第5章 Container Storage Interface (CSI) の使用

5.1. CSI ボリュームの設定

Container Storage Interface (CSI) により、OpenShift Container Platform は CSI インターフェイス を永続ストレージとして実装するストレージバックエンドからストレージを使用できます。

注記

OpenShift Container Platform 4.12 は、CSI 仕様 のバージョン 1.6.0 をサポートします。

5.1.1. CSI アーキテクチャー

CSI ドライバーは通常、コンテナーイメージとして提供されます。これらのコンテナーは、実行先の OpenShift Container Platform を認識しません。OpenShift Container Platform でサポートされる CSI 互換のストレージバックエンドを使用するには、クラスター管理者は、OpenShift Container Platform とストレージドライバーの橋渡しとして機能するコンポーネントを複数デプロイする必要があります。

以下の図では、OpenShift Container Platform クラスターの Pod で実行されるコンポーネントの俯瞰図を示しています。

CSI コンポーネントのアーキテクチャー

異なるストレージバックエンドに対して複数の CSI ドライバーを実行できます。各ドライバーには、独自の外部コントローラーのデプロイメントおよびドライバーと CSI レジストラーを含むデーモンセットが必要です。

5.1.1.1. 外部の CSI コントローラー

外部の CSI コントローラーは、5 つのコンテナーを含む 1 つまたは複数の Pod を配置するデプロイメントです。

  • スナップショットコンテナーは、VolumeSnapshot および VolumeSnapshotContent オブジェクトを監視し、VolumeSnapshotContent オブジェクトの作成および削除を担当します。
  • リサイザーコンテナーは、PersistentVolumeClaim オブジェクトでより多くのストレージを要求した場合に、PersistentVolumeClaim の更新を監視し、CSI エンドポイントに対して ControllerExpandVolume 操作をトリガーするサイドカーコンテナーです。
  • OpenShift Container Platform からの attach および detach の呼び出しを適切な CSI ドライバーへの ControllerPublish および ControllerUnpublish 呼び出しに変換する外部の CSI アタッチャーコンテナー。
  • OpenShift Container Platform からの provision および delete 呼び出しを適切な CSI ドライバーへの CreateVolume および DeleteVolume 呼び出しに変換する外部の CSI プロビジョナーコンテナー。
  • CSI ドライバーコンテナー。

CSI アタッチャーおよび CSI プロビジョナーコンテナーは、Unix Domain Socket を使用して、CSI ドライバーコンテナーと通信し、CSI の通信が Pod 外に出ないようにします。CSI ドライバーは Pod 外からはアクセスできません。

注記

通常、attachdetachprovision および delete 操作では、CSI ドライバーがストレージバックエンドに対する認証情報を使用する必要があります。CSI コントローラー Pod をインフラストラクチャーノードで実行し、コンピュートノードで致命的なセキュリティー違反が発生した場合でも認証情報がユーザープロセスに漏洩されないようにします。

注記

外部のアタッチャーは、サードパーティーの attach または detach 操作をサポートしない CSI ドライバーに対しても実行する必要があります。外部のアタッチャーは、CSI ドライバーに対して ControllerPublish または ControllerUnpublish 操作を実行しません。ただし、必要な OpenShift Container Platform 割り当て API を実装できるように依然として実行する必要があります。

5.1.1.2. CSI ドライバーのデーモンセット

CSI ドライバーのデーモンセットは、OpenShift Container Platform が CSI ドライバーによって提供されるストレージをノードにマウントして、永続ボリューム (PV) としてユーザーワークロード (Pod) で使用できるように、全ノードで Pod を実行します。CSI ドライバーがインストールされた Pod には、以下のコンテナーが含まれます。

  • ノード上で実行中の openshift-node サービスに CSI ドライバーを登録する CSI ドライバーレジストラー。このノードで実行中の openshift-node プロセスは、ノードで利用可能な Unix Domain Socket を使用して CSI ドライバーに直接接続します。
  • CSI ドライバー

ノードにデプロイされた CSI ドライバーには、ストレージバックエンドへの認証情報をできる限り少なく指定する必要があります。OpenShift Container Platform は、NodePublish/NodeUnpublish および NodeStage/NodeUnstage (実装されている場合) などの CSI 呼び出しのノードプラグインセットのみを使用します。

5.1.2. OpenShift Container Platform でサポートされる CSI ドライバー

OpenShift Container Platform はデフォルトで特定の CSI ドライバーをインストールし、In-tree(インツリー) ボリュームプラグインでは不可能なユーザーストレージオプションを提供します。

これらのサポートされるストレージアセットにマウントする CSI でプロビジョニングされた永続ボリュームを作成するには、OpenShift Container Platform は必要な CSI ドライバー Operator、CSI ドライバー、および必要なストレージクラスをインストールします。Operator およびドライバーのデフォルト namespace についての詳細は、特定の CSI ドライバー Operator のドキュメントを参照してください。

以下の表は、OpenShift Container Platform と共にインストールされる CSI ドライバーと、ボリュームスナップショット、クローン作成、およびサイズ変更などの対応する CSI 機能について説明しています。

表5.1 OpenShift Container Platform でサポートされる CSI ドライバーおよび機能

CSI ドライバーCSI ボリュームスナップショットCSI のクローン作成CSI のサイズ変更

AliCloud Disk

 ✅

 -

 ✅

AWS EBS

 ✅

 -

 ✅

AWS EFS

 -

 -

 -

Google Compute Platform (GCP) 永続ディスク (PD)

  ✅

  ✅

 ✅

GCP ファイルストア

 ✅

 -

 ✅

IBM VPC Block

 ✅[3]

 -

 ✅[3]

Microsoft Azure Disk

 ✅

 ✅

 ✅

Microsoft Azure Stack Hub

 ✅

 ✅

 ✅

Microsoft Azure File

 -

 -

 ✅

OpenStack Cinder

 ✅

 ✅

 ✅

OpenShift Data Foundation

 ✅

 ✅

 ✅

OpenStack Manila

 ✅

 -

 -

Red Hat Virtualization (oVirt)

 -

 -

 ✅

VMware vSphere

 ✅[1]

 -

 ✅[2]

1.

  • vCenter Server と ESXi の両方に、vSphere バージョン 7.0 Update 3 以降が必要です。
  • ファイル共有ボリュームはサポートされません。

2.

  • オフラインボリューム拡張: 必要な vSphere の最低バージョンは 6.7 Update 3 P06 です。
  • オンラインボリューム拡張: 必要な vSphere の最低バージョンは 7.0 Update 2 です。

3.

  • オフラインスナップショットまたはサイズ変更はサポートされていません。ボリュームは、実行中の Pod にアタッチする必要があります。
重要

CSI ドライバーが上記の表に記載されていない場合は、CSI ストレージベンダーが提供するインストール手順に従って、サポートされている CSI 機能を使用する必要があります。

5.1.3. 動的プロビジョニング

永続ストレージの動的プロビジョニングは、CSI ドライバーおよび基礎となるストレージバックエンドの機能により異なります。CSI ドライバーのプロバイダーは、OpenShift Container Platform でのストレージクラスの作成方法および設定に利用でじるパラメーターについての文書を作成する必要があります。

作成されたストレージクラスは、動的プロビジョニングを有効にするために設定できます。

手順

  • デフォルトのストレージクラスを作成します。 これにより、特殊なストレージクラスを必要としないすべての PVC がインストールされた CSI ドライバーでプロビジョニングされます。

    # oc create -f - << EOF
    apiVersion: storage.k8s.io/v1
    kind: StorageClass
    metadata:
      name: <storage-class> 1
      annotations:
        storageclass.kubernetes.io/is-default-class: "true"
    provisioner: <provisioner-name> 2
    parameters:
    EOF
    1
    作成されるストレージクラスの名前。
    2
    インストールされている CSI ドライバーの名前。

5.1.4. CSI ドライバーの使用例

以下の例では、テンプレートを変更せずにデフォルトの MySQL テンプレートをインストールします。

前提条件

  • CSI ドライバーがデプロイされている。
  • 動的プロビジョニング用にストレージクラスが作成されている。

手順

  • MySQL テンプレートを作成します。

    # oc new-app mysql-persistent

    出力例

    --> Deploying template "openshift/mysql-persistent" to project default
    ...

    # oc get pvc

    出力例

    NAME              STATUS    VOLUME                                   CAPACITY
    ACCESS MODES   STORAGECLASS   AGE
    mysql             Bound     kubernetes-dynamic-pv-3271ffcb4e1811e8   1Gi
    RWO            cinder         3s

5.1.5. ボリュームポピュレーター

ボリュームポピュレーターは、永続ボリュームクレーム (PVC) 仕様の datasource フィールドを使用して、事前に入力されたボリュームを作成します。

ボリュームの作成は現在有効になっており、テクノロジープレビュー機能としてサポートされています。ただし、OpenShift Container Platform にはボリュームポピュレーターは同梱されていません。

重要

ボリュームポピュレーターはテクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

ボリュームポピュレーターの詳細は、Kubernetes ボリュームポピュレーター を参照してください。