10.7.4. トランザクションのネスト

ネストトランザクションは、JTS API による分散トランザクションを使用する場合のみサポートされます。また、多くのデータベースベンダーはネストトランザクションをサポートしないため、ネストトランザクションをアプリケーションに追加する前に、データベースベンダーにお問い合わせください。
OTS 仕様では、ネストトランザクションのタイプが制限されます。サブトランザクションコミットプロトコルは最上位トランザクションと同じです。prepare フェーズと commit フェーズまたは abort フェーズの 2 つのフェーズがあります。このようなネストトランザクションを行うと、サブトランザクションコーディネーターがコミット中にリソースがコミットできないことを検出するなどの、不整合な結果が生じることがあります。コーディネーターはコミットされたリソースを中止するよう指示できず、ヒューリスティックな結果が生じます。この厳密な OTS のネストトランザクションは、CosTransactions::SubtransactionAwareResource インターフェースを介して利用できます。
JTS の JBoss Enterprise Application Platform の実装はこのタイプのネストトランザクションをサポートします。また、厳密な OTS モデルで発生する可能性がある問題を回避するマルチフェーズコミットプロトコルを使用するネストトランザクションのタイプもサポートします。このタイプのネストトランザクションは ArjunaOTS::ArjunaSubtranAwareResource を介して利用でき、ネストトランザクションをコミットするたびに 2 相コミットプロトコルにより駆動されます。
ネストトランザクションを作成するには、親トランザクション内で新しいトランザクションを作成します。トランザクションの作成については、「トランザクションの開始」を参照してください。
ネストトランザクションの効果は、エンクローズトランザクションのコミットまたはロールバックに依存します。エンクローズトランザクションが中止された場合は、ネストトランザクションがコミットされた場合であっても効果はリカバリされます。