Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux

15.2. 電子メールプログラムの分類

一般的に、すべての電子メールアプリケーションは 3 つのタイプのうち 1 つ以上に分類されます。それぞれの分類は、電子メールメッセージの移動および管理のプロセスにおいてそれぞれ特定のロールを果たします。大半のユーザーはメッセージの送受信に使用する特定の電子メールプログラムだけを認識しますが、電子メールを正しい送信先に届けるにはすべての電子メールプログラムが重要になります。

15.2.1. メール転送エージェント (Mail Transport Agent)

MTA (メール転送エージェント) は、SMTP を使用してホスト間で電子メールメッセージを転送します。メッセージは目的の送信先に移動する時、様々な MTA に関わることがあります。

マシン間のメッセージ配信は簡単に見えるかもしれませんが、配信のためにある MTA がメッセージを受け入れることが可能か、受け入れるべきかを判断する過程全体は非常に複雑です。その上、スパムの問題により、特定の MTA の使用は通常 MTA の設定または MTA が常駐するネットワークのアクセス設定により制限されます。

メールクライアントプログラムの中には、メール送信時に MTA として機能するものもあります。しかし、このようなメールクライアントプログラムは、アウトバウンドメッセージを MTA のみに送信することができるため、このようなメールクライアントプログラムは、メッセージを目的の受信者のメールサーバーに直接送信することはできません。この機能は、アプリケーションを実行しているホストに独自の MTA がない場合に便利です。

Red Hat Enterprise Linux では PostfixSendmail の 2 つの MTA を提供しています。これらメールクライアントプログラムは MTA として動作する必要はありません。Red Hat Enterprise Linux には、Fetchmail と呼ばれる特別な目的の MTA も含まれています。

Postfix、Sendmail、Fetchmail の詳細は 「メール転送エージェント (MTA)」 を参照してください。

15.2.2. メール配信エージェント (MDA)

MDA (メール配信エージェント) は MTA により呼び出され、適切なユーザーのメールボックスに受信メールをファイル保存します。多くの場合、MDA は実際には mail や Procmail などの LDA (ローカル配信エージェント) です。

電子メールクライアントアプリケーションが読み取り可能なポイントに配信されるメッセージを実際に処理するプログラムは、いずれも MDA と見なすことができます。このため、一部の MTA (Sendmail、Postfix など) は、ローカルユーザーのメールスプールファイルに新規の電子メールメッセージを追加する時に、MDA のロールを果たすことができます。通常、MDA はシステム間でのメッセージの転送やユーザーインターフェイスの提供は行いません。MDA は、ローカルマシン上でメッセージの配信と並べ替えを行い、電子メールクライアントアプリケーションがアクセスできるようにします。

15.2.3. メールユーザーエージェント

Mail User Agent (MUA) は、電子メールクライアントアプリケーションと同義語です。MUA は、最低限、電子メールメッセージを読んで作成するプログラムです。MUA は以下のタスクを処理できます。

  • POP または IMAP プロトコルを使用したメッセージの取得
  • メッセージを保存するメールボックスを設定します。
  • MTA に出力メッセージを送信します。

MUA は、ThunderbirdEvolution のようなグラフィカルな場合と、mail または Mutt などの単純なテキストベースインターフェイスになります。