12.3. Source-to-Image イメージのカスタマイズ

Source-to-Image (S2I) ビルダーイメージには、assemble および run スクリプトが含まれますが、それらのスクリプトのデフォルト動作はすべてのユーザーに適している訳ではありません。デフォルトのスクリプトを含む S2I ビルダーの動作をカスタマイズできます。

12.3.1. イメージに埋め込まれたスクリプトの呼び出し

ビルダーイメージは、最も一般的なユースケースを含む、独自のバージョンの source-to-image (S2I) スクリプトを提供します。これらのスクリプトで各自のニーズが満たされない場合に向け、S2I には .s2i/bin ディレクトリーにカスタムのスクリプトを追加して上書きできる手段があります。ただし、カスタムのスクリプトを追加すると、標準のスクリプトを完全に置き換えてしまいます。スクリプトの置き換えは許容できる場合もありますが、場合によっては、イメージに含まれるスクリプトのロジックを保持しつつ、スクリプトの前後にコマンドをいくつか実行できる場合があります。標準的なスクリプトを再利用するには、カスタムのロジックを実行し、イメージ内のデフォルトのスクリプトに追加の作業を委任するラッパースクリプトを作成できます。

手順

  1. ビルダーイメージ内のスクリプトの場所を判別するには、io.openshift.s2i.scripts-url ラベルの値を確認します。

    $ podman inspect --format='{{ index .Config.Labels "io.openshift.s2i.scripts-url" }}' wildfly/wildfly-centos7

    出力例

    image:///usr/libexec/s2i

    wildfly/wildfly-centos7 ビルダーイメージを検査し、スクリプトが /usr/libexec/s2i ディレクトリーにあることを確認できます。

  2. 他のコマンドでラップされた標準スクリプトのいずれかの呼び出しを含むスクリプトを作成します。

    .s2i/bin/assemble スクリプト

    #!/bin/bash
    echo "Before assembling"
    
    /usr/libexec/s2i/assemble
    rc=$?
    
    if [ $rc -eq 0 ]; then
        echo "After successful assembling"
    else
        echo "After failed assembling"
    fi
    
    exit $rc

    以下の例では、メッセージを出力するカスタムの assemble スクリプトを表示し、イメージから標準の assemble スクリプトを実行して、assemble スクリプトの終了コードに応じて別のメッセージを出力します。

    重要

    run スクリプトをラップする場合には、スクリプトの呼び出しに exec を実行して、シグナルが正しく処理されるようにする必要があります。exec を使用すると、デフォルトのイメージ実行スクリプトを呼び出した後に追加でコマンドを実行できなくなります。

    .s2i/bin/run スクリプト

    #!/bin/bash
    echo "Before running application"
    exec /usr/libexec/s2i/run