第1章 マシン管理の概要

マシン管理を使用して、Amazon Web Services (AWS)、Azure、Google Cloud Platform (GCP)、OpenStack、Red Hat Virtualization (RHV)、および vSphere などの基礎となるインフラストラクチャーを柔軟に使用して OpenShift Container Platform クラスターを管理できます。クラスターを制御し、特定のワークロードポリシーに基づいてクラスターをスケールアップやスケールダウンするなどの自動スケーリングを実行できます。

OpenShift Container Platform クラスターは、負荷の増減時に水平にスケールアップおよびスケールダウンできます。ワークロードの変更に適応するクラスターがあることが重要になります。

マシン管理は カスタムリソース定義 (CRD) として実装されます。CRD オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト Kind を定義し、Kubernetes API サーバーはオブジェクトのライフサイクル全体を処理できます。

Machine API Operator は以下のリソースをプロビジョニングします。

  • MachineSet
  • マシン
  • Cluster Autoscaler
  • Machine Autoscaler
  • Machine Health Checks

1.1. マシン API の概要

マシン API は、アップストリームのクラスター API プロジェクトおよびカスタム OpenShift Container Platform リソースに基づく重要なリソースの組み合わせです。

OpenShift Container Platform 4.11 クラスターの場合、マシン API はクラスターインストールの終了後にすべてのノードホストのプロビジョニングの管理アクションを実行します。このシステムにより、OpenShift Container Platform 4.11 はパブリックまたはプライベートのクラウドインフラストラクチャーに加えて弾力性があり、動的なプロビジョニング方法を提供します。

以下の 2 つのリソースは重要なリソースになります。

Machines
ノードのホストを記述する基本的なユニットです。マシンには、複数の異なるクラウドプラットフォーム用に提供されるコンピュートノードのタイプを記述する providerSpec 仕様があります。たとえば、コンピュートノードのマシンタイプは、特定のマシンタイプと必要なメタデータを定義する場合があります。
マシンセット

MachineSet リソースはマシンのグループです。マシンセットとマシンの関係は、レプリカセットと Pod の関係と同様です。マシンを追加する必要がある場合や、マシンの数を縮小したりする必要がある場合、コンピューティングのニーズに応じてマシンセットの replicas フィールドを変更します。

警告

コントロールプレーンマシンは、マシンセットで管理することはできません。

以下のカスタムリソースは、クラスターに機能を追加します。

Machine Autoscaler

MachineAutoscaler リソースは、クラウド内のコンピューティングマシンを自動的にスケーリングします。指定したコンピューティングマシンセット内のノードの最小および最大スケーリング境界を設定でき Machine Autoscaler はそのノード範囲を維持します。

MachineAutoscaler オブジェクトは ClusterAutoscaler オブジェクトの設定後に有効になります。ClusterAutoscaler および MachineAutoscaler リソースは、どちらも ClusterAutoscalerOperator オブジェクトによって利用可能にされます。

Cluster Autoscaler
このリソースはアップストリームの Cluster Autoscaler プロジェクトに基づいています。OpenShift Container Platform の実装では、これはマシンセット API を拡張することによってクラスター API に統合されます。コア、ノード、メモリー、および GPU などのリソースのクラスター全体でのスケーリング制限を設定できます。優先順位を設定することにより、重要度の低い Pod のために新規ノードがオンラインにならないようにクラスターで Pod の優先順位付けを実行できます。また、スケーリングポリシーを設定してノードをスケールダウンせずにスケールアップできるようにすることもできます。
マシンのヘルスチェック
MachineHealthCheck リソースはマシンの正常でない状態を検知し、マシンを削除し、サポートされているプラットフォームでは新規マシンを作成します。

OpenShift Container Platform バージョン 3.11 では、クラスターでマシンのプロビジョニングが管理されないためにマルチゾーンアーキテクチャーを容易にデプロイメントすることができませんでした。しかし、OpenShift Container Platform バージョン 4.1 以降、このプロセスはより簡単になりました。それぞれのマシンセットのスコープが単一ゾーンに設定されるため、インストールプログラムはユーザーに代わって、アベイラビリティーゾーン全体にマシンセットを送信します。さらに、コンピューティングは動的に展開されるため、ゾーンに障害が発生した場合の、マシンのリバランスが必要な場合に使用するゾーンを常に確保できます。複数のアベイラビリティーゾーンを持たないグローバル Azure リージョンでは、アベイラビリティーセットを使用して高可用性を確保できます。Autoscaler はクラスターの有効期間中にベストエフォートでバランシングを提供します。