2.6. 物理ストレージ

このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 6 と Red Hat Enterprise Linux 7 との間でなされた物理ストレージと関連設定ツールのサポート変更の概要について説明しています。

2.6.1. 起動時のマウント動作の変更

ストレージデバイスが起動時にマウントされるよう設定され、そのデバイスを見つけることができない、またはそのデバイスが正常にマウントされない場合、Red Hat Enterprise Linux 7 は起動に失敗します。これは、重要なストレージデバイスなしでシステムが起動することを防ぐために意図的に変更した動作です。Red Hat Enterprise Linux の以前のバージョンは、起動時にマウントされるよう設定されたすべてのストレージデバイスが検出されたか、正しくマウントされたかに関係なく起動されました。
デバイスのシステムが起動することを防がないようにする必要がある場合は、以下に示されたように nofail オプションでデバイスをマークできます。
/dev/essential-disk			/essential			xfs	auto,defaults				0 0
/dev/non-essential-disk		/non-essential		xfs	auto,defaults,nofail		0 0

2.6.2. LVM スナップショットをロールバックメカニズムとして使用

警告

LVM スナップショットは、第 1 のロールバック方法としては推奨されません。アップグレード中にはシステム全体 (ユーザーファイルを除く) が上書きされます。このため、システムのスナップショットは元のデータセットとほとんど同じサイズになります。
さらに、スナップショットには /boot パーティションが含まれないことから、通常のバックアッププロセスよりもエラーが発生しやすくなります。
Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 にアップグレードの際には、完全なバックアップをとり、これを第 1 のロールバック方法として使用することを Red Hat では推奨しています。LVM スナップショットは、2 番目のロールバック方法としてのみ使用してください。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、ユーザーは自分の論理ボリューム上で残っているスペースをスナップショットのストレージスペースとして使用することができます。アップグレードや移行が失敗した場合は、システムはこのスナップショットに戻すことができます。
LVM スナップショットを第 2 のロールバック方法として使用したい場合は、完全なスナップショットに余裕を持たせるため、スペースを追加する必要があるかもしれません。スペースの追加は、以下のいずれかで実行できます。
  • 新たなディスクを追加します。この方法については、『Red Hat Enterprise Linux 7 Storage Administration Guide』 を参照してください。こちらから入手できます http://access.redhat.com/site/documentation/Red_Hat_Enterprise_Linux/
  • parted を使って、既存のパーティションに割り当てられていない空きスペースをチェックします。
  • lsblk を使って、空きパーティションもしくは削除して空きスペースにできるパーティションをチェックします。
  • vgdisplay を使って、論理ボリュームに割り当てられていないボリュームグループに空き領域があるかをチェックします。
  • df を使って、空き領域があり縮小可能なファイルシステムをチェックします。この場合、論理ボリュームもしくはパーティションを縮小して空き領域にすることができます。
ロールバックに LVM スナップショットを使用する際には、以下の制限がある場合があることに注意してください。
  • スナップショットのサイズは自動的に調整されません。パーティションに対してスナップショットが大きくなり過ぎた場合は、スナップショットが無効になる可能性があり、その場合はロールバックが失敗することになります。このため、スナップショットの作成前に、システム全体のスナップショットに十分な大きさの領域を割り当てることが必須となります。root スナップショットのサイズ変更が必要な場合は、元の root デバイスをアンマウントしてサイズを変更している間に root デバイスとして使用可能なライブ CD などの新たなデバイスが必要になります。
  • スナップショットのコピーオンライトのデバイスは複製されず、システムが複製されるかどうかに関わらず、単一デバイス上に置かれます。このデバイスが失敗してスナップショットが失われた場合、ロールバックは不可能となります。Red Hat では、mdraid による物理ボリュームの使用もしくは複数のスナップショットを使ったディスクの分割を推奨しています。複数のスナップショットを使うと、遅くなります。
  • インストール中にクラッシュが発生すると、システムは起動できなくなります。このような場合、Red Hat では、ライブ CD もしくは PXE ブートで起動し、システムが正常に起動した後にスナップショットをマージすることを推奨しています。マージの方法は、Red Hat Enterprise Linux 7 LVM ドキュメント http://access.redhat.com/site/documentation/Red_Hat_Enterprise_Linux/ から入手できます。
  • ロールバックすると、/var/log をアップグレード前の状態に戻します。監査目的で、Red Hat はログファイルをロールバック開始前にインストールから別の場所にコピーすることを推奨します。

2.6.3. targetcli によるターゲット管理

Red Hat Enterprise Linux の以前のバージョンでは、iSCSI ターゲットのサポートには tgtd を使用し、Linux カーネルターゲットの LIO は fcoe-target-utils パッケージでイーサネット経由のファイバーチャンネル (FCoE) ターゲットにのみ使われていました。
Red Hat Enterprise Linux 7 では、LIO カーネルターゲットサブシステムを FCoE、iSCSI、iSER (Mellanox InfiniBand)、および SRP (Mellanox InfiniBand) ストレージファブリックに使用します。ファブリックはすべて、targetcli ツールで管理できます。

2.6.4. 永続的なデバイス名

Red Hat Enterprise Linux 7 では、カーネルメッセージ内にデバイス名 (たとえば、sda、sdb、など) と永続的なデバイス名 (udev/dev/disk/by-*/ で提供) のマッピングを保存することで、システム上のデバイス管理を容易にしています。これにより、システム管理者は、ブートするごとにデバイス名が変更されたとしても、特定のデバイスに関連付けられたメッセージを特定することができます。
カーネル /dev/kmsg ログは dmesg コマンドで表示可能で、シンボリックリンク用のメッセージを表示することができます。これは、udev がカーネルデバイス用に作成したものです。これらのメッセージは、以下のフォーマットで表示されます。udev-alias: device_name (symbolic_link symbolic link ...)。たとえば、
udev-alias: sdb (disk/by-id/ata-QEMU_HARDDISK_QM00001)
どのログアナライザーもこれらのメッセージを表示でき、メッセージは syslog 経由で /var/log/messages に保存されます。
この機能を有効にするには、udev.alias=1/etc/default/grub 内のカーネルコマンドラインに追加します。

2.6.5. LVM キャッシュボリューム

Red Hat Enterprise Linux 7.1 では LVM キャッシュボリューム機能が完全対応になります。この機能を使用すると、ユーザーは小規模で高速なデバイスで論理ボリュームを作成し、大規模で低速なデバイスのキャッシュとして動作させることができるようになります。キャッシュ論理ボリュームの作成方法については lvmcache の man ページを参照してください。