Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux

23.2. メンテナーンス起動モードの使い方

23.2.1. メモリー (RAM) テストモードの読み込み

メモリー (RAM) モジュールでの障害が原因で、システムの予期しないフリーズやクラッシュが発生する場合があります。特定の状況では、メモリー障害は、ソフトウェアの特定の組み合わせでのみエラーが発生する可能性があります。この理由から、Red Hat Enterprise Linux を初めてインストールする前に、その他のオペレーティングシステムを実行していても、コンピューターのメモリーをテストする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux には、Memtest86+ メモリーテストアプリケーションが含まれています。メモリーテストモードを開始するには、ブートメニューで Troubleshooting > Memory test を選択します。直ちにテストが開始されます。デフォルトでは、Memtest86+ はパスごとに 10 つのテストを行います。異なる設定を指定するには、c キーを使用して設定画面にアクセスします。最初のパスが完了すると、現在の状態を示すメッセージが画面下部に表示され、自動的に次のパスが開始されます。
注記
Memtest86+ は BIOS システムでのみ機能します。UEFI システムのサポートは現在利用できません。

図23.1 Memtest86+ を使ったメモリーチェック

Memtest86+ を使ったメモリーチェック
テスト進行中に表示されるメイン画面は主に 3 エリアに分けられます。
  • 左上には、メモリーおよびプロセッサーキャッシュ専用に割り当てられたサイズ、そのスループットとプロセッサー、チップセット情報など、システムのメモリー設定に関する情報が表示されます。この情報は、Memtest86+ の起動時に検出されます。
  • 右上には、現在のパスの進捗状況、そのパスで現在実行中のテスト、テスト詳細など、テストに関する情報が表示されます。
  • 画面の中央には、合計時間、完了したパス数、検出されたエラー数、選択しているテストなど、ツールが起動した時点からの全テストに関する情報が表示されます。一部のシステムでは、インストールしているメモリー (搭載モジュール数、製造元、周波数、遅延時間など) に関する詳細情報についても表示されます。完了したパスの後ろには簡単な概要が表示されます。以下に例を示します。
    ** Pass complete, no errors, press Esc to exit **
    Memtest86+ がエラーを検出すると、このエリアにも赤色で強調表示されます。メッセージには問題を検出したテスト、障害が発生しているメモリーの場所、その他、詳細な情報が含まれます。
ほとんどの場合、一つのパスでのテスト成功で、使用している RAM の健全性を十分に確認できます (10 種類の全テストを 1 回実行)。ただし、まれに最初のパスでは検出されなかったエラーがその後のテストで出現する場合があります。重要なシステムで完全なテストを実施する場合は、複数パスを完了させるため一晩または数日、テストを実行させたままにしておきます。
注記
Memtest86+ の 1 つの完全パスを完了するのにかかる時間は、システムの設定(特に RAM のサイズと速度)によって異なります。たとえば、2 GiB の DDR2 メモリー、速度が 667 MHz の場合、パスをひとつ完了するのに 20 分ほどかかります。
テストを停止してコンピューターを再起動するには、いつでも esc キーを押します。
Memtest86+ の使用の詳細については、公式の Web サイト() http://www.memtest.org/ を参照してください。README ファイルは、memtest86+ パッケージがインストールされた Red Hat Enterprise Linux システムの /usr/share/doc/ memtest86+ -バージョン/ にも存在します。

23.2.2. 起動メディアの検証

Red Hat Enterprise Linux のインストールに使用する前に、ISO ベースのインストールソースの整合性をテストできます。インストールソースには DVD や ハードドライブ、NFS サーバーに保存している ISO イメージなどが含まれます。インストール前に ISO イメージの整合性を検証することで、インストール中に何度も遭遇する問題を回避することができます。
ISO イメージのチェックサムの整合性をテストするには、ブートローダーコマンドラインに rd.live.check を追加します。起動メニューからデフォルトのインストールオプションを選択すると、このオプションが自動的に使用されることに注意してください(Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0)。

23.2.3. レスキューモードでのコンピューターの起動

実際に Red Hat Enterprise Linux をコンピューターにインストールせずに、インストールディスクから Linux システムを起動できます。これにより稼働している Linux システムのユーティリティーおよび機能を使って、すでにインストール済みのオペレーティングシステムの修正や修復を行うことができるようになります。
インストールディスクまたは USB ドライブを使用してレスキューシステムを読み込むには、起動メニューの Troubleshooting サブメニューから Rescue a Red Hat Enterprise Linux system を選択するか、inst.rescue 起動オプションを使用します。
次に表示される画面で、言語、キーボードのレイアウト、ネットワーク設定をレスキューシステム用に指定します。最後のセットアップ画面では、コンピューター上の既存システムへのアクセスを設定します。
デフォルトでは、既存のオペレーティングシステムが /mnt/sysimage/ ディレクトリー下のレスキューシステムに接続されます。
レスキューモードおよびその他のメンテナーンスモードの詳細は、32章基本的なシステムの復元 を参照してください。