangeオブジェクトでmaxLimitRequestRatio制約を定義する場合、新規コンテナーにはrequestおよびlimit値の両方が必要になります。OpenShift Container Platform は、limitをrequestで除算して制限の要求に対する比率を算出します。この値は、1 より大きい正の整数でなければなりません。たとえば、コンテナーの
limit値がcpu: 500で、request値がcpu: 100である場合、cpuの要求に対する制限の比は5になります。この比率はmaxLimitRequestRatioより小さいか等しくなければなりません。
Pod 仕様でコンテナーリソースメモリーまたは制限を指定しない場合、制限範囲オブジェクトに指定されるコンテナーの default または defaultRequest CPU およびメモリー値はコンテナーに割り当てられます。
コンテナー LimitRange オブジェクトの定義
apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: "Container" max: cpu: "2" 2 memory: "1Gi" 3 min: cpu: "100m" 4 memory: "4Mi" 5 default: cpu: "300m" 6 memory: "200Mi" 7 defaultRequest: cpu: "200m" 8 memory: "100Mi" 9 maxLimitRequestRatio: cpu: "10" 10
- 1
- 制限範囲オブジェクトの名前です。
- 2
- Pod の単一コンテナーが要求できる CPU の最大量です。
- 3
- Pod の単一コンテナーが要求できるメモリーの最大量です。
- 4
- Pod の単一コンテナーが要求できる CPU の最小量です。
- 5
- Pod の単一コンテナーが要求できるメモリーの最小量です。
- 6
- コンテナーが使用できる CPU のデフォルト量 (
Pod仕様に指定されていない場合)。 - 7
- コンテナーが使用できるメモリーのデフォルト量 (
Pod仕様に指定されていない場合)。 - 8
- コンテナーが要求できる CPU のデフォルト量 (
Pod仕様に指定されていない場合)。 - 9
- コンテナーが要求できるメモリーのデフォルト量 (
Pod仕様に指定されていない場合)。 - 10
- コンテナーの要求に対する制限の最大比率。
8.4.1.1.2. Pod の制限
制限範囲により、所定プロジェクトの Pod 全体でのすべてのコンテナーの CPU およびメモリーの最小および最大の制限を指定できます。コンテナーをプロジェクトに作成するには、Pod 仕様のコンテナー CPU およびメモリー要求は LimitRange オブジェクトに設定される値に準拠する必要があります。そうでない場合には、Pod は作成されません。
Pod 仕様でコンテナーリソースメモリーまたは制限を指定しない場合、制限範囲オブジェクトに指定されるコンテナーの default または defaultRequest CPU およびメモリー値はコンテナーに割り当てられます。
Pod のすべてのコンテナーにおいて、以下を満たしている必要があります。
-
コンテナーの CPU またはメモリーの要求および制限は、
LimitRangeオブジェクトに指定される Pod のminリソース制約以上である必要があります。 -
コンテナーの CPU またはメモリーの要求および制限は、
LimitRangeオブジェクトに指定される Pod のmaxリソース制約以下である必要があります。 -
コンテナー制限の要求に対する比率は、
LimitRangeオブジェクトに指定されるmaxLimitRequestRatio制約以下である必要があります。
Pod LimitRange オブジェクト定義
apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: "Pod" max: cpu: "2" 2 memory: "1Gi" 3 min: cpu: "200m" 4 memory: "6Mi" 5 maxLimitRequestRatio: cpu: "10" 6
8.4.1.1.3. イメージの制限
LimitRange オブジェクトを使用すると、OpenShift イメージレジストリーにプッシュできるイメージの最大サイズを指定できます。
OpenShift イメージレジストリーにイメージをプッシュする場合、以下を満たす必要があります。
-
イメージのサイズは、
LimitRangeオブジェクトで指定されるイメージのmaxサイズ以下である必要があります。
イメージ LimitRange オブジェクトの定義
apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: openshift.io/Image max: storage: 1Gi 2
制限を超える Blob がレジストリーにアップロードされないようにするために、クォータを実施するようレジストリーを設定する必要があります。
イメージのサイズは、アップロードされるイメージのマニフェストで常に表示される訳ではありません。これは、とりわけ Docker 1.10 以上で作成され、v2 レジストリーにプッシュされたイメージの場合に該当します。このようなイメージが古い Docker デーモンでプルされると、イメージマニフェストはレジストリーによってスキーマ v1 に変換されますが、この場合サイズ情報が欠落します。イメージに設定されるストレージの制限がこのアップロードを防ぐことはありません。
現在、この問題 への対応が行われています。
8.4.1.1.4. イメージストリームの制限
LimitRange オブジェクトにより、イメージストリームの制限を指定できます。
各イメージストリームについて、以下が当てはまります。
-
ImageStream仕様のイメージタグ数は、LimitRangeオブジェクトのopenshift.io/image-tags制約以下である必要があります。 -
ImageStream仕様のイメージへの一意の参照数は、制限範囲オブジェクトのopenshift.io/images制約以下である必要があります。
イメージストリーム LimitRange オブジェクト定義
apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: openshift.io/ImageStream max: openshift.io/image-tags: 20 2 openshift.io/images: 30 3
openshift.io/image-tags リソースは、一意のイメージ参照を表します。使用できる参照は、ImageStreamTag、ImageStreamImage および DockerImage になります。タグは、oc tag および oc import-image コマンドを使用して作成できます。内部参照か外部参照であるかの区別はありません。ただし、ImageStream の仕様でタグ付けされる一意の参照はそれぞれ 1 回のみカウントされます。内部コンテナーイメージレジストリーへのプッシュを制限しませんが、タグの制限に役立ちます。
openshift.io/images リソースは、イメージストリームのステータスに記録される一意のイメージ名を表します。これにより、OpenShift イメージレジストリーにプッシュできるイメージ数を制限できます。内部参照か外部参照であるかの区別はありません。
8.4.1.1.5. 永続ボリューム要求 (PVC) の制限
LimitRange オブジェクトにより、永続ボリューム要求 (PVC) で要求されるストレージを制限できます。
プロジェクトのすべての永続ボリューム要求 (PVC) において、以下が一致している必要があります。
-
永続ボリューム要求 (PVC) のリソース要求は、
LimitRangeオブジェクトに指定される PVC のmin制約以上である必要があります。 -
永続ボリューム要求 (PVC) のリソース要求は、
LimitRangeオブジェクトに指定される PVC のmax制約以下である必要があります。
PVC LimitRange オブジェクト定義
apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: "PersistentVolumeClaim" min: storage: "2Gi" 2 max: storage: "50Gi" 3
8.4.2. 制限範囲の作成
制限範囲をプロジェクトに適用するには、以下を実行します。
必要な仕様で
LimitRangeオブジェクトを作成します。apiVersion: "v1" kind: "LimitRange" metadata: name: "resource-limits" 1 spec: limits: - type: "Pod" 2 max: cpu: "2" memory: "1Gi" min: cpu: "200m" memory: "6Mi" - type: "Container" 3 max: cpu: "2" memory: "1Gi" min: cpu: "100m" memory: "4Mi" default: 4 cpu: "300m" memory: "200Mi" defaultRequest: 5 cpu: "200m" memory: "100Mi" maxLimitRequestRatio: 6 cpu: "10" - type: openshift.io/Image 7 max: storage: 1Gi - type: openshift.io/ImageStream 8 max: openshift.io/image-tags: 20 openshift.io/images: 30 - type: "PersistentVolumeClaim" 9 min: storage: "2Gi" max: storage: "50Gi"
- 1
LimitRangeオブジェクトの名前を指定します。- 2
- Pod の制限を設定するには、必要に応じて CPU およびメモリーの最小および最大要求を指定します。
- 3
- コンテナーの制限を設定するには、必要に応じて CPU およびメモリーの最小および最大要求を指定します。
- 4
- オプション:コンテナーの場合、
Pod仕様で指定されていない場合、コンテナーが使用できる CPU またはメモリーのデフォルト量を指定します。 - 5
- オプション:コンテナーの場合、
Pod仕様で指定されていない場合、コンテナーが要求できる CPU またはメモリーのデフォルト量を指定します。 - 6
- オプション:コンテナーの場合、
Pod仕様で指定できる要求に対する制限の最大比率を指定します。 - 7
- Image オブジェクトに制限を設定するには、OpenShift イメージレジストリーにプッシュできるイメージの最大サイズを設定します。
- 8
- イメージストリームの制限を設定するには、必要に応じて
ImageStreamオブジェクトファイルにあるイメージタグおよび参照の最大数を設定します。 - 9
- 永続ボリューム要求 (PVC) の制限を設定するには、要求できるストレージの最小および最大量を設定します。
オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <limit_range_file> -n <project> 1- 1
- 作成した YAML ファイルの名前と、制限を適用する必要のあるプロジェクトを指定します。
8.4.3. 制限の表示
Web コンソールでプロジェクトの Quota ページに移動し、プロジェクトで定義される制限を表示できます。
CLI を使用して制限範囲の詳細を表示することもできます。
プロジェクトで定義される
LimitRangeオブジェクトの一覧を取得します。たとえば、demoproject というプロジェクトの場合は以下のようになります。$ oc get limits -n demoproject
NAME CREATED AT resource-limits 2020-07-15T17:14:23Z
関連のある
LimitRangeオブジェクトを記述します。 たとえば、resource-limits制限範囲の場合は以下のようになります。$ oc describe limits resource-limits -n demoproject
Name: resource-limits Namespace: demoproject Type Resource Min Max Default Request Default Limit Max Limit/Request Ratio ---- -------- --- --- --------------- ------------- ----------------------- Pod cpu 200m 2 - - - Pod memory 6Mi 1Gi - - - Container cpu 100m 2 200m 300m 10 Container memory 4Mi 1Gi 100Mi 200Mi - openshift.io/Image storage - 1Gi - - - openshift.io/ImageStream openshift.io/image - 12 - - - openshift.io/ImageStream openshift.io/image-tags - 10 - - - PersistentVolumeClaim storage - 50Gi - - -
8.4.4. 制限範囲の削除
プロジェクトで制限を実施しないように有効な LimitRange オブジェクト削除するには、以下を実行します。
以下のコマンドを実行します。
$ oc delete limits <limit_name>