第20章 起動オプション

Red Hat Enterprise Linux インストールシステムには、管理者用に各種の起動オプションが含まれています。これらの起動オプションを使用すると、特定の機能を有効 (または無効) にすることでインストールプログラムのデフォルト動作を変更することができます。起動オプションを使用する場合は、「ブートメニューでインストールシステムを設定する」 に説明されているように起動コマンドラインにそのオプションを追加します。複数のオプションを追加する場合は、それらのオプションを単一スペースで区切ってください。
本章では基本的な 2 種類のオプションタイプについて説明します。
  • 最後に「等号」(=) が付くオプションでは値を指定する必要があり、値なしで使用することはできません。たとえば、inst.vncpassword= オプションは値が必要になります (この場合の値はパスワードです)。したがって、inst.vncpassword=password が正しい入力形式になります。パスワードを指定しないでオプションだけを使用した場合、このオプションは無効になります。
  • 「等号」(=) のないオプションは、値やパラメーターを取りません。たとえば、rd.live.check オプションではインストール開始前に Anaconda によるインストールメディアの検証が強制されます。このオプションを使用すると検証が行われ、オプションを使用しない場合には検証は省略されます。

20.1. ブートメニューでインストールシステムを設定する

注記

カスタムの起動オプションの設定方法は各システムのアーキテクチャーごとに異なります。アーキテクチャーに準じた設定方法の手順については次を参照してください。
ブートメニュー (インストールメディアの起動後に表示されるメニュー) で起動オプションを編集する方法はいくつかあります。
  • boot: プロンプトは、ブートメニューで Esc キーを押すとアクセスできます。このプロンプトでは、まず先頭のオプションで読み込むべきインストールプログラムのイメージを指定する必要があります。ほとんどの場合、linux が使用されています。この文字列のあとに追加オプションを指定します。
    このプロンプトで Tab キーを押すと、そこで使える便利なコマンドがヘルプとして表示されます。Enter キーを押すと、選択したオプションでインストールを開始します。boot: プロンプトからブートメニューに戻る場合は、コンピューターを再起動してインストールメディアから起動し直します。
  • > プロンプト (BIOS ベースの AMD64 および Intel 64 システム) は、ブートメニュー内のエントリーを強調表示して Tab キーを押すとアクセスできます。boot: プロンプトとは異なり、事前に定義されている起動オプションセットを編集することができます。たとえば、Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0 のラベルが付いたエントリーを強調表示すると、このメニューエントリーで使用される全オプションがプロンプトに表示され、独自のオプションを追加できるようになります。
    Enter を押すと、指定したオプションでインストールが開始します。オプションの編集を取り消してブートメニューに戻る場合は Esc キーを押します。
  • GRUB2 メニュー (UEFI ベースの AMD64 および Intel 64 のシステム) は、システムで UEFI を使用している場合にはエントリーを強調表示してから e キーを押すと起動オプションを編集することができます。編集が終わったら F10 または Ctrl+X を押して指定したオプションでインストールを開始します。
本章で説明しているオプションの他にも、ブートプロンプトは dracut カーネルオプションを受け取ります。これらのオプションの一覧は dracut.cmdline(7) の man ページを参照してください。

注記

インストールプログラムに固有となる起動オプションとして本ガイドに記載されているオプションは、必ず inst. で始まります。この inst. というプレフィックスは現時点ではオプションとなるため、inst.resolution=1024x768 と指定しても resolution=1024x768 と指定しても全く同じことになります。ただし、今後のリリースでは inst. は必須のプレフィックスとなる予定です。

インストールソースの指定

inst.repo=
インストールソースを指定します。インストールソースとは、インストールプログラムが必要なイメージやパッケージを見つけることができる場所です。例を示します。
inst.repo=cdrom
値は次のいずれかになります。
  • インストール可能なツリー (インストールプログラムのイメージ、パッケージ群、リポジトリーデータおよび有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー構成)
  • DVD (システムの DVD ドライブにある物理的なディスク)
  • Red Hat Enterprise Linux の完全インストール用 DVD の ISO イメージ (ハードドライブまたはインストールシステムでアクセスできるネットワーク上の場所)
このオプションでは、異なる形式を使用することでさまざまなインストール方法を設定することができます。以下の表に構文を示します。

表20.1 インストールソース

インストールソースオプションの形式
CD/DVD ドライブ、指定なしinst.repo=cdrom
CD/DVD ドライブ、指定ありinst.repo=cdrom:device
ハードドライブinst.repo=hd:device:/path
HTTP サーバーinst.repo=http://host/path
HTTPS サーバーinst.repo=https://host/path
FTP サーバーinst.repo=ftp://username:password@host/path
NFS サーバーinst.repo=nfs:[options:]server:/path [a]
[a] デフォルトでは NFS プロトコルバージョン 3 が使用されます。別バージョンを使用する場合は options+nfsvers=X を追加します。

注記

Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでは、 NFS でアクセスできるインストール可能なツリー用のオプション (nfs オプション) と NFS ソースに配置した ISO イメージ用のオプション (nfsiso オプション) がそれぞれ別々に用意されていました。Red Hat Enterprise Linux 7 では、ソースがインストール可能なツリーなのか ISO イメージを含むディレクトリーなのかをインストールプログラムが自動的に検出するため、nfsiso オプションは廃止予定になります。
ディスクデバイス名は次の形式で指定します。
  • カーネルデバイス名の場合、/dev/sda1 または sdb2 など
  • ファイルシステムラベルの場合、LABEL=Flash または LABEL=RHEL7 など
  • ファイルシステムの UUID の場合、UUID=8176c7bf-04ff-403a-a832-9557f94e61db など
英数字以外は \xNN で表す必要があります。NN は文字の 16 進数表示になります。たとえば、\x20 なら空白になります (" ")。
inst.stage2=
読み込み対象のインストールプログラムのランタイムイメージの場所を指定します。構文は インストールソースの指定 にあるものと同じです。このオプションは、有効な .treeinfo ファイルを格納しているディレクトリーへのパスを想定しています。このファイルが見つかる場合は、ランタイムイメージの場所がこのファイルから読み込まれます。.treeinfo ファイルが見つからない場合は、AnacondaLiveOS/squashfs.img からイメージの読み込みを試行します。

注記

デフォルトでは、 inst.stage2= ブートオプションがインストールメデイアで使用され、特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL7\x20Server.x86_64) に設定されます。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを修正するか、インストールシステムの起動にカスタマイズした手順を使用する場合は、このオプションを正しい値に設定する必要があります。
inst.dd=
インストール時にドライバーを更新する必要がある場合は、inst.dd= オプションを使用します。このオプションは複数回使用することができます。ドライバーの RPM パッケージの場所は、インストールソースの指定で詳述されている形式を使って指定できます。inst.dd=cdrom オプションを除き、デバイス名は常に指定する必要があります。例を示します。
inst.dd=/dev/sdb1
このオプションにパラメーターを付けずに使用すると (inst.dd のみ)、対話形式のメニューでドライバー更新ディスクの選択が求められます。

警告

既知の問題のために、インストール中に inst.dd= ブートオプションを使用して、複数のドライバー更新イメージを 2 回以上読み込むように指定してドライバー更新の実行を試みると、Anaconda は最後のパラメーターインスタンスを除いてすべて無視します。この問題を回避するには、インストール後に追加ドライバーをインストールするか、ドライバー更新イメージの指定に driverdisk キックスタートコマンドのような別の方法を使用する、または複数のドライバー更新イメージを単一のものに結合させます。
インストール時のドライバー更新についての詳細は、4章AMD64 および Intel 64 のシステムへのインストール中にドライバーを更新する (AMD64 および Intel 64 システム用)、および9章IBM Power Systems へのインストール中にドライバーを更新する (IBM Power Systems サーバー) を参照してください。

キックスタート起動オプション

inst.ks=
インストールの自動化に使用するキックスタートファイルの場所を入力します。inst.repo で有効な形式を使用して場所を指定することができます。詳細は、インストールソースの指定 を参照してください。
デバイスだけを指定しパスは指定しなかった場合、インストールプログラムは指定されたデバイス上にある /ks.cfg 内でキックスタートファイルを検索します。デバイスを指定せずにこのオプションを使用すると、インストールプログラムは次を使用します。
inst.ks=nfs:next-server:/filename
上記の例の next-server は、DHCP の next-server オプションか DHCP サーバー自体の IP アドレスになります。filename は DHCP の filename オプションまたは /kickstart/ です。指定したファイル名の末尾が / になっている場合、ip-kickstart が追加されます。例を示します。

表20.2 デフォルトのキックスタートファイルの場所

DHCP サーバーのアドレスクライアントのアドレスキックスタートファイルの場所
192.168.122.1192.168.122.100192.168.122.1:/kickstart/192.168.122.100-kickstart
また、Red Hat Enterprise Linux 7.2 の起動では、インストーラーは OEMDRV のラベルが付いたボリュームにks.cfg というキックスタートファイルがある場合は、これを読み込みます。ご自分のキックスタートファイルがこの場所にある場合は、inst.ks= ブートオプションを使用する必要はありません。
inst.ks.sendmac
全ネットワークインターフェースの MAC アドレスを持つ HTTP 発信要求にヘッダーを追加します。例を示します。
X-RHN-Provisioning-MAC-0: eth0 01:23:45:67:89:ab
システムのプロビジョニングに inst.ks=http を使用する場合に便利です。
inst.ks.sendsn
HTTP 発信要求にヘッダーを追加します。このヘッダーには /sys/class/dmi/id/product_serial から読み込まれるシステムのシリアル番号が含まれます。ヘッダーは次のような構文になります。
X-System-Serial-Number: R8VA23D

コンソール、環境、ディスプレイの各オプション

console=
このカーネルオプションでは、プライマリーコンソールとして使用するデバイスを指定します。たとえば、一番目のシリアルポートでコンソールを使用する場合は console=ttyS0 を使用します。inst.text オプションと併用してください。
このオプションは何回使用しても構いません。この場合、起動メッセージが指定したコンソールすべてで表示されますが、これ以降インストールプログラムが使用するのは最後のコンソールのみです。たとえば、console=ttyS0 console=ttyS1 と指定した場合、インストールプログラムでは ttyS1 が使用されます。
noshell
インストール中の root シェルへのアクセスを無効にします。自動インストール (キックスタート) の場合に便利です。このオプションを使用すると、ユーザーはインストールの進捗状況は確認できますが、Ctrl+Alt+F2 を押して root シェルにアクセスしてインストールプロセスに干渉することはできません。
inst.lang=
インストール時に使用する言語を設定します。言語コードは、「キックスタートのコマンドとオプション」で説明されている lang キックスタートコマンド内で使用するものと同じです。system-config-language パッケージがインストールされているシステム上では、/usr/share/system-config-language/locale-list でも有効な値の一覧を確認することができます。
inst.geoloc=
インストールプログラムで地理位置情報の使用を設定します。地理位置情報は言語およびタイムゾーンの事前設定に使用されます。inst.geoloc=value の形式で指定します。
value パラメーターは次のいずれかにします。

表20.3 inst.geoloc オプションに使用できる値

地理位置情報を無効にするinst.geoloc=0
Fedora GeoIP API を使用するinst.geoloc=provider_fedora_geoip
Hostip.info GeoIP API を使用するinst.geoloc=provider_hostip
このオプションが指定されていない場合、Anacondaprovider_fedora_geoip を使用します。
inst.keymap=
インストールプログラムで使用するキーボードのレイアウトを指定します。レイアウトコードは、「キックスタートのコマンドとオプション」で説明されている keyboard キックスタートコマンド内で使用しているものと同じになります。
inst.text
インストールプログラムをグラフィカルモードではなくテキストモードで強制実行します。テキストユーザーインターフェースの場合、パーティションレイアウトの変更ができなかったり、LVM を設定できないなどの制限があります。グラフィック機能に制限のあるマシンにシステムをインストールする場合は、リモートアクセスを有効にする で説明されている VNC の使用をお勧めします。
inst.cmdline
インストールプログラムをコマンドラインモードで強制実行します。このモードでは一切のやりとりができないため、オプションはすべてキックスタートファイル内またはコマンドライン上で指定する必要があります。
inst.graphical
インストールプログラムをグラフィカルモードで強制実行します。このモードがデフォルトになります。
inst.resolution=
グラフィカルモードでの画面解像度を指定します。NxM の形式をとります。N は横、M は縦になります (ピクセル単位)。対応している最小解像度は 800x600 になります。
inst.headless
インストールしているマシンにディスプレイ用ハードウェアがないことを指定します。つまり、このオプションを設定するとインストールプログラムによる画面の検出が試行されなくなります。
inst.xdriver=
インストール中およびインストール後のシステムで使用する X ドライバー名を指定します。
inst.usefbx
ハードウェア固有のドライバーではなく、フレームバッファー X ドライバーを使用するようインストールプログラムに指示します。このオプションは inst.xdriver=fbdev と同じです。
modprobe.blacklist=
ドライバーをブラックリストに登録します (完全無効)。このオプションで無効にしたドライバー (mods) はインストール開始時の読み込みから除外され、インストール終了後、インストールが完了したシステムでもこの設定が維持されます。ブラックリストに登録されたドライバーは /etc/modprobe.d/ ディレクトリーで確認することができます。
複数のドライバーを無効にする場合はコンマで区切ります。例を以下に示します。
modprobe.blacklist=ahci,firewire_ohci
inst.sshd=0
デフォルトでは、sshd は IBM System z 上でのみ自動的に起動します。その他のアーキテクチャーでは、sshdinst.sshd オプションを使用した場合にのみ、起動します。このオプションは IBM System z 上では sshd を無効にします。
inst.sshd
インストール時に sshd サービスを開始します。これにより、SSH を使ってシステムに接続し、その進捗をモニターできます。SSH についての詳細は、ssh(1) の man ページおよび 『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』 の該当する章を参照してください。デフォルトでは、sshd は IBM System z 上でのみ自動的に起動します。その他のアーキテクチャーでは、sshdinst.sshd オプションを使用した場合にのみ、起動します。

注記

インストール時に、デフォルトでは root アカウントにパスワードは設定されません。「キックスタートのコマンドとオプション」に説明されているように sshpw キックスタートコマンドを使用して、インストール時に使用される root のパスワードを設定することができます。
inst.kdump_addon=
インストーラーで Kdump 設定画面 (アドオン) を有効、無効にします。デフォルトでは、この画面は有効になっています。無効にする場合は、inst.kdump_addon=off としてください。このアドオンを無効にすると、%addon com_redhat_kdump キックスタートコマンドの他にも、グラフィカルとテキストベースの両方のインターフェースで Kdump 画面が無効になることに注意してください。

ネットワーク起動オプション

ネットワークの最初の初期化は dracut によって処理されます。本セクションでは、よく使用されるいくつかのオプションのみを紹介します。全オプションの一覧については dracut.cmdline(7) の man ページをご覧ください。『Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイド』 にもネットワーク設定に関する詳細が記載されています。
ip=
ネットワークインターフェースを設定します。複数のインターフェースを設定する場合は、ip オプションを複数回、インターフェースごとに使用します。複数のインターフェースを設定した場合は、rd.neednet=1 オプションを使用し、以下に示す bootdev オプションを使ってプライマリーの起動インターフェースを指定する必要もあります。別の方法では、ip オプションを 1 度使用して、その後にキックスタートを使用して追加のインターフェースを設定することもできます。
このオプションは複数の異なる形式を受け入れます。最も一般的な形式については、表20.4「ネットワークインタフェースの設定形式」で説明されています。

表20.4 ネットワークインタフェースの設定形式

設定方法オプションの形式
全インターフェースの自動設定ip=method
特定インターフェースの自動設定ip=interface:method
静的設定ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none
特定インターフェースの自動設定と無効化[a]ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:method:mtu
[a] dhcp など指定した自動設定の方法で特定のインターフェースを設定します。一方、自動取得した IP アドレス、ゲートウェイ、ネットマスク、ホスト名、他のパラメーターなどで指定したものを無効化します。パラメーターはすべてオプションです。無効にするパラメーターだけを指定します。それ以外のパラメーターには自動取得した値が使用されます。
method パラメーターには以下のいずれかを使用します。

表20.5 自動インターフェース設定方法

自動設定の方法
DHCPdhcp
IPv6 DHCPdhcp6
IPv6 自動設定auto6
iBFT (iSCSI Boot Firmware Table)ibft

注記

inst.ks=http://host:/path など、ネットワークへのアクセスを必要とする起動オプションを使用する一方、ip オプションには指定がない場合、インストールプログラムは ip=dhcp を使用します。

重要

iSCSI ターゲットに自動接続するには、ターゲットにアクセスするネットワークデバイスがアクティベートされている必要があります。アクティベートするには ip=ibft ブートオプションの使用が推奨されます。
上記の表では ip パラメーターはクライアントの IP アドレスを指定しています。IPv6 アドレスは角カッコで囲むと指定できます ([2001:DB8::1] など)。
gateway パラメーターはデフォルトのゲートウェイになります。IPv6 アドレスはここでも使用できます。
netmask パラメーターは使用するネットマスクです。完全ネットマスク (255.255.255.0 など) またはプレフィックス (64 など) のどちらでも構いません。
hostname パラメーターはクライアントシステムのホスト名です。このパラメーターはオプションになります。
nameserver=
ネームサーバーのアドレスを指定します。このオプションは複数回使用できます。
rd.neednet=
複数の ip オプションを使用する場合は、rd.neednet=1 オプションも使用する必要があります。別の方法では、ip を 1 回使用してその後にキックスタートを使用して追加のインターフェースを設定すると、複数のネットワークインターフェースを設定できます。
bootdev=
起動インターフェースを指定します。ip オプションを複数回使用する場合、このオプションは必須になります。
ifname=
特定の MAC アドレスを持たせた指定インターフェース名をネットワークデバイスに割り当てます。複数回の使用が可能です。構文は ifname=interface:MAC です。例を示します。
ifname=eth0:01:23:45:67:89:ab

注記

ifname= オプションの使用は、インストール中にカスタムネットワークインターフェース名を設定する唯一のサポート方法となります。
inst.dhcpclass=
DHCP のベンダークラス識別子を指定します。dhcpd サービスではこの値を vendor-class-identifier として認識します。デフォルト値は anaconda-$(uname -srm) です。
vlan=
仮想 LAN (VLAN) デバイスに特定の名前を付けて、指定インターフェース上にセットアップします。構文は vlan=name:interface です。例を示します。
vlan=vlan5:em1
上記により、vlan5 という名前が付けられた VLAN デバイスが em1 インターフェース上にセットアップされます。name は以下のような形式をとります。

表20.6 VLAN デバイスの命名規則

命名スキーム
VLAN_PLUS_VIDvlan0005
VLAN_PLUS_VID_NO_PADvlan5
DEV_PLUS_VIDem1.0005.
DEV_PLUS_VID_NO_PADem1.5.
bond=
bond=name[:slaves][:options] という構文で結合デバイスをセットアップします。name には結合デバイス名を入れます。slaves には物理 (イーサネット) インターフェースをコンマで区切って一覧形式で入力します。options には結合オプションをコンマで区切って一覧形式で入力します。例を示します。
bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup,tx_queues=32,downdelay=5000
利用できるオプション一覧を表示するには、modinfo bonding コマンドを実行します。
パラメーターを付けずにこのオプションを使用すると、bond=bond0:eth0,eth1:mode=balance-rr という構文になるとみなされます。
team=
team=master:slaves という構文でチームデバイスをセットアップします。master にはマスターチームのデバイス名を入れます。slaves にはチームデバイス内でスレーブとして使用する物理 (イーサネット) デバイスをコンマで区切って一覧形式で入力します。例を示します。
team=team0:em1,em2

高度なインストールオプション

inst.kexec
このオプションを指定すると、インストーラーはインストールの最後に再起動の実行ではなく、kexec システムコールを使用します。これにより新システムが即座に読み込まれ、BIOS またはファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化が省略されます。

重要

kexec を使用したシステムブートでは、その複雑性のために明示的にテストすることができず、すべての状況で機能することが保証されるものではありません。
kexec の使用時には、(完全なシステム再起動では通常クリアされる) デバイスレジスタにデータが残り、これがデバイスドライバーによっては問題となる可能性もあります。
inst.gpt
インストールプログラムがパーティション情報を Master Boot Record (MBR) ではなく GUID Partition Table (GPT) にインストールするように強制します。UEFI ベースのシステムでは、BIOS 互換モードになっていなければ、このオプションは意味がありません。
通常、BIOS 互換モードの BIOS ベースのシステムおよび UEFI ベースのシステムでは、ディスクのサイズが 232 セクター以上でない限り、パーティション情報の格納には MBR スキーマを使用しようとします。通常はディスクセクターは 2.2 TB にあたる 512 バイトです。このオプションを使用することでこの動作が変更され、このサイズより小さいディスクにも GPT の書き込みが可能になります。
GPT および MBR についての詳細情報は、「MBR と GPT に関する注意点」 を参照してください。GPT、MBR およびディスクのパーミッション設定全般については、「GUID パーティションテーブル (GPT)」 を参照してください。
inst.multilib
multilib パッケージ用にシステムを設定し (つまり、64 ビットの AMD64 もしくは Intel 64 システムに 32 ビットのパッケージをインストールできるようにする)、このセクションで説明しているようにパッケージをインストールします。
通常、 AMD64 や Intel 64 システムでは、このアーキテクチャー専用となるパッケージ (x86_64 の印が付いている) と全アーキテクチャー用のパッケージ (noarch の印が付いている) がインストールされます。このオプションを使用すると、32 ビットの AMD または Intel システム用のパッケージ (i686 の印が付いている) がある場合、それらも合わせて自動的にインストールします。
これは %packages セクションで直接指定されているパッケージにのみ適用されます。依存パッケージとしてインストールされる場合は、依存パッケージに該当するものしかインストールされません。たとえば、bash パッケージをインストールするときにこのパッケージが glibc パッケージに依存している場合、bash パッケージは複数のバリアントにインストールされますが、glibc パッケージは依存パッケージとして必要とされるバリアントにしかインストールされません。
selinux=0
デフォルトでは、SELinux はインストーラーでは permissive モードで動作し、インストールされたシステムでは enforcing モードで動作します。このオプションは、インストールおよびインストールされたシステム全体での SELinux の使用を無効にします。

注記

selinux=0inst.selinux=0 のオプションは異なるものです。selinux=0 オプションは、インストーラーとインストールされたシステムにおいて SELinux の使用を無効にします。一方、inst.selinux=0 はインストーラーのみで SELinux を無効にします。デフォルトでは、SELinux はインストーラーで permissive モードでの作動になるので、無効にしても影響はほとんどありません。
inst.nosave=
Red Hat Enterprise Linux 7.3 から導入されたこのオプションは、インストールするシステムに保存するキックスタートファイルとインストールログを指定します。OEM のオペレーティングシステムのインストールを実行している場合や、内部リポジトリー URL などの機密ソースを使用してイメージを生成する場合などにこれらのデータ保存を無効にする際に特に便利なものです。無効にしないと、これらのリソースはキックスタートファイルもしくはイメージ上のログ、またはそれら両方に記述されることになるためです。使用可能な値は以下の通りです。
input_ks - 入力キックスタートファイルの保存を無効にします (ある場合)。
output_ks - Anaconda が生成する出力キックスタートファイルの保存を無効にします。
all_ks - 入出力キックスタートファイルの両方の保存を無効にします。
logs - 全インストールログの保存を無効にします。
all - 全キックスタートと全インストールログの保存を無効にします。
複数の値は以下のようにコンマ区切りにします。input_ks,logs
inst.zram
このオプションは、インストール中の zRAM swap の使用量を制御します。これはシステムの RAM の内部に圧縮ブロックデバイスを作成し、これをハードドライブではなく swap 領域向けに使用します。これにより、インストーラーが利用可能なメモリー量が実質上増えることになり、メモリーが少ないシステムでのインストールが迅速にできるようになります。
デフォルトでは、zRAM 上の swap は 2 GB 以下の RAM のシステムで有効にされ、2 GB を超えるメモリーのシステムでは無効になります。このオプションを使用することで、この動作を変更できます。2 GB を超える RAM のシステムで inst.zram=1 を使用すると有効になり、2 GB 以下のメモリーのシステムで inst.zram=0 を使用すると無効になります。

リモートアクセスを有効にする

以下は、リモートによるグラフィカルインストールを行う場合の Anaconda の設定に必要なオプションです。詳細は、22章VNC を使用したインストール を参照してください。
inst.vnc
インストールプログラムのグラフィカルインターフェースが VNC セッション内で実行されるよう指定します。このオプションを指定する場合、インストールプログラムと通信することができる VNC クライアントアプリケーションを使ってシステムを接続しておく必要があります。VNC 共有を有効にすることで、複数のクライアントを同時にシステムに接続できるようになります。

注記

VNC でインストールしたシステムは、デフォルトではテキストモードで起動します。
inst.vncpassword=
インストールプログラムが使用する VNC サーバーでパスワードを設定します。これにより、このシステムに接続を試行する VNC クライアントはすべて、正しいパスワードを入力しないとアクセスできなくなります。たとえば、inst.vncpassword=testpwd でパスワードを testpwd に設定します。VNC パスワードは 6 文字から 8 文字の長さにしてください。

注記

無効なパスワードを指定すると (長すぎるまたは短すぎるパスワード)、インストールプログラムにより別のパスワードの指定を求めるメッセージが出力されます。
VNC password must be six to eight characters long.
Please enter a new one, or leave blank for no password.

Password:
inst.vncconnect=
インストールの開始後、指定ホストのポートで待機している VNC クライアントに接続します。inst.vncconnect=host:port が正しい構文になります。host は VNC クライアントのホストへのアドレスになります。port には使用するポートを入れます。port パラメーターはオプションになります。指定しないと 5900 が使用されます。

デバッグとトラブルシューティング

inst.updates=
インストールプログラムのランタイムに適用する updates.img ファイルの場所を指定します。構文は inst.repo オプションの場合と同じです。詳細は、表20.1「インストールソース」を参照してください。ファイル名を指定せずディレクトリーだけを指定すると、いずれの形式を使用した場合も、インストールプログラムは updates.img という名前のファイルを検索します。
inst.loglevel=
ターミナルでログ表示されるメッセージの最低レベルを指定します。このオプションで設定するのはターミナル表示のみです。ログファイルには常に全レベルのメッセージが記録されます。
オプションに設定できるレベルは debuginfowarningerrorcritical です。デフォルト値は info です。つまり、デフォルトでは info から critical までの範囲のメッセージがログターミナルに表示されます。
inst.syslog=
インストールが開始されると、このオプションはログメッセージを、指定されたホスト上の syslog プロセスに送ります。リモート syslog プロセスは、着信接続を受け入れるように設定する必要があります。syslog サービスが着信接続を受け入れるように設定する方法については、『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』を参照してください。
inst.virtiolog=
ログの転送に virtio ポート (/dev/virtio-ports/name にあるキャラクターデバイス) を使用するよう指定します。デフォルト値は org.fedoraproject.anaconda.log.0 です。このポートが存在していれば使用されます。

20.1.1. 廃止予定および削除された起動オプション

廃止予定の起動オプション

この一覧に記載されているオプションは 廃止予定 です。動作はしますが同じ機能を提供している別のオプションがあります。廃止予定のオプションの使用は推奨されせん。今後のリリースで削除される予定です。

注記

「ブートメニューでインストールシステムを設定する」で説明されているように、インストールプログラムに固有となるオプションでは、inst. のプレフィックスが使用されるようになります。たとえば、vnc= オプションは非推奨とみなされ、inst.vnc= オプションによって置き換えられます。これらの変更は、ここでは一覧表示されていません。
method=
インストール方法の設定に使用されていました。代わりに inst.repo= を使用してください。
repo=nfsiso:server:/path
NFS インストールでターゲットがインストール可能なツリーではなく、 NFS サーバーにある ISO イメージであることを指定するために使用されていました。この違いは自動的に検出されるようになったため、このオプションは inst.repo=nfs:server:/path と同じになります。
dns=
ドメインネームサーバー (DNS) の設定に使用していました。代わりに nameserver= オプションを使用してください。
netmask=gateway=hostname=ip=ipv6=
これらのオプションは ip= オプションに統合されています。
ksdevice=
インストールの初期段階で使用するネットワークデバイスを選択します。値、オプションともに変更があります。以下の表を参照してください。

表20.7 自動インターフェース設定方法

現在の動作
指定しないip= オプションまたは BOOTIF オプションで希望するデバイスと構成が指定されている場合を除き、dhcp を使用してすべてのデバイスのアクティベーションが試行されます。
ksdevice=link上記と同様ですが、(必要の有無にかかわらず) ネットワークが initramfs で常にアクティブにされる点が異なります。同じ結果を出すには、サポートされている dracut オプションの rd.neednet を使用する必要があります。
ksdevice=bootif無視されます (指定すると BOOTID= オプションがデフォルトで使用されます)。
ksdevice=ibftdracut オプションの ip=ibft に切り替わります。
ksdevice=MACBOOTIF=MAC に切り替わります。
ksdevice=devicedracut オプションの ip= を使ってデバイス名を指定する方法に切り替わります。

重要

キックスタートを使ったインストールを行う際、ローカルのメディアから起動して、キックスタートファイルもローカルのメディアに配置していると、ネットワークは初期化されません。つまり、ネットワーク上の場所にアクセスする pre-installation スクリプトや post-installation スクリプトなど、ネットワークアクセスを必要とする他のキックスタートオプションが原因でインストールが失敗することになります。これは既知の問題になります。詳細は BZ#1085310 をご覧ください。
この問題を回避するには、ksdevice=link 起動オプションを使用するか、キックスタートファイルで network コマンドに --device=link オプションを追加します。
blacklist=
指定したドライバーの無効化に使用していました。この動作は modprobe.blacklist= オプションで処理するようになります。
nofirewire=
FireWire インターフェースのサポートの無効化に使用していました。代わりに modprobe.blacklist= オプションを使うと FireWire ドライバー (firewire_ohci) を無効にできます。
modprobe.blacklist=firewire_ohci

削除済みの起動オプション

次のオプションは削除されました。Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでは提供されていましたが、今後は使用できなくなります。
askmethod, asknetwork
インストールプログラムの initramfs は完全に非対話形式になります。つまり、これらのオプションは使用できなくなります。代わりに、インストール方法の指定には inst.repo= を、ネットワーク設定には ip= を使用してください。
serial
出力に /dev/ttyS0 コンソールを使用するよう Anaconda に強制するために使用されていました。代わりに console=/dev/ttyS0 を使用してください。
updates=
インストールプログラムの更新の場所を指定するときに使用していました。代わりに inst.updates= を使用してください。
essid=wepkey=wpakey=
ワイヤレスのネットワークアクセスを設定する際に使用していました。ネットワーク設定は dracut で処理されるようになります。しかし、dracut はワイヤレスネットワークの設定には対応しないため、これらのオプションは不要になります。
ethtool=
低レベルのネットワーク設定に使用していました。ネットワーク設定はすべて ip= オプションで処理されるようになります。
gdb
ローダーのデバッグを許可する場合に使用していました。代わりに rd.debug を使用してください。
mediacheck
インストール開始前のインストールメディアの検証に使用していました。rd.live.check オプションに切り替わります。
ks=floppy
3.5 インチのディスクをキックスタートファイルのソースとして指定していました。このドライブはサポートされていません。
display=
リモートディスプレイの設定に使用していました。inst.vnc オプションに切り替わります。
utf8
テキストモードでのインストールの際、UTF8 サポートの追加に使用していました。UTF8 サポートは自動的に動作するようになります。
noipv6
インストールプログラムで IPv6 サポートを無効化するために使用していました。IPv6 はカーネルに組み込まれるようになったため、ドライバーはブラックリストに登録できなくなります。ただし、dracut オプションの ipv6.disable を使用すれば IPv6 を無効にすることができます。
upgradeany
Red Hat Enterprise Linux 7 でのアップグレードは別の方法で行なわれるようになります。システムをアップグレードする方法については、26章現在のシステムのアップグレードを参照してください。
vlanid=
仮想 LAN (802.1q tag) デバイスの設定に使用していました。代わりに vlan= dracut オプションを使用してください。