9.6. JBoss セキュリティーパッチの深刻度および影響度

JBoss のセキュリティー欠陥のリスクを伝達するため、Red Hat は low (低)、moderate (中)、important (高)、critical (重大) の 4 段階の深刻度を使用します。さらに、欠陥の影響度を特定するため、CVSS (Common Vulnerability Scoring System: 共通脆弱性評価システム) のバージョン 2 をベースにしたスコアも使用します。

表9.2 JBoss セキュリティーパッチの深刻度

深刻度説明
Critical (重大)
非認証のリモート攻撃者が簡単に悪用でき、ユーザーとやりとりしなくてもシステムが危険にさらされる (任意コード実行) 欠陥にこの深刻度が適用されます。ワームによって悪用される脆弱性になります。認証されたリモートユーザー、ローカルユーザー、または想定外の設定を必要とする欠陥は重大な欠陥とは分類されません。
Important (高)
リソースの機密性、整合性、または可用性が簡単に危険にさらされる欠陥にこの深刻度が付けられます。ローカルユーザーが権限を取得できる場合、非認証のリモートユーザーが認証によって保護されるリソースを閲覧できる場合、認証されたリモートユーザーが任意コードを実行できる場合、あるいはサービス拒否がローカルまたはリモートユーザーによって引き起こされる場合、この脆弱性タイプになります。
Moderate (中)
悪用するのは比較的困難であっても、リソースの機密性、整合性、または可用性が一部危険にさらされる原因となる欠陥にこの深刻度が付けられます。重大または重要な影響を与える可能性はあっても、欠陥の技術評価を基にするとそれほど簡単には悪用できなかったり、想定外の設定に影響しない脆弱性のタイプになります。
Low (低)
セキュリティーに影響する問題で、前述の深刻度に該当しないものにこの深刻度が適用されます。想定外の状況でのみ悪用される可能性があるとみられる脆弱性や、悪用されても影響が最小限にとどまる脆弱性のタイプになります。
CVSS v2 スコアの影響度は、機密性 (C: Confidentiality)、整合性 (I: Integrity)、可用性 (A: Availability) の 3 つの潜在的な影響を組み合わせて評価します。これら 3 つの要素に、なし (N: None)、一部的 (P: Partial)、または全面的 (C: Complete) のいずれかを評価します。
JBoss サーバープロセスは非特権ユーザーとして実行され、ホストのオペレーティングシステムから分離されているため、JBoss のセキュリティー欠陥に対する影響の評価は N または P のみになります。

例9.1 CVSS v2 の影響スコア

以下の例は、欠陥の悪用によるシステムの機密性への影響はなく、システムの整合性は一部影響があり、システムの可用性は全面的に影響がある場合 (カーネルクラッシュなど、システムが完全に使用できなくなる場合) の CVSS v2 の影響スコアを表しています。
C:N/I:P/A:C
深刻度と CVSS スコアに応じて、固有の環境で発生する問題のリスクを把握し、状況に応じてアップグレードをスケジュールできます。
CVSS2 の詳細は、「CVSS2 Guide」を参照してください。